デジモンアドベンチャー 光子郎 ヒカリ
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「お兄ちゃん」
「冗談はよせよ、ヤマト! ボク達仲間じゃないか」
「仲間?」
「そうだよ、仲間だよ、選ばれし子ども達の仲間だよ」
丈の言葉に、ヤマトは鼻で笑った。
「じゃあ聞くが、一体誰がオレ達を選んだんだ」
「それは……」
「分からなくて、どうして仲間なんて言えるんだ」
「そりゃ、そうだけど……」
丈は顔を背けてしまう。
「丈、説得しても無駄さ、ヤマトはこういう奴なんだ」
「こういう奴……? お前に俺の何が分かる!」
「分かるさ! 要するにいじけてんだろ? 自分の思う様にならないから」
「へえ、お前は凄い奴だよ、俺がどういう奴なのか、俺にもさっぱり分からないのに、お前には分かるんだ」
空が太一とヤマトの間に入り止めようとする。
「もう、そのくらいでやめよう、2人共」
「俺に言うなよ、ヤマトが突っかかって来てるだけなんだから、俺はこんな奴相手にしない」
太一はそう言って、どこかへ歩き出した。
「大人になったね、太一」
アグモンはその後ろからついて行く。
「そうはいかない!」
メタルガルルモンが太一達の前に立ちはだかる。
「しつこいぞ、ヤマト!」
「俺と戦え!」
「だから嫌だって! 分かんない奴だな」
「分からないのはお前達だ!」
メタルガルルモンがそう怒鳴った。
「本気か!?」
「太一下がって!」
するとアグモンがウォーグレイモンに進化した。
「やめろ、戦う理由は無い!」
「そっちになくても、こっちにはあるんだ!」
ウォーグレイモンとメタルガルルモンは、空へと場所を移し戦い始める。
「2人が戦う理由って……何?」
流紀の呟きは誰にも聞こえず消えた。
「やっと戦う気になったか!」
太一はそう言うヤマトの顔を殴る。
子ども達はその光景に目を見開いた。
「どうして殴ったか分かるか?」
「ああ、オレ達もやろうって事だろ?」
「バカヤロウ!」
「バカヤロウで悪かったな!」
それから、太一とヤマトの殴り合いが始まった。
「2人共、やめるんだ!」
「やめてください!」
「太一頭を冷やして!」
「お前ら、全然分かってないんだな! このパンチはオレのパンチじゃない、ピッコロモンの代わりだ! これはチューモンの代わりだ! そしてホエーモンの!」
太一のパンチに、ヤマトがその場に倒れる。
「ヤマト、オレ達の為に死んでった連中が、こんな無意味な戦いを望んでると思うのか!?」
太一はヤマトの事を想って、そして皆の事を想って殴っているのだと流紀は思った。
「分かってくれたのか?」
「わからねえよ、俺だってわからねえんだよ! ……くそ、くそ、くそ!」
ヤマトは立ち上がり、また太一を殴った。
「やめてよ、お兄ちゃん! 喧嘩はよくないよ……お兄ちゃん?」
タケルがヤマトに声をかけるも、ヤマトには声は届いていたかった。
「もう、嫌!」
ミミが2人を見ていられなくなったのか、少し離れてその場に座り込む。
「ヤマトさんは何か、悩んでるのかな?」
「どうして、雷也はそう思うんだい?」
「……なんとなく、かな?」
その時、子ども達は白い光りに包まれた。
子ども達は目を開けると、そこは白い空間が広がっていた。
「光りある所に、おのずと闇は生まれるもの。光りと闇は丁度コインの表と裏の様な関係。しかし、闇の力が増大すれば……」
ヒカリがそう言うと、白かった空間が真っ暗になった。
「夜になっちゃったの?」
「ここはどこだ? 異次元空間なのか?」
「待って、何か見える」
空さんのその言葉に、子ども達も向き目を凝らしたらそこには……。
「ここは、光が丘だ……」
夜の光が丘が子ども達の前にあった。
その空には2体のデジモンが浮かんでいた。
「あの鳥……4年前の……パロットモン、完全体だったんだ」
「みなさんの世界で4年前、一個のデジタマが誤って次元の裂け目を通ってしまいました……」
「何言ってるんだ? ヒカリ……」
何時ものヒカリらしくないと雷也も首を傾げる。
「ヒカリが言ってるんじゃないわ」
「誰かがヒカリさんの口を通して、僕達に語りかけているんです」
「私は、デジモンワールドの安定を望むものです」
ヒカリは子ども達に、振り返りそう言った。
「もしかして、あなたはデジモンワールドの神様なの?」
「そうではありません。私もデジモン同様、ネット上のデータから出来ています。ただ、デジモンと違うのは、私達は物体化出来ない。つまり、自分の肉体を持てないのです。だから、この方の身体をお借りしています」
「どうしてヒカリなんだ?」
「私の言葉を中継出来るのはこの方だけです。本当は、あなた方が最初にファイル島にいらした時、直ぐにでもお話したかったのですが……」
ヒカリ、いやデジモンワールドの安定を望む人がそう言うと、子ども達の身体が浮かんだ。
夜の光が丘の中に、9つの光りが当たっていた。
「あ、あれ私……」
「僕だ!」
その光りの中に居るのは、4年前の子ども達だった。
「この光りは?」
「みなさんのデータをスキャニングをしている所です」
「一体何の為にそんな事を……?」
「順を追って、説明しましょう」
グレイモンとパロットモンが、吸い上がっている所に子ども達も入っていった。
次に来た場所は、何かの研究室みたいな所だった。
「ここ、どこなの?」
「どこかで見た記憶があるんですが……」
子ども達はその中を歩いていた時、タケルが何かを見つけそこに向かって行ったので他の子ども達も追いかける。
そこにあったのは細長いショーケースがあり、中には10個のデジタマがあった。
「あ、デジタマだ」
「それにデジヴァイスと紋章もある」
その時、子ども達の後ろをフードを被った数人の人が歩いていた。
「すみません、お邪魔してます」
丈がそう言うものの、その人たちは何も聞こえないかの様に通り過ぎ、何かの作業をし始めた。
「なんだいこら! 返事くらいしろよな!」
「この人達は立体映像です。貴方達の頭の中に遠い過去の出来事を送信しているのです」
光子郎は、離れた所に何かを見つけ駆け寄る。
「あ、これ……ヴァンデモンの城の地下にあった石板だ」
「ゲートもある、あの部屋だわ」
ピヨモンがいる所に、子ども達も向かう。
見たらあのゲートそのものだった。
「でも、あの人たちは何をしてるんだ?」
「この世界が、暗黒の力に覆われた時の為の準備をしているのです。まず私達はみなさんのデータからデジヴァイスと紋章を作りました」
「作った……?」
「って事は、オレ達を選んだのは、あなた達なのか?」
「そうです」
太一の疑問に答える。
「どうしてオレ達が選ばれたんだ?」
「太一さんとヒカリさんは、現実世界に迷い込んだデジタマをグレイモンに進化させましたね」
「勝手に進化したんだよ」
「勝手に進化する事はないのです! つまりあの進化は偶然ではない。あなた方と居たから、グレイモンに進化できた」
あのグレイモンは、太一達が進化させたものだったでもどうやってだろうか。
「でも、オレ達何もしてないぜ? デジヴァイスもなかったし…」
「デジヴァイスをただの進化の道具とお考えなら、それは間違いです。デジヴァイスはデジモンをみなさんの特質に合わせて、正しく進化させる為の物、紋章も同じです。それぞれの紋章の意味はご存知ですよね?」
子ども達は手にそれぞれ紋章を持った。
「俺のは勇気だ」
「あたしのは愛情」
「純真」
「知識です」
「親愛」
太一、空、ミミ、光子郎、流紀が言う。
「誠実」
「心」
「僕のは希望の紋章だよ」
「俺は……」
「友情だったよな!」
丈、雷也、タケルが言い、そして言いよどむヤマトの変わりに丈が言う。
「それらは4年前のみなさんの持っていた、もっとも素晴らしい個性です。でも、みなさんがそれを失っていたらどうなりますか? もしかしたらデジモンを悪用するかもしれない。また、その素晴らしい個性を穿き違えたとしたら……」
「あ、もしかして……あの時、オレはグレイモンを超進化させようとして敵の前に飛び出した。だけどアグモンは、スカルグレイモンになっちまった。あれは、間違った勇気……」
「そうです、やっと気付いてくれましたね」
「って事は、僕らは元々持ってた自分らしさを、再発見する為に苦労してたってわけだな……」
ヤマトは話の途中で、さっき居たショーケースの所まで戻っていた。
「でも、太一さんやヒカリさんは分かるけど、僕達はデジモンを進化させた訳じゃないし……」
「みなさんのデータを検証した結果、太一さんやヒカリさんと共通する物があったのです。それが何を意味しているのかは、私達にも謎ですが……」
タケルがショーケースに近づく。
「このデジタマは何?」
「分かりませんか?」
「ひょっとして、僕達?」
「はい」
「ぼくのはこれだな」
「わたしのはこれだ」
ヌイモンとクダモンが2つのデジタマを指差す。
流紀と雷也はそのデジタマを見た。
「私達の計画はダークマスターズの知る事となり、計画の妨害を始めました」
突然、研究室の扉が開いたと思ったら、そこから沢山のデジモンが現れた。
子ども達は突然の事にその場から逃げる。
「これも、立体映像です」
その敵達は、研究員達を攻撃していく。
「くっそー、立体映像だからって、ただ黙って見てるしかないのか」
「あいつは、ガードロモンです」
「また新手が来たぞ!」
ヤマトがそう言った方に居たのは、グレーの全体が機械で出来たデジモンが現れる。
「メカノリモンです」
「わあー! ピエモンだ! 来るな来るな! あっち行け!」
「大丈夫だってば」
「立体映像だって教わったじゃない」
ピエモンはショーケースに近づき、ショーケースを壊す。
「紋章を奪う気だ」
「どうにかならないの!?」
その時、1人の研究員が駆け寄ってくる。
「ピエモン! お前には渡さんぞ!」
「ゲンナイ……」
「ゲンナイさんなの!?」
立体映像のゲンナイは今より若々しく見える。
ゲンナイはピエモンに斬りかかるも、ひらりと交わされる。
ゲンナイがピエモンに背を向けた時、背中に何かを埋め込まれる。
その時、ゲンナイの所にメカノリモンが来て攻撃するも、ゲンナイはそれを避け、そして中からバケモンを出し、その中に乗り込みデジタマと、デジヴァイスを持ちその場から逃げ出した。
「追え、紋章を奪うのだ」
「私達も、後を追いましょう」
子ども達もゲンナイの乗ったメカノリモンの後を追って飛んでいた。
ガードロモンの攻撃が当たり、1つのデジタマが地上へと落ちていった。
「あ、あれは私! だから私は、1人だけ皆と逸れて育ったのか……」
「でも、今は一緒よ」
「そうだな」
そのデジタマを見ていたテイルモンが言い、ピヨモンが励ます。
そしてゲンナイさんを追って見えてきたのは…。
「ファイル島だ!」
子ども達はファイル島に降り立った。
「それから、長い長い年月が経ちました」
デジタマから、産まれたばかりのデジモン達が飛び出した。
そしてデジヴァイスを咥えて元気よく飛んでいた。
「覚えてる……僕達はずっと待ってたんだ……太一を」
「ヤマトを」
「空を」
「丈を」
「ミミを」
「タケルを」
「光子郎はんを」
「流紀を」
「雷也を」
「幾日も、幾日も待ったんだ。そして、ある日……」
デジモン達は突然、デジヴァイスを空へと投げた、すると子ども達が空から落ちてきた。
「そう言う訳だったのか……」
「ダークマスターズの最終目的が何なのか。どうすれば世界を救えるか。今の私達に出来るのはデジモンワールドの異変を感知し、それを修復するシステムを事前に用意する事」
「オレ達は、これからどうすればいい?」
「分かりません、でもみなさんなら、きっと自分の力で答えを見つけられると信じています」
すると少しづつ目の前の景色が、子ども達がいた場所へと戻っていた。
「ヒカリ」
「お兄ちゃん……テイルモン」
「無事だったか」
「どこか痛みとかない?」
「ううん、皆どうしたの?」
ヒカリはさっきあった事は、覚えていなくてキョトンとしていた。
「ヤマト、これで選ばれし子ども達の答えは分かったよな?」
「ああ」
「やっぱり、この世界の歪みを正せるのは、オレ達しかいないみたいだ。ヤマト、また一緒にやろう……」
太一はヤマトの近くへと行く。
「すまん」
「お兄ちゃん……」
「オレ間違ってたのかな?」
「いや、悪いのは全部オレだ」
「じゃなくて、オレが今までやってきた事だけど……」
ヤマトは子ども達に背を向けて少し歩いて止まる。
「オレなんかが偉そうに言う事じゃないと思う、正しいとか、間違ってるとかじゃないと思うんだ。ただ、お前はお前の道があり、オレにはオレの道があるんだ。自分の道がどんな道かはオレにも分からない。お前と戦えば、それが見つかるかと思ったが……謝って許してもらえるとは思わないが、すまなかった」
ヤマトは子ども達の方を振り返る。
「でもオレはオレの道を探したい。いや、探さなきゃいけないんだ! だから、オレは皆と別れて行動する、ツノモンと2人だけで」
「考え直してください! だって、ヤマトさんの紋章、つまりヤマトさんの個性は……!」
「友情……か、だけど友情ってうそ臭い言葉だよな。いや、オレが本当の友情を知らないだけかもしれないな」
「ね、こうしたらどうかしら? 二手に分かれて行動するの」
空の提案に首を振るヤマト。
「悪いが、1人で行かせてくれ」
「そう、でも、ヤマトなら大丈夫よ、信じてる」
するとタケルがヤマトにこう言った。
「お兄ちゃん、僕どうしたら」
「お前は1人でも十分やっていける」
「でも……」
「タケルくんはあたし達と一緒よ。ヤマトは1人で考えたい事があるの、行かせてあげましょ?」
「ありがとう、じゃ……」
そう言って歩いていくヤマト。
「さーてと、オレ達も出発しようぜ! 頑張ってデジモンワールドの歪みを正そう」
太一はヤマトと反対方向に進むので子ども達も習い進む。
「ミミちゃん……」
ミミはその場に立ち止っていた。
「ごめん空さん、私行かない」
「行かないって、ここに残る気?」
「うん、これ以上誰かが傷ついたり、死んでいくのを、私見たくない……」
「僕も残るよ、ミミちゃん1人だと危険だから、説得して、説得できたら太一達の後を追いかける! いいよな?」
「ああ、頼むよ、丈」
丈さんはミミさんの元に駆け寄る。
「また皆離れ離れになるの?」
「せっかく10人揃ったのに……」
「あんた達、何も分かっちゃいないわね。行く道は違うけど、目的地は同じって事。どの道も茨の道だろうけど……」
子ども達はまた皆が揃うと信じて歩き出した。