デジモンアドベンチャー 光子郎 タケル
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子ども達は太陽が照りつける砂漠を歩いていた。
子ども達は照りつける暑さに、体力をジワジワとなくしていく。
「ナツキ水まだあるぅ?」
「ロップモンごめん、さっき飲んだので終わりみたい」
「えぇ……」
ロップモンは目に見えて落ち込んだ。
「ユキナがんばぁ」
「テリアモンもぉ」
「あたしが巨大なトゲモンになって皆に日陰作ってあげたい」
「パルモン! あれ!」
ミミが指を差した方を見ると、少し遠くにパルモンが言った様な巨大なサボテンが立っていた。
「「大きいサボテン……」」
ナツキとユキナはポアポアした頭でそう言った。
「巨大なサボテン!」
「よーし皆、あの巨大なサボテンの日陰に入るんだ!」
子ども達は巨大なサボテンに向かい走っていった。
だが、近くに行くと日陰はなかった、その時その巨大なサボテンは、目の前でユラユラと揺れ消えてしまった。
「し……蜃気楼だった……」
「蜃気楼?」
「幻という意味です」
「なるほど……」
「納得してる場合じゃないよユキナ」
ユキナはテリアモンに呆れられた。
そして子ども達は蜃気楼だった事に、その場に座り込んでしまった。
その時、子ども達を呼ぶ声が聞こえ、子ども達は周りを見渡した。
すると、ファイル島で見た立体映像機が目の前に現れ、ゲンナイの姿が映った。
「やいじじい! お前の言った通りタグと紋章を手に入れてはめ込んで、敵と戦ったけどちゃんと進化しなかったじゃないか‼︎」
「あたし、紋章なんて欲しくない!」
「落ち着け、選ばれし子ども達。望むと望まなざるとに関わらず、いずれ紋章はお前達の物となる、タグと紋章はお互い惹かれ合う性質を持っておるのじゃ」
子ども達はそれを聞いて落胆の声をあげた。
「アグモンがコロモンに退化した訳を話そう。たとえタグと紋章を手に入れても正しい育て方をしないと……」
「正しい育て方?」
「そう、正しい育て方をしないと正しい進化はしない」
「正しい育て方ってなんだよ?」
「選ばれし子ども達よ、正しい育て方を考えるのじゃ、それが……」
突然目の前の映像が乱れ始めたと思ったら、ゲンナイは言葉途中で消えてしまった。
「正しい育て方……」
ゲンナイの言葉にデジモン達はパートナーを見た。
ナツキとユキナはロップモンとテリアモンを見ると平然としていた。
不思議に思った2人は声をかける事にした。
「ロップモンは、不安じゃないの……?」
「え? なんでぇ?」
「だって……、私が正しい育て方しないと……ロップモンが……」
「ナツキなら大丈夫だよ」
ロップモンはそう言って微笑んだ。
「テリアモンも、不安じゃないの?」
「僕はユキナ信頼してるから大丈夫さ」
その時、汽笛の音がした。
「軍艦だ!」
「いいえ、豪華客船よ!」
「え! どうして砂漠の中に豪華客船が!」
「あれも蜃気楼?」
「蜃気楼、じゃ、ない!」
子ども達は急いで豪華客船の脇に移動して難を逃れた。
豪華客船はなぜか止まり、そこから姿を現したのはヌメモンだった。
「ヌメモン! 船で休ませてくれないか?」
だがヌメモンは太一の言葉に余り乗り気ではなかった。
「ヌメモンの事ならあたしに任せて! ヌメモーンあたし達、疲れてるのこの豪華船で少し休ませてー、お、ね、が、い、んふっ」
ヌメモンはミミの魅力に落ち、目をハートにしながら階段を降ろしてくれた。
子ども達は豪華客船の中に入って行った。
中に入ると内装も豪華だった。
「きゃはっ、一流のホテルみたーい、うふっ」
中には色々な設備があった。
ナツキとユキナはまず水筒に水をいっぱい入れ様とキッチンに行こうとしたら2人のタグが光りはじめた。
「タグが」
「光ってる」
ナツキとユキナは目を見合わせ、頷きあう。
「キッチンの方よ」
「行ってみよう!」
ナツキとユキナはキッチンに入り蛇口を見る。
「ここから、だね……」
「うん、捻ったら出てくるとか?」
「まさかぁ」
「やってみたら?」
ロップモンにそう言われナツキとユキナは蛇口を捻る、すると水と一緒に紋章が出て来た。
「やった!」
「紋章だわ!」
「やったね!」
「すっごーい!」
ナツキとユキナは空達が待っている寝室に急いだ。
「テリアモンはここで待っててね」
「ユキナなるべく早くね」
テリアモンを脱衣所の前で待たせたユキナは、空とミミが居るお風呂場に入った。
子ども達が、お風呂を堪能している時、テリアモンが脱衣所から声をかけてきた。
「皆、大変だよ! 僕達を捕まえようとしている奴が居るって、ヌメモンから聞いたんだ早くここから出よう!」
「大変! ミミちゃん、ナツキちゃん、ユキナちゃん、このタオルを巻いて窓から逃げるわよ!」
「「「分かった!」」」
「テリアモンも来て!」
ユキナは空達がタオルを巻いたのを見て、テリアモンを呼び中に入れ、窓から逃げた。
子ども達は濡れたまま廊下を走る。
だが突然目の前に大きな鳥の見た目のデジモンが現れた。
子ども達は2mほど離れた所で立ち止まった。
「コカトリモン!」
「エテモンの仲間?」
「そうみたい」
その時コカトリモンは両手を広げ高笑いをした。
その手には紋章がぶら下がっていた。
「太一さんと丈先輩の紋章!」
「選ばれし子ども達5人はつかみゃーて、日干しにしたがや! 暫くしたら選ばれし子ども達の干物が出来るがや」
「そんな酷い……」
子ども達は顔を俯かせた。
「デジモン達は?」
「わしの力で石にしたがや、美味しいキムチの漬物石くらいには使えるがや」
「なんて事を……」
「お前達も同じ運命だ、コカーッカッカッカッ」
「許さない」
ピヨモンはそう言った後、技を仕掛けそれに続いて、他のデジモンも技をだした。
だが全て塞がれてしまった。
その時コカトリモンから攻撃が来て子ども達は逃げ出した。
子ども達は必死に走り、船の甲板まで逃げた。
だがこれ以上は逃げられない。
「追い詰めたがや!」
「ピヨモン進化よ!」
ピヨモンはバードラモンに進化した。
「と、飛んだぎゃー!」
バードラモンの攻撃をジャンプで躱すコカトリモン。
「コカトリモンてば飛べないみたい」
「ロップモン!」
「うん!」
「テリアモン!」
「任せて!」
「パルモンチャンスよ!」
「うん!」
ロップモン達も進化し攻撃する。
トゲモンとトゥルイエモン、ガルゴモンの攻撃のおかげで、コカトリモンを倒す事が出来た。
「「「やったー」」」
私達は微笑みながら顔を見合わせた。
「ヌメモン達が、慌てて逃げていくぞ!」
「この船は危険ですね」
「あたし達も早く脱出しましょう!」
「そうだな」
子ども達はまた広い砂漠の中を歩いていた。
その時、後ろから汽笛の音がした。
その音に子ども達は振り向くと、さっきまで乗っていた豪華客船が走って来ていた。
子ども達はそれから逃げる為必死に走った。
「コカトリモンが蘇ったのか?」
「そんな馬鹿な!」
その時子ども達の前に巨大なサボテンが見えた。
「巨大サボテン?」
「また蜃気楼?」
「いや、影がある!」
子ども達はサボテンの裏にまわった。
豪華客船は巨大サボテンに当たり弾かれて、空へと飛んで爆発した。
「蜃気楼じゃなかった」
「わあ、本物の巨大サボテンだ」
子ども達が巨大サボテンを見上げると、その天辺から花が咲き、そこの中から石版が出て来てミミさんのタグの中に入った。
「これがゲンナイさんの言ってた、タグと紋章が惹かれ合うって事なのね」
「欲しくなかったのに、あたしパルモンを正しく育てられるかしら」