「なんて事だ、ここは本当に……島だったんだ、これからどうすればいいんだ僕達は、どうすればいいんだー！」

　流紀達が頂上に着くと丈が叫んでいる所に遭遇した。

　「なぁ、雷也」

　「何？太一さん？」

　「ここから見える範囲でいいから地図を作ってくれないか？　雷也スケッチブック持ってたろ？」

　「うん、持ってる！　描いてみるよ！　太一さん単眼鏡かして？」

　雷也はスケッチブックから一枚紙を取った。

　「いいぞ、ほら」

　「ありがとう、頑張って描くよ！」

　雷也はクダモンを首に巻いたまま、単眼鏡で見ながら地図を描いていた。

　「これから、何かの役に立つかもしれないからな」

　「なるほどいい考えですね」

　「雷也くんうまいじゃない」

　「いつも通り上手よ」

　「うむ、いい出来だ」

　雷也は皆に褒められ照れる。

　「へへ、太一さん。はい！　出来たよ」

　「ありがとな！」

　「うん！」

　雷也が地図を描いた紙を太一に渡したその時、大きな物音がした。

　「なんだ」

　子ども達は物音がした方に行ってみる事にした。

　「通れなくなってる」

　「あ！　レオモンだ」

　「レオモンって？」

　「レオモンはいいデジモン」

　「とっても強い正義のデジモン」

　その時レオモンは何か言いながら腰にある剣を抜いた。

　それを見た子ども達は逃げ出した。

　その時太一のポケットから雷也が描いた地図が出てきた、それを取ろうと太一は戻るもレオモンが来たので、アグモンがベビーフレイムを放ったら地図まで燃えてしまった。

　「ごめん太一、雷也、地図まで燃えちゃった！」

　「しょうがないよ」

　「大丈夫描いた事覚えてるからさ！」

　だが逃げている方向にまたデジモンが現れた。

　「オーガモンだ」

　「あれも本当はいいデジモンなの？」

　「正真正銘の悪い奴だよ」

　流紀達は、挟み撃ちにされた。

　「しまった！　挟まれた！」

　「最初から僕達をここに追い込む作戦だったんですよ」

　「そんな……レオモンとオーガモンは敵同士なのに」

　レオモンとオーガモンは同時に攻撃しだした。

　「アグモン進化グレイモン！」

　「ガブモン進化ガルルモン！」

　「パルモン進化トゲモン！」

　「ピヨモン進化バードラモン！」

　「テントモン進化ガブテリモン！」

　「ゴマモン進化イッカクモン！」

　進化できるデジモンが進化し、それぞれオーガモンとレオモンを止める。

　「タケル、流紀ちゃん、雷也こっちだ」

　「「うん！」」

　流紀達は安全な岩陰に隠れた。

　グレイモンが攻撃しようとしたその時、上の方から岩が落ちてくる。

　「崖崩れだ！」

　デジモン達のおかげで怪我をする事はなかった。

　「あいつらは？」

　「そうだ、オーガモンが」

　「レオモンも」

　「今の崖崩れに巻き込まれたのかも」

　丈はそれを確かめる為か下を覗いた。

　「ええ、ここから落ちたら助からないよ」

　「レオモンもオーガモンも飛べそうにないわよね」

　「じゃ……じゃあ助かったんだ僕達は！　なんてツイてるんだアハハハ」





　子ども達達は山を下りるため歩き出し、今は森の中を歩いている。

　「どう考えても変ですよ、1日に2回の進化なんて」

　「いいじゃねーか、おかげで助かったんだから」

　「ねえ、デジモン達がパワーアップしているとは考えられないかしら？」

　「そうかその可能性もありますね」

　「だが、そうだとしても流石に今日はハードすぎたな」

　流紀と雷也は額の汗を拭う仕草をした。

　「もう歩けないよー」

　「ダメだ、どこかゆっくり休める場所を探した方がいいな」

　「あー！　あれ！」

　丈が指差した方を見るとそこには不釣合いな立派な建物が建っていた。

　子ども達はその建物に向かって走る。

　「やった！　普通の建物だ、今度こそ人間が住んでるに違いない」

　「待て、いきなり入ったら危険だぞ」

　丈とヤマトは建物の近くへと行った。

　「こんな建物あったかな？　雷也は見たか？」

　「ううん、見てない。見てたら地図に描いてるし。ね、お姉ちゃん！」

　「そうね、描いてなかったわね」

　「だよなー」

　太一は頭をかく仕草をした。

　「地図になんか描いてないの？」

　「「「それは……」」」

　「なくしちゃったの？」

　「「「お前/ガブモンが燃やしちゃったんだろ/でしょ/だよ」」」

　「あ、そっか」

　「覚えてなかったとは……」

　「覚えてなかったのか……」

　その後、流紀達は丈達の所に行った。

　「どんな様子だ？」

　「特におかしい所はない様だが」

　「それだけに、かえって不気味ですよ」

　「そうね」

　子ども達は玄関先に佇んでいた。

　「君達まさか引き返そうって言うんじゃないだろうね？　こんな立派な建物があるっていうのに」

　「まあ、それもそうだが」

　「あー、綺麗な絵」

　「本当に綺麗！　流紀ちゃんも一緒に見ましょ？」

　「え、う、うん」

　「待ってお姉ちゃん！」

　流紀、雷也、タケル、ミミは天使の絵を近くで見ていた。

　「天使の絵」

　「僕もこんな絵描いてみたい」

　「雷也なら描けるわよ」

　「タケル天使って何？」

　「それはね……」

　タケルが説明しようとした時、丈が割って入った。

　「こんな綺麗な天使の絵が飾ってある所に悪いデジモンが居るはずないじゃないか」

　「ま……確かに今更野宿って言うのも厳しいわね」

　「仕方ないか」

　子ども達皆建物の中に入っていった。

　「ここでこうしててもしょうがないわね」

　「ん、これは」

　「え？　どうしたガブモン」

　「食べ物の匂いだ、それもごちそうだ、こっちだよ」

　ガブモンに案内されて着いたのは食堂だった。

　テーブルの上には美味しそうな食べ物がいっぱい載っていた。

　「食いもん……だよな……」

　「そう……見えますが」

　「こんなバカな話があってたまるか」

　「いくらなんでも、話がうますぎるわ」

　「うん！　ホントにうまいわ」

　ピヨモンの声の方を見るとデジモン達がごちそうを食べていた。

　「なんともないのかアグモン」

　「うん！　美味しいよ」

　「こんなうまいもん食わんなんて、バチがあたるで」

　「僕は食べるぞ、少しくらいラッキーな事があってもいいじゃないか、いっただきまーす」

　丈以外の子ども達で顔を見合わせていると、我先にと食べる事にしたようだ。

　「こんなうまい料理生まれて初めてだー」

　「美味しいね、ヌイモン」

　「ああ！」

　「こっちも美味しいよクダモン」

　「こらこらそんな急ぐな」

　ご飯を食べ終わった子ども達はお風呂があるのを見つけて入っている。

　男風呂からは騒がしい声が聞こえている。

　「まーたバカやってる」

　「ふわー、いい気持ち」

　「疲れが取れてくー」

　「あー極楽、極楽」

　なぜかゴマモンが女風呂に入っていた。

　「「「ああー！」」」

　「なんであんたがこっちにいるの！」

　「ゴマモンはあっちー！」

　「うわー」

　ゴマモンはパルモンによって男風呂に投げ飛ばされた。





　子ども達はお風呂から出て、寝室に行った。

　「わあ、ふかふかだっ！」

　「ホントだー！お姉ちゃんも！」

　「はいはい」

　子ども達は各々ベッドに寝っ転がった。

　「本物のベッドだちゃんとシーツにノリもきいてる」

　「なんだか林間学校みたい」

　「"みたい"じゃないよ、そもそも僕達はサマーキャンプに来てたんだ、それがどういうわけか、ああ……ごめん」

　子ども達は丈の言葉を聞いて顔を俯かせた。

　「そうだよな、ただのキャンプに出かけるつもりで皆家を出たんだよな」

　「俺達がこのファイル島に来てから今日で5日、学校や町内会じゃ、大騒ぎになってるだろうな」

　「今日はもう寝ましょ、デジモン達も疲れてるし」

　「そうだな、おやすみ」

　「「「おやすみ/なさい」」」

　子ども達は眠りについた。





　「なんだこれは！」

　「「キャー！」」

　流紀と雷也が起きるとなぜか周りの景色が違い、しかもなぜかベッドが浮いていた。

　「「「うわーっ！」」」

　島が分裂して流されていくのと、子ども達がバラバラに飛ばされる。