デジモンアドベンチャー 光子郎 タケル
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「あ、シン兄さん、お父さん達は!?」
「相変わらずさ」
子ども達はその言葉に俯いた。
「きっとヴァンデモンを完全に倒さない限り、元には戻らないんだよ」
「ナツキ! あたし戦える!」
「ロップモン」
「ユキナ、僕だって戦える!」
「テリアモン」
ナツキとユキナはヴェノムヴァンデモンの所へ行く決意をした。
ナツキ以外にもミミ、空も行くと言った。
「君達……」
何も言わない丈にゴマモンが頭の上によじ登る。
「行くぞ、ゴマモン! って何で言えないかなぁ」
「へへ……よーし! 行くぞ、ゴマモン!」
「ガッテンだい」
そう言って駆け出す丈に続き、子ども達は丈のお兄さんに寝ている家族達を託し、子ども達は駆け出した。
ナツキとユキナは途中で進化したトゥルイエモンとガルゴモンに乗り、ヴェノムヴァンデモンの所へ向かった。
ヴェノムヴァンデモンの周りは、想像以上に酷い有様だった。
ナツキとユキナはトゥルイエモンとガルゴモンから飛び降りた。
「よーし、皆で一斉攻撃だ!」
皆でヴェノムヴァンデモンのお腹辺りに攻撃をし、そこの部分をウォーグレイモンが貫いた。
ヴェノムヴァンデモンはその時、思わず膝を付いた。
子ども達は固唾を呑んでそれを見ていると、ヴェノムヴァンデモンが立ち上がり唸りだした。
その貫いた所から声が聞こえたと思ったら、そこには恐ろしい顔があった。
そこから溢れ出す黒いオーラにデジモン達は飛ばされてしまう。
「お前ら皆食い殺してやる」
ヴェノムヴァンデモンのその姿に、子ども達は息を呑んだ。
その時、子ども達の紋章が光り輝いた。
それぞれの光りが伸び、ヴェノムヴァンデモンの身体を拘束する。
「ええーい、小癪な! 選ばれし子ども達め!」
「喋った……そうだ、きっとあの化け物がヴァンデモンの正体なんだ! ウォーグレイモン!」
その時、メタルガルルモンがウォーグレイモン目掛けて壊れたフジテレビの展望台の球体の部分をパスした。
「ナイスパス」
「「「シュート!」」」
子ども達は皆で叫んだ。
ウォーグレイモンが蹴った球体の部分は、真っ直ぐにヴェノムヴァンデモンのお腹にある顔にヒットした。
そこにウォーグレイモンとメタルガルルモンが、攻撃を加えるとヴェノムヴァンデモンは塵になって消えた。
子ども達は一箇所に集まった。
「ナツキ」
「ロップモン、お疲れ様!」
「ユキナ」
「テリアモン!」
ナツキとユキナはロップモンとテリアモンをそれぞれ抱きしめた。
「あらあなた誰?」
「プロットモンです、よろしく」
「アグモン達を究極体にするのにエネルギーを使っちゃって、テイルモンも成長期に戻っちゃったのね」
「へえ」
「ねえ、見て霧が晴れていく」
空が上を指差したので、子ども達も上を見た。
だが霧が晴れ見えた空に浮かぶ光景に、子ども達は息を呑んだ。
「えー!」
「うそ……」
「こんな事って……」
空には帯状に森や山が映っていた。
「え……どうして……?」
ナツキとユキナはその光景にロップモンとテリアモンを無意識に落とした。
子ども達が空を見上げていると、タケルを呼ぶ声が聞こえた。
それはタケルのお母さんのものだった。
「あたしのパパとママ、大丈夫かな」
「大丈夫よ、きっと」
その時、バイクのクラクションが聞こえた。
「誰か来る……」
「あ、あれは……シン兄さん!」
「お兄さん!」
その人は丈のお兄さんだった。
「ビックサイトにいる、皆のご家族は無事だ。皆元に戻ったよ」
「よかったぁ」
子ども達がそれを喜んでいると、丈のお兄さんは小型テレビをつけた。
《あの大陸は錯覚なんかではありません。確かに存在しているのです。一体何が起こったのか全く分かりません。このままでは、やがて世界の空は、あの誰にも見たことがない不気味な大陸に覆われてしまうでしょう》
そのニュースで分かった事は、空が可笑しくなったのはお台場だけではないという事だった。
「ど、どういう事なんだよ……」
「これもヴァンデモンの仕業なのか?」
「そんな事ないよ、今度こそ確実にヴァンデモンは倒したんだから」
「うん、間違いない」
ヤマトの言葉にツノモンとコロモンは倒したと言い切った。
空をずっと見ていた光子郎が声をあげた。
「もしかしたら……太一さん、ちょっと単眼鏡であそこを覗いてもらえませんか?」
「え? どこ?」
「ほら、あの山なんですけど……」
太一は単眼鏡で空を見た。
「どれ? どの山だよ、沢山あってわかんねーよ」
「あそこです! ほら!」
「あそこって言われても……どこだ……あ!」
太一さんが何かに気付き声をあげた。
「どうしました?」
「飛行機だ、飛行機がいる……落ちる! 飛行機が落ちる!」
ピヨモンが進化し、バードラモンが飛行機の元へと向かう。
飛行機をバードラモンは必死に支えていた。
「頑張って! バードラモン!」
その時、空さんの紋章が光り、バードラモンはガルダモンに進化した。
ガブテリモンも加勢するために空へ飛び立って行ったが、何故かどこかに向かって攻撃を放った。
「クワガーモンだ!」
太一さんが単眼鏡を覗きながら言う。
少ししてガルダモンとガブテリモンが戻ってきた。
「おい、今のクワガーモンかよ?」
「あの大陸から、飛んで来たのよ!」
「やっぱりそうでしたか……」
子ども達はその言葉に光子郎を見た。
「やっぱりってなんだよ」
「あの大陸はデジモンワールドです」
「あれがデジモンワールド!?」
「確かにそう言われてみれば、どことなく……」
子ども達はまた空を見た。
その時、丈のお兄さんが私達を呼んだ。
「おい、ちょっと来てごらん」
丈のお兄さんの所へ子ども達は行った。
小型のテレビには世界中に、デジモンが現れた映像が映っていた。
《ご覧下さい、これは特撮映画ではありません》
「あのデジモン達には迂闊に手が出せないわ、触るとあんな風に固まってしまうの」
「メガブラスターも、突き抜けてしまいよるねん」
「なんだってんだよ、もう……」
ヒカリは私達から少し離れた所で空を見ていた。
「あれがプロットモンの居た世界?」
「いや、あれはもう私達のいたデジモンワールドではない」
「そうですよ、こっちに来てからもう数日が経ちます! と言う事は、デジモンワールドでは何年も経った事になる」
「ボク達デジモンワールドの歪みを正さないまま来ちゃったから、向こうでは大変な事になってるんじゃないの?」
「その影響があたし達の世界に現れたって事……」
私達は黙ってまた空を見上げた。
「行ってみよう! もう一度、デジモンワールドに!」
「でも、どうやって行くの?」
確かにミミの言う通り、どうやって行くのか。
「初めてデジモンワールドに行った時は、デジヴァイスに導かれたんだ、だったら今回もきっと!」
「うん、試してみる価値はありますね」
「よし、皆のデジヴァイスを集めるんだ」
子ども達はデジヴァイスを手に持ち、画面を空へと向けた。
「頼む、俺達をまた、デジモンワールドへ連れて行ってくれ」
すると、デジヴァイスが光りだし、虹色の光りがデジモンワールドへと伸びた。
「この光りに乗れば、デジモンワールドへ……」
「ああ、きっと行けるさ」
「デジヴァイスの導き……」
その時、子ども達の方へ向かってくる足音がした。
そっちの方を見たら、ナツキ達の両親が立っていた。
「パパ!」
「ママ!」
「「ナツキ! ユキナ!」」
子ども達は虹色の光りに入った、身体は上へ上へと上がって行った。
「心配しないで! 絶対に戻ってくるから!」
「「「いってきまーす!」」」