デジモンアドベンチャー タケル
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『ねえ、何か聞こえない?』
「僕も、聞こえる」
私とタケルくんがそう言っていた時、地面が大きく揺れた。
「爆発よ!」
私達は近くの木にしがみつく。
「何があったんだ?」
「地震ですか?」
「隕石や! 大きな隕石でっせ! 隕石が落ちたんや」
様子を見てきていたテントモンが、こちらに降りてきながら言う。
「隕石だ?」
「隕石の話はこれでお終い、話を元に戻しましょ」
「うん、ピノッキモンの館に行こうよ」
「僕達が案内するよ」
隕石の話から、ピノッキモンの館に行くか行かないかの話に戻した。
「待っているんじゃなく、こっちから戦いを挑むと言う事ですね」
「私も賛成、第一待っている時間がもったいないな。急がないと、この世界も、あなた達の世界も取り返しの付かない事になる」
「お兄ちゃん、行こう!」
『太一さん、行こうよ』
私達の言葉に、太一さんは腕を組み悩む。
「ちょっと待ってよ、皆! ピノッキモンは究極体よ! 簡単に倒せる相手じゃない」
「でも、いつかは戦わなくちゃいけないんでしょ?」
「そうだよ」
「多数決を取りませんか? ……ピノッキモンの館に行った方がいいと思う人」
光子郎さんの言う事に、光子郎さんは勿論、タケルくん、ヒカリちゃん、私、そしてそのデジモン達が手をあげる。
それでも、太一さんは腕を組んだままだった。
「『太一さん?』」
タケルくんと私が声をかけると、太一さんはチラリとタケルくんと私を見る。
「お兄ちゃん?」
「行くんでっか? 行かへんのでっか?」
その言葉に、太一さんは腕を組むのをやめてこう言った。
「よーし、わかった! じゃ、とりあえず、様子を見に行ってみよう」
太一さんのその言葉に、私達はタケルくんの後を追う。
『ねえ、インプモン。さっきの隕石、何処から落ちて来たのかな? 上からくるんだから地球かな?』
「んー、さぁな」
「キオナさんその話、十分にあり得る話ですね」
『光子郎さんも、そう思う?』
「はい」
私達の話を聞いていた光子郎さんが頷く。
「おい、2人共、何してんだ? 置いてっちまうぞ?」
『あ、待って! 太一さん』
私と光子郎さんは、太一さん達の居る所まで走りよった。
暫く歩いていると、ピノッキモンの館と思われる建物が見えてきた。
太一さんが単眼鏡でその館を見ていた。
「あそこがピノッキモンの館か……見張りが2匹いる調べてくれ」
そう言い、太一さんはデジヴァイスを光子郎さんに渡す。
光子郎さんがパソコンにデジヴァイスを設置すると、画面に2つの情報が現れる。
光子郎さんが言うには、フローラモンとデラモンと言うみたいだった。
「こいつは完全体か……」
「せやけど、敵わん相手やおまへんな。ほな、みなはん行きまひょか」
そう言って飛び出そうとするテントモンを、引き止める太一さん。
「待てよ、まだ中に居るかもしれない。最初は俺が様子を見てくるから、皆はここで待機しててくれ」
「だったら僕も行く。だって中がどうなってるか知ってるのは、僕とパタモンだけだもん」
「確かにそうだけど……」
「まだ僕を子ども扱いする気?」
ちょっと怒った風に言うタケルくん。
「いや……」
「皆で行こう、お兄ちゃん」
「ヒカリさんに賛成、皆で渡れば怖くない、ですよ」
「どうするの太一……」
「分かったよ、皆で行こうぜ」
私達は館に近づき、コロモンがアグモンに進化し、アグモンとテントモンがフローラモンとデラモンに攻撃する。
だがフローラモンとデラモンは、反撃してこなかった。
「何するでアルか! あなた達!」
「何するって、お前達ピノッキモンの手下だろ!」
「とんでもないでアル!」
「手下なんかじゃないわ」
「じゃあ、なんなの?」
タケルくんがフローラモンとデラモンに近づき問いかける。
「さあ、向こうは遊び相手と思ってる様でアルが、我輩達はそうは思ってないのでアル……ここだけの話でアルが、実は我輩達はピノッキモンが大っ嫌いなのでアル!」
「そうだ、思い出したでアル、ピノッキモンには友達が居なかったでアル」
「ほんと? じゃあ、ピノッキモンって可哀想な奴でアールね」
『確かに、そうでアールね』
タケルくんとヒカリちゃん、そして私が、デラモンの口調を真似する。
「で、ピノッキモンは、中に居るのか?」
「居ないでアル、出て行ったでアル」
「どうする太一?」
アグモンが太一さんに問いかける。
「ピノッキモンの館の中に入ってみよう」
「デラモン、案内するでアル」
「よろしいでアル、付いてくるでアル」
デラモン達の後ろを、付いて歩こうとしたら、デラモンが急に振り返りこう言った。
「あ!1つ念を押しておくでアル、ピノッキモンには内緒でアル」
「「「分かったでアル」」」
私達はピノッキモンの館へと入っていった。
目の前には階段がありそこに、青い箱が置いてあった。
それが突然ビックリ箱の様に開いた、その中から銃を構えた人形が出て来て、銃を乱射し始めた。
私達はそれから逃げる様に、両側へと二手に別れた。
「なんだったんです、今の?」
「ビックリ箱だと思うわ」
「あれ? おもちゃの車だ!」
パタモンとアグモンがそれに近づく、その後ろから私、光子郎さん、タケルくんが駆け寄る。
「ダメ! 無闇に触っちゃ!」
だが、パタモンはスイッチを押してしまった。
すると、おもちゃの車はサイレンをならし始める。
「サイレンだ!?」
フローラモンが、窓へとおもちゃの車を投げる。
「皆、伏せて!」
私達が伏せると、凄い爆発音がした。
「時限爆弾だったんだ……」
「だから無闇に触るなと言ったんです」
「「ごめんなさい……」」
アグモンとパタモンが項垂れて謝る。
私達は一旦皆と合流する事にした。
「ねえ、これからどうする?」
「そうだな……皆ちょっと付いて来てくれ!」
太一さんがそう言い歩き始めたので、私達はそれについて行く。
私達は2階にある1つの部屋に来た。
「この大砲で、ピノッキモンを倒そう!」
「これで、ですか?」
「倒せなくても、多少のダメージくらいは与えられるだろ」
そう言い、太一さんが単眼鏡で外を覗いていた。
「ピノッキモンが帰ってくる、準備はいいか?」
「でも、どうやって撃つのか分かりません……」
「お前達ー……」
アグモンはフローラモンとデラモンを見る。
「わ、我輩が撃つのでアルか!? ……しょうがない……でも、ピノッキモンには、絶対内緒でアル……」
「分かってる」
「で、アルー」
太一さんの言葉に、アグモンが楽しそうに語尾をつけた。
「じゃ、やるのでアル!」
「標準、よし」
「発射なのでアール!」
デラモンがそう言うと、大砲が発射される。