デジモンアドベンチャー タケル
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ピッコロモンの結界がなくなったその場所は霧が深い場所だった。
「ここは、どこだ?」
「足元は砂よ」
「砂漠かもしれない」
「あ、潮の香りがする」
『波の音もする』
私は耳を澄ませて、その音を聞いていた。
「なんだか明るくなってきたみたい」
「霧が晴れてく……」
ヒカリちゃんのその言葉通りに霧が晴れてきた。
「お前達、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないわよ、皆疲れきってる」
「それにしても、ここは……」
「なんだか、前にも来た事がある様な気がします」
その時、光子郎さんが何かを見つけた。
「あっ、壊れた電話ボックス……」
「ああ、あの時の電話ボックス!」
「そうだ、ここは俺達がデジモン達と初めて出会って、旅をしたファイル島の海岸だ」
私達は少しの間それを見ていたが、私達は歩き始める事にした。
「またファイル島に戻ってきたと言う事は……」
「何か意味があるのか?」
「何か意味があるから、戻ってきたんじゃないの?」
「でも、どういう意味があるんだ……?」
その時、海の方から助けを呼ぶ声が聞こえてきた。
「誰か溺れてる!」
「助けに行かなくちゃ」
「でも、デジモン達は疲れてるし……」
「私達で助けに行こう!」
そう言うヒカリちゃんとタケルくんを、太一さんとヤマトさんが止めた。
「皆で助けに行こう」
「あそこにカヌーがある」
『私デジモン達みてる!』
「分かった、キオナは皆を頼むな」
私は太一さんにそう言われ頷いた。
皆はカヌーに乗って、助けに行ったがそこに居たのはシェルモンだった。
皆は必死に逃げている。
「早く逃げて!」
『皆ー! 早くー!』
シェルモンはカヌーに追いつきそうになっていた。
「疲れてるなんて言ってられない、助けに行こう!」
「ここはわてらに任せてくんなはれ!」
そう言うと、プカモン、ピョコモン、タネモン、モチモンがそれぞれ進化した。
シェルモンに攻撃を当てた、するとシェルモンは海の中に逃げた。
『やった!』
その時、無事に皆の乗ったカヌーも岸まで戻ってきた。
「今は疲れてグッタリしてるけど、選ばれし子ども達のデジモンは確実に強くなってるみたいだ」
「お兄ちゃん、どうして分かるの?」
「前にシェルモンと戦った時、アグモンがグレイモンに進化して、ようやく勝てた……」
太一さんはそう言いながら上を見ていた。
「なのに、アグモンが進化しないでも今日は勝てた」
「皆が力を合わせて戦ったからだよ」
アグモンとテイルモンが、太一さんとヒカリちゃんに近づく。
「でも、皆で戦うより、グレイモンのパワーの方が強かったはずだ」
「シェルモンが弱くなったのかしら?」
「いや、皆のデジモンは確実に強くなってるんだ」
太一さんの言葉に首を傾げる、アグモンとテイルモン。
「実は今まで、ピッコロモンの言葉が気になっていたんだ」
太一さんが言うには、ピッコロモンが9人揃っただけでは勝てないと言った事だった。
「と言う事は、皆強くなったから勝てたんだよ」
そう言われ、皆がデジモンの成長を感じたと口にした。
その時、何故か太陽の光りが強くなった。
「あっ、あれは……蜃気楼?」
「あれは海の家だ!」
「ファイル島の海岸に海の家なんかあった?」
『なかったよ?』
でもそれは、私達がよく知っている海の家そのものだった。
「ファイル島の海岸に海の家があるんじゃなくて、ファイル島の海岸に出来た蜃気楼の中に海の家があるんです」
「ちゃいまっせ、ファイル島の海岸にほんもんの海の家があるんですわ!」
私は冷たーいカキ氷や、熱々の焼きソバなどを思い浮かべて、皆と一緒に走り出した。
海の家に入ったら、入り口に風が起こり砂で入り口を塞がれた。
砂の中からは、アノマロカリモンと言いながら姿を現した。
「ここはただの海の家ではない、お前達のエネルギーを奪い取る死の家だ!」
「なに!?」
その時、アノマロカリモンの口から、大量の砂を私達へと向け、私達は地面へと倒れ砂を被り意識を手放した。
「キオナ、起きろ!」
インプモンの声が聞こえる…。
『あれ……?』
「よかった、起きた!」
「早く逃げて!」
その言葉に私達は、海の家から離れた。
「もう大丈夫だな」
「それが、大丈夫でもなかったみたいなの」
「どう言う事だ? なにがあったんだ」
丈さんが言うには、アノマロカリモンに対してズドモンとリリモンになってようやく勝てたらしい。
「ピッコロモンの言う通り、人数が揃っただけでは勝てない。まだ、デジモン達の成長進化が足りないって事か」
「な、あれはなんや!?」
突然波が大きくなり、その中からメタルシードラモンが姿を現した。
「ここは私に任せて、皆はズドモンに乗って逃げて」
「リリモン!」
リリモンはメタルシードラモンに向かって飛んで行って、メタルシードラモンがリリモンを追い掛けている隙に、私達はズドモンの甲羅の上に乗り海へと逃げた。
「うわあ、メタルシードラモンに追いつかれてしもーた!」
「急げ、逃げろ! ズドモン!」
「そうはいくか!」
リリモンがメタルシードラモンの背後から攻撃を当てるが、メタルシードラモンには効かず、リリモンを尻尾で攻撃したするとリリモンはパルモンへと退化しミミさんの腕の中に戻った。
メタルシードラモンは海の中へ沈み静かになった。
だが水飛沫が立ち、メタルシードラモンがズドモンに向かってきて頭で、ズドモンを押しやった、私達は海へと落ちた。
『きゃー! 水は無理ー!』
「キオナ!」
「キオナ、俺が支えてやる」
私はもがいていたが、直ぐに太一さんに支えてもらった。
その間にズドモンはメタルシードラモンの攻撃で、ゴマモンに退化して丈さんの元へ戻った。
万事休す! っと思った時、私達の下から巨大な影が近づいてきた。
海の中から出てきたのは、ホエーモンだった。
ホエーモンがメタルシードラモンに、体当たりをしたらメタルシードラモンは海の中へと沈んだ。
ホエーモンは大きく口を開けて、私達をその中へと入れてくれた。
「助かったぞ、ホエーモンが体内で守ってくれる」
私達はホエーモンの体内へと海水と一緒に入っていった。