デジモンアドベンチャー タケル
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突然足元にある地面が消え、私達は広くて暗い場所に落ちるが途中で止まる。
「止まった……」
「太一、無事か!?」
「ああ……」
私は周りを見渡した。
「ここは、一体何なんでしょう……」
その時、光子郎さんのパソコンがなる。
私達は光子郎さんの周りに集まった。
パソコンにはゲンナイさんが映っていた。
「おそらく、この闇に終わりはないじゃろう」
「ゲンナイさん」
「おい、一体どうなってんだよ!」
「ダークマスターズを倒したっていうのに!」
太一さんとヤマトさんが怒鳴る。
「全ての悪を生み出した、最も根源的な物を、まだ倒せていないのじゃろう」
私達は驚きの声をあげる。
「火の壁からやってきた暗黒の元……」
「火の壁?」
「ダイノ古代境の碑文じゃよ、碑文にはこう記されてあった……。太古の昔、デジタルワールドのとある所にあった火の壁の向こう側から何かが現れた。それは存在する事によって時空を歪ませる生き物で、世界は崩壊の危機にみまわれた。デジモン達の力ではそれを倒す事が出来ず、現実世界から選ばれし子ども達を招き、そして、それは退治されたと……」
「え!? と言う事は……」
「選ばれし子ども達は、僕らの前にも居たのか!」
『私のお兄ちゃんの事ね!』
私はお兄ちゃんもこんな冒険をしたのかと思った。
「じゃあ、あたし達が呼ばれたのも、その火の壁から何かが出て来たの!? それが本当の敵!?」
「ダイノ古代境の碑文には予言も書かれておった。やがてまた、火の壁から巨大な闇がこの世界に入って来るだろうと……」
「大きな闇?」
「この闇の事か?」
「この闇が敵の正体だって言うのか!?」
私達はまた周りを見た。
「そうとも言える、しかし実体もあるじゃろう。心して戦うのじゃ、子ども達よ……」
「おい、消えるな!」
ゲンナイさんの通信は途絶えた。
「雲を掴む様な話じゃ、どうやって戦えばいいのか分かんないだろ!?」
「どう言う事なんだ? 今まで戦ってきたデジモンと違うのか?」
「おそらく、存在その物が根源的に違うのだと思います……」
「勝てるさ、だって、昔俺達みたいな子ども達が同じデジモンを倒したんだ!」
ヤマトさんの言葉に私達は頷く。
「そうね、きっと何か方法があるのよ」
私達の耳に不気味な唸り声が聞こえてきた。
「何の声?」
「気味が悪い……」
「あっちからもこっちからも聞こえてくる」
「何か……何か言ってるぞ!」
太一さんの言葉に私は耳を澄ませる。
「そうだ、我が無念を晴らさずにおくものか……」
「無念?」
「誰だ?」
私達が居る前の方に、大きくて黒い物がこちらにゆっくり迫って来た。
「これが、火の壁の向こうからやってきたデジモン……」
『これも、デジモン……なの?』
五角形の球体は、それぞれの面から音を立てて形作り、その先から手の様な爪の様な物が、鎖みたいなのに繋がっていた。
そして、その中の上に面してる所から、身体が黒い布に覆われていて、その布がバサッと音を立てて開いたら、その中から人の姿のデジモンが現れた。
「なんなんだこいつ……」
「アポカリモンです……」
「ふはははは……私を醜いと思うか?」
私は醜いより不気味だと思ってしまった。
「そうだろう、お前達はそう思うだろう。所詮我々は進化の過程でその行く手を阻まれた者」
「進化の過程で……」
「デジモン達は長い年月の中で進化を繰り返してきた。その中で消えて行った者が居るのを知っているか?」
「進化の過程の中では、消えていく種があるのは仕方のない事です。やはり、環境に順応出来ずに……」
「だまれ!」
アポカリモンは大きな声で怒鳴ったので、私達は肩をビクつかせた。
「仕方がない? その一言で全てを済ませる気か!?」
「何が言いたい!」
「貴様は我々を生き残る資格のない者だと決め付けるのか?」
「いえ、僕は決して……」
「そう、我々はデジモンの進化の過程で消えていった種のその悲しい、恨めしい、無念の想いの蓄積だ」
私達は怯えた顔でアポカリモンの話を聞いていた。
「消えて行ったデジモン達の、心の闇の集合体?」
「選ばれし子ども達よ、そしてそのデジモン達よ、我々はお前達に出会えるのを楽しみにしていたのだ」
「何?」
「どう言う事だ!?」
「いいか、我々が冷たく悲しく、闇から闇へと葬られていく時、その片方で光りの中で楽しく笑いながら時を過ごしていくお前達がいる、何故だ!」
私達は突然、アポカリモンの放つ電流に飛ばされる。
「皆、大丈夫か!?」
「ああ、なんとか……」
「大丈夫よ、太一!」
「我々が何をしたと言うのだ!」
アポカリモンは両手をクロスさせ、両肩に爪を食い込ませ引っかく。
アポカリモンの肩からは、緑の血が出ていた。
「なぜ、お前達が笑い、我々が泣かなければならないのだ!」
「いや! 見たくない!」
「我々にだって涙もあれば、感情もあるのに! 何の権利があって、我々の命はこの世界から葬り浚われなければならない! 生きたかった! 生き残って、友情を、正義を、愛を語り、この身体を世界の為に役立てたかったのだ!」
私は自傷行為をするアポカリモンから目を背けた。
「我々はこの世界にとって必要がないと言うのか? 無意味だと言うのか!」
アポカリモンが自傷行為で傷つけた肩の傷が直ぐに戻った。
「自己再生能力だ……」
「この世界は我々が支配する。我々の場所を確立するのだ、邪魔する者には全て消えてもらう!」
アポカリモンは突然笑い始めた。
「光りある所に呪いあれー! アルティメットストリーム!」
アポカリモンの攻撃がヒカリちゃんに向かって行った。
それをエンジェウーモンが守る。
「エンジェウーモン!」
「心優しい子ども達よ、今のは我々の友情の印だ! そして次は、愛! ブラッティーストリーム!」
次はミミさんに向かって行った。
ミミさんをリリモンが庇う。
「正義! ムゲンキャノン!」
その次は、空さんでガルダモンが庇う。
「もしかしたら、今までのデジモン達の技、全部使えるんでしょうか?」
「それって、今までのデジモンを一度に相手にするのと同じじゃないか……」
「じゃあ、勝ち目がないって事!?」
私達は不安になる。
「皆、惑わされるな! 態勢を整えるんだ!」
「皆で力を合わせようよ!」
「そうだ、もう俺達後に引けないんだ!」
「私の本当の恐ろしさはこんなものではない!」
鎖に繋がれた爪の様な物がデジモン達を掴んだ。
「お前達に進化の過程で消えていく我々の気持ちを分からせてやる」
そう言って、爪の様な物がデジモン達を開放した。
そしたらデジモン達は退化してしまっていた。
「そんな……」
「皆、戻っちゃった……」
『インプモン……』
「わるい……キオナ」
私に謝るインプモンに、私は首を横に振る。
「でも、このままじゃ勝てない……」
「諦めちゃ、ダメだ」
「大丈夫、オレ達まだまだ戦えるさ!」
「なんとか、進化さえ出来れば……」
そうよ! 進化さえ出来れば!
「そうだ、皆もう一度進化してくれ!」
「任せとけって!」
「みんな、頼む!」
ガブモンの言葉に、私達は頷く。
だがアポカリモンの爪の様な物の一つから、無数の手が私達に向かって伸びてきて、紋章を奪われそして消えてしまった。
「紋章が……」
「壊れた……」
「これじゃ、進化させられない!」
私達はそれを見て目を見開いた。
「進化出来なかった我々の絶望を少しは、思い知る事が出来たようだな」
「何てことだ……紋章が壊れてしまうなんて……」
「進化出来ないまま戦って、あいつに勝てるの!?」
私達の心には不安が渦まいていた。
ミミさんの疑問に、光子郎さんが頭を抱えながらこう言った。
「無理です! 全てのデジモンの力を合わせた最強の敵を、成長期のデジモンがいくら掛かったって倒せません……」
「そんなはずはない! 必ず勝てるはずだ!」
「昔の選ばれし子ども達はどうやって敵を倒したんだ?」
その時、アポカリモンが呪文の様な言葉を言っていた。
「うわあ!」
丈さんの声にそっちを向くと、丈さんの足先が少しずつ消えていっていた。
それを見た私は、自分の足元を見たそしたら丈さんの様になっていた。
「これは!?」
「大変だ、僕達の身体がデジタルデータに分解されてしまいます!」
「なんだって!?」
「「「それじゃあ、あたし/オレ/ボク達どうなるのー!?」」」
目を開けるとそこは、真っ白な空間で、0と1しかない所だった。
「ここはどこだ……?」
「データの世界です……。僕達皆、データに分解されてしまったんですよ」
「分解!? もう元に戻れないの?」
「分かりません……」
そんな……。
「戻れなかったらどうなるんだ? 僕達!」
「もうお終い!?」
「分からないわ、こんなの初めてだもの、どうしたらいいの?」
「俺達、負けたのか?」
「もう、何もかも終わったのか?」
『なんて事なの……』
私達は不安な気持ちでいっぱいだった。
「弱気になっちゃダメだ!」
力強いアグモンの声が聞こえる。
「俺は最後まで戦うよ、希望を捨てちゃダメだ」
そしてガブモンの声が聞こえてきた。
「そうよ、今までだってもうダメだって思った事は沢山あったけど、何時もあたし達、一緒に戦い抜いて来たじゃない」
さらにピヨモンが言う。
「そうだけど、データに分解されてしまったなんて、敵を倒すどころか、人間の形に戻れるかさえも分からないのよ?」
「たとえ戻れたとしても、紋章がなかったら進化できないじゃないか!」
「こんな事、今までなかった……、自分のデータを分解されてしまった時の対処なんて、誰にも分かりません!」
確かに光子郎さんの言う通りだ……。
「ほんなら、光子郎はんは今までの戦いでどうやったら勝てるか、何時も分かってはったんでっか?」
「そうさ、冒険は何時でも初めての事ばかり」
「こういう時にはこうしたらなんて、何時だって知らなかったじゃないか!」
デジモン達の言葉に、私達の心に何かがこみ上げてくる。
皆がデジモン達と言葉を交わす、勿論私も。
「なぁキオナ、キオナはオレに会えてよかったって思うか?」
『勿論だよインプモン!』
「オレもだよ、キオナと出会えてよかった、だって絆を信じて行動する事を教わった」
『私もインプモンから色々教わったよ!』
私はインプモンと言葉を交わす。
「もしも、テイルモンと出会わなかったら」
「デジモンワールドに来なかったら」
「皆と一緒に旅をしなかったら」
「僕達は今の僕達じゃなかった」
「そうだ、何時だってデジモンが居てくれたから」
「仲間がいてくれたから」
『信じる気持ちを教わったから』
「助け合う大切さを知ったから」
「俺達は自分らしくいられたんだ」
私達は不安だった気持ちが、どんどんなくなっていくのが分かった。
「そうだ、ここで終わりになんかできない!」
「私達の冒険を決して無駄にはしたいわ!」
「デジモンとの出会いを、仲間との友情を!」
『絆を信じる気持ちを』
「そして、地球で待っている大切な人達の為にも」
「「私達/あたし達/オレ達/ボク達は」」
「もう決して後戻りはしない」
「心の中の光りを絶やさない!」
その時、私達の胸が光った。
「これは……」
アポカリモンによって消えてしまった紋章だった。
「紋章だ、あの紋章に刻まれていたのは、皆の心の事だったんだ」
「俺達の心……?」
「僕の中の知識、丈さんの中の誠実と言う様に、皆さんのそれぞれの心の中の属性が強く働けば、紋章は不要なんですね!」
「いや、違う」
そう言うヤマトさんに私達は顔を向ける。
「俺の中の友情が勝手に輝いたんじゃない! 皆の友情が俺の中に集まって、その力で俺の友情の紋章が輝いたんだ!」
「1人の紋章は皆の為に、皆の紋章は1人の為に!」
皆の姿が今ははっきり分かる、そして心の中の輝きも。
「私の中の光りは皆の為に」
そしてテイルモンがエンジェウーモンに進化する。
「皆の希望が、僕の希望」
パタモンがホーリーエンジェモンに。
『絆』
インプモンがアスタモンに。
「知識」
テントモンがアトラーガブテリモンに。
「純真」
パルモンがリリモンに。
「誠実」
ゴマモンがズドモンに。
「愛情」
ピヨモンがガルダモンに。
「友情」
ガブモンがメタルガルルモンに。
「勇気」
アグモンがウォーグレイモンに。
そして目を開けたら、前にはアポカリモンがいた。
「何……?」
「お前の思い通りにはならないぞ!」