デジモンアドベンチャー 光子郎 タケル
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海に出て5日目の朝。
「やったー! おい、皆起きろ、大陸だ、サーバ大陸に着いたんだ!」
太一の呼び声により子ども達は目が覚め、各々欠伸を漏らしながら怪しげに太一を見る。
「なんだよ騒々しい」
そんな子ども達と反対に、太一は笑顔でついに見えてきたサーバ大陸を指差す。
「ついに着いたんですね!」
「わーい、着いたんだ!」
「やったね! お姉ちゃん!」
「そうね!」
子ども達は少し高い位置のホエーモンから降りる。
「ユキナしっかり捕まっててよ」
「うん」
ナツキは先にロップモンと降りていた。
ユキナもテリアモンを抱きしめ、勢いよくジャンプし、無事ホエーモンの上から降りられた。
「さあ、ミミちゃん勇気をだして!」
「なんでこんな所から上陸しなきゃいけないの! もっとマシな場所なかったの?」
「確かに、ここから少し北の方に、上陸しやすそうな入り江はあるんですが」
「だから皆で相談して、ここから上陸する事に決めたんだ、君は寝てたけど」
「もう! そんな大事な事、勝手に決めないでよーっ! いやー!」
ホエーモンは焦れたのか、ミミを押しやり上陸させた。
そしてホエーモンは子ども達と別れ、また海へと帰っていく。
「で、これからどこ行くの?」
「ホエーモンが教えてくれたの、ここから半日ぐらい歩いた、森の中にコロモンの村があるって」
「コロモンやったら、ウチらにも協力してくれるはずや」
「よし!じゃ出発しようぜ!」
「本当に大陸に来たんだ……」
「たく、何分かりきった事言ってんだよ」
「だってこんなに歩いてるのに、全然代わり映えのない景色ばっかりじゃないか」
確かに丈の言う通りで、歩いても歩いても代わり映えしない景色である。
「あーあ、陸に上がったら、お風呂に入れると思ってたのに」
「村に着いたら入れるわよ」
その時アグモンが何かに気づいた。
「アグモンどうした」
「こっちからコロモンの匂いがするんだ」
「なんだって? ……森だ」
太一はアグモンにそう言われ、単眼鏡で周りを確認した。
「「「えっ! 森?」」」
「コロモンの村がある森か?」
「多分な!」
太一はそう言って走り出してしまった、子ども達もその後に続く。
「あっ」
そこには。
「コロモンの村だ!」
があった。
「お風呂! ナツキちゃん達も行きましょ!」
「わわっ」
ナツキとユキナはミミにコロモンの村まで引っ張られた。
「ちょっとミミ待って」
「ナツキ!」
「ユキナ!」
するとアグモンが何かがおかしいと顔を顰めた。
「どうしたアグモン」
「違うここ……」
「「「え?」」」
他の子ども達はミミとナツキ、ユキナを追いかける。
「お風呂、お風呂、お風呂ーっ! ねぇ、お風呂どこ? あれ? コロモンってこんなのだっけ?」
「コロモンはピンク色だよ? ミミさん」
「そうだよ、ミミさん」
「違うわ、こいつらパグモンよ」
ナツキとユキナ、ミミはパグモン達に連れられた。
「ミミ」
「ナツキ」
「ユキナ」
「キャー!」
「あ、お風呂!」
「やったー! お風呂だわ、ありがとうパグモン」
「どういたしまして」
パグモン達はすぐに出て行った。
「さっ、ナツキちゃん、ユキナちゃん入りましょ?」
「うーん……ま、いっか」
「お姉ちゃんが入るならあたしも入る!」
ナツキとユキナ、ミミはお風呂に入った。
「はぁー、極楽極楽」
「気持ちーい」
「ふぃー」
すると、いきなりカーテンが開けられた。
「いやー! 何覗いてんのよ、レディが入浴中なのよ!」
「あ、太一さんに光子郎さん……サイテー……」
「い……いや、そんなつもりは……うわっ!」
「あーあ」
太一と光子郎はミミが投げた物によって撃退された。
暫くしてナツキ達がお風呂から上がると、パグモン達から歓迎されご飯まで出してもらった。
「ようこそ、ハイハイ、ようこそ、ハイ! ここはパグモンの村」
子ども達がご飯を食べていると、突然進化の光りが。
「あ、トコモンだ」
「進化したんですね」
「よかったね、タケルくん!」
「よかったな、タケル」
「次に進化したらパタモンだ」
「タケル一緒に頑張ろうね」
「うん!」
「はーい、拍手」
子ども達はミミの言葉に従い、喜ばしい事に対して拍手した。
夜になり子ども達は眠りについた。
翌朝子ども達はトコモンが居ない事に気づいた。
「トコモンが居ない!」
子ども達は手分けしてトコモンを探す事にした。
「もう、せっかくのんびり出来るかと思ったのに、手間かけさせないでほしいわ」
「今まで1番、手間かけさせてたのは誰だっけ?」
「丈先輩?」
「君だよ、君!」
ユキナは落ち込むタケルに声をかける事にした。
「タケル、きっと見つかるよ、元気出して」
「うん、きっとどこかにいるよね……」
「タケルが元気ないと、きっとトコモンも元気なくなるよ」
「トコモンはまだ小さいですからね、遠くまでは行けるはずないんですが」
「そうね……」
「なんだありゃ」
その時、建物の上の方で周りを見ていた太一が何かを見つけた。
「どうした太一」
「あっちの方から煙が上がってる」
「え?」
太一の指差す方に子ども達が顔を向けると、本当に煙が上がっていた。
「なんだ、なんだ?」
「トコモンだ!」
「きっとそうね!」
「そ……そんなはずないよ、あそこの滝はさっき探したから」
「でも、探し終わった後に、あそこに移動した可能性もありますよ」
「俺が見てくるよ」
太一が下に降りて来てそう言った。
「ダメダメダメ!」
「どうして駄目なの? ちょっと見てくるだけよ」
「うわあー!」
突然ミミの叫び声が聞こえた。
「な……何よこれ?」
「ボタモンや」
「どういう事だ?」
「ボタモンはコロモンに進化する前のデジモン、パグモンの村にいるはずない」
「それじゃ、ここはやっぱり……」
子ども達はその言葉に下を見た。
「ようこそ、ハイハイ、ようこそ、ハイ! ここはパグモンの村、じゃないですよ、ハイハイハイ」
「逃げたわ」
「騙しやがったんだな」
子ども達は皆で滝の方へと走って行った。
子ども達は到着するとアグモンはグレイモンに進化していた。
無事トコモンとコロモンを助ける事が出来た。
「あーもしもし」
「なんだこの声は?」
「選ばれし子ども達聞こえる?」
「エテモンだ!」
エテモンというデジモンの映像が空に現れた。
「よくもアチキをコケにしてくれたわね! 腹が立っちゃったからこの村ごと消滅させてあげちゃうわ」
「村ごとだって?」
「そんな事出来るわけが……」
「ダークネットワーク!」
その言葉に反応する様に地面からいくつもの、黒いケーブルが浮き上がり、そこから電気が発生し子ども達の周りを襲った。
「皆、進化よ!」
空に言われて、ガブモンとアグモンが進化したが……。
「そうはさせないわよラブセレナーデ! イエーイ! ラブラブラブラブ」
エテモンの演奏が始まるとグレイモンとガルルモンの進化が解けてしまった。
「どうしたんだよ、皆」
「ち……力が出ないんだ」
「あのラブセレナーデは戦う気力を奪ってしまうんや」
「何か対策はないんですか?」
「今のままやと無理やもっともっと進化せな」
「ガルルモン以上に進化しろって事か」
デジモン達がもう一段階進化しなければこの打開策は見つからない。
「だからゲンナイさんはタグと紋章を手に入れろって言ったのね」
「今更そんな事分かっても遅いよ!」
その時、黒いケーブルから発せられる電気が子ども達に襲いかかった。
「皆こっち」
コロモン達の案内で洞窟の奥の方へと行った。
「ここは」
「村に何かあった時はここから逃げろって言い伝えがあるんだ」
「この模様は」
子ども達の目の前にある模様の入った石版がどんどん小さくなって太一のタグの中に入った。
「これは……紋章だ!」
「なんだと?」
「紋章が手に入ったんだ!」
「やった」
「やったね! 太一さん!」
「見て」
空の言葉に前を向くとそこには外に通じていた。
「こ……ここは……」
「僕達の村からずーっとずーっと遠くにある山の中だ」
「じゃあ助かったんだ」
「そうみたいだな」
「よかった!」
「これで、一安心ね」
「紋章だ、ついに手に入れたんだ、こいつさえあればエテモンなんか怖くないぜ!」
ナツキとユキナは太一の言葉に少し疑問に思った。
「お姉ちゃん……」
「きっと大丈夫よ……」