デジモンアドベンチャー タケル
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私達は今、一面砂ばかりある、砂漠?を歩いている。
「はあー、どこまで歩くの」
「エテモンが追ってこない所まで」
「そんなとこあるのー?」
「ある事を願ってるよ、こんな所でエテモンに襲われちゃ逃げ場所はないからな」
私達はその言葉で下を向いた。
「なんだなんだ、しっかりしろよ皆。俺達にだって紋章があるじゃないか」
太一さんが後ろを振り返りながら言った。
「そうだけど、紋章で本当に進化出来るのか?」
「出来るさ、なぁアグモン……シャキッとしろよシャキッと、今んとこもう一段上に進化出来るのはお前しか居ないんだから、お前が先頭に立って頑張ってくれなくちゃ」
「うん……」
アグモンは自信なさげに返事をした。
「頼りにしてまっせ」
「ところでどうやったら、次の進化が出来るかだけど……」
「それは、これまでの進化で分かるのは、進化には大量のエネルギーを消費している事ですね、つまり腹ペコの状態だと進化出来ませんでした、それとパートナーが危険になった時です」
「なるほど、しかしそのエネルギーってのも、もう1つ上に進化するんだからな、相当なエネルギーがいるんだろうな」
「うう……」
……やっぱり太一さんおかしい。
「キオナきっと大丈夫だ」
『そうかなぁ』
「う……もう、食えない……」
「駄目だ、食えったら食え」
太一さんは大量の食べ物を、アグモンの口に押し込んでいた。
「弱音を吐くな、いいか皆が貴重な食べ物をお前にくれたのは、お前の進化に期待してるからだ、そうだよな皆?」
「食べ物をあげたと、いうよりは取られたという方が……」
「でも俺達じゃ上の進化は出来ないし……」
「働かざる者、食うべからずか」
「んなアホな……」
「え、なんだ? 聞こえないよ、そうなんだろ?」
「「「そうです」」」
私達は太一さんに促されそう答えてしまった。
「な? だから俺とお前で、頑張らなきゃならないんだ、皆を守らなくちゃ」
太一さんの行動を見て私はインプモンを見た。
「どうした、キオナ?」
『私は紋章を手に入れても、インプモンにはあんな事しないから安心してね?』
「オレ、キオナの事は信じてるぜ」
『グラッチェ』
私達はひっそりと笑いあった。
「腹減った……ん、なんだ? ……おい皆、僕のタグが……」
突然丈さんのタグが光り出した。
「何かに反応してる」
「近くに紋章があるんですよ」
「ええ? 本当か? あっ、何かあるぞ、建物みたいだ、大きいぞ」
太一さんは私達の方に来て、単眼鏡で周りを見渡した。
「きっと、あそこに紋章があるんだ」
丈さんは私達より先に行ってしまった。
「うわー、ローマ時代のコロッセオみたいだ」
「それってなんですの?」
「昔の競技場だよ」
私達はコロッセオの中に入って行った。
「オーロラビジョンもあるー」
「ゴールがある、サッカー場よ」
「さあ、手分けして、紋章を探そうぜ」
その言葉にアグモンは座り込んだ。
「もう動けない、ちょっと休ませて」
「なんだよ、しっかりしろよ」
「休ませてやれよ、手がかりはこのタグだけだし、僕とゴマモンで探すから皆は休んでて」
「あ、俺も探す」
私とインプモンは休む為に、アグモンを挟んで座った。
『アグモン大丈夫?』
「キオナ、ううん、苦しい……」
『私達で背中さすってあげるね』
私とインプモンでアグモンの背中をさすった少しでもよくなる様に。
「アグモンちょっとはよくなったか?」
「うん……」
その時、太一さんの怒りの声が聞こえた。
「こんな時にサッカーなんて、よくそんな事やってられんな、状況を考えてみろよ、丈が紋章を見つけたらすぐに出発するんだから」
太一さんが喋り終わった時、エテモンの声がオーロラビジョンから聞こえてきて、画面も切り替わった。
「あーっはははは、アチキってグレイト!」
「きゃーで、出たー」
皆は1つのゴールポストに向かい走った。
「わはははは」
「わー、皆待って……」
「『アグモン!』」
私とインプモンは、アグモンがコケた為に立ち止まり遅れた。
他の皆はゴールポストに入ると捕まえられた。
「ゴール! つーかまえた、捕まえた」
テントモンが脱出しようとゴールネットに近づいた。
だがネットには、電流が流れていた。
「あらー、そんな事すると怪我するわよ、なぜってそのネットには高圧電流が流れてるんだから。本当はアチキが直接お相手してあげたいとこだけど、あいにく今遠い所にいるの、ほらスターって忙しい商売だから。でも心配しないでね、代わりにスペシャルゲストに登場してもらうから、誰だと思う?」
「知るかそんな事」
「きっと驚くわよ、イエイイエイイエーイ」
「グ、グレイモン?」
「驚いてくれたようね、うーんなんて心憎いアチキの演出、さっ始めるわよ、イッツショータイム」
敵のグレイモンが私達がいる、反対の方から近づいてきた。
「アグモン進化だ」
アグモンはグレイモンに進化し敵のグレイモンに近づいていった。
だがグレイモンは何時もより動きが鈍かった。
「オレも進化した方がよさそうだな」
『うん! グレイモンを助けてあげて!』
「インプモン進化バアルモン!」
インプモンは進化して敵のグレイモンに近づくが、グレイモンを廻して離し、バアルモンを巻き込みながら壁に激突した。
「意外と早くケリがつきそうね、あはははっ……」
その間も敵のグレイモンの攻撃は続いていた。
『バアルモン、フォルッア!』
敵のグレイモンにバアルモンは攻撃していた。
その間に空さん達は穴を掘って脱出した。
私は皆がいる方に走って行った。
その時に丈さんの紋章が見つかったと教えてくれた。
「キオナちゃん、無事だったのね、よかった!」
『うん!私は大丈夫!』
私は空さんに心配かけてしまった様だ。
「グレイモン」
太一さんはグレイモン達のいる方に行こうとしている。
「待って」
「止めるなグレイモンを進化させるチャンスなんだ! 頼むから邪魔しないでくれよ」
「でも紋章になんの反応もないし……進化なんて無理だわ」
「絶対進化する、いや、させてみせる」
太一さんはアグモン達の方に行った。
「何する気だあいつ?」
「進化のもう1つの条件は、パートナーが危なくなった時……まさか太一さん」
「そろそろトドメよ、メガフレイムでケリをおつけ」
敵のグレイモンは太一さんに目をつけた。
「ピヨモン太一を助けて」
「うん」
「お前もだガブモン」
「分かった」
『バアルモンもよ!』
「任せろ!」
ピヨモン達も進化し太一さんの周りに行った。
「グレイモン! 俺は……お前を信じてる、進化するんだグレイモン」
その時グレイモンが鈍い光りを纏い進化した。
「どうなってるんだ」
「う、嘘やろ。あれスカルグレイモンやないか」
「スカルグレイモン?」
「た、大変だ、間違ってとんでもないものに進化しちゃったみたいだ」
スカルグレイモンは敵のグレイモンをオーロラビジョンに投げ飛ばし消し去った。
「逃げろ、太一」
ガルルモン達はスカルグレイモンに攻撃するが敵わない。
「「「うわああっ!」」」
スカルグレイモンはその後、ゴールを私達が居る方向に投げ飛ばしたが、私達は逃げて事なきをえた。
その後ガルルモン達はそれぞれ攻撃技を出すが効いていない。
スカルグレイモンは突然走り出し、コロッセオから出て行ったので、私達はその後を追った。
「どうしたんだ」
「エネルギーが尽きたんとちゃいまっか」
スカルグレイモンは途中で止まり、力尽きたのかコロモンに戻っていた。
「コロモンに戻ってる」
「大丈夫か」
太一さんはコロモンを抱き上げた。
「う、うん……、でも……皆に酷い事したみたい、自分でもどうにも出来なかったんだ」
「気にしないで」
「皆の期待に応えられなくてごめんね」
弱々しく言うコロモン。
「違う! お前が悪いんじゃない、悪いのは……」
「分かってる、悪いのは俺だ」
「そ、そういうつもりじゃ」
「いいんだ、そうだよな、空」
「うん、あ……いや」
「オレ知らず知らず焦ってた、紋章を手に入れてから、なにか自分1人だけで戦ってる様な、そんな気になってたんだ、悪かったな皆、ごめんな……」
太一さんは私達やコロモンに謝った。
「せや、バアルモンは今回の進化、どう思います?」
『なんでバアルモンに聞くの?』
「バアルモンは博識なデジモンやさかい、わてらの質問に答えてくれるんやないかな思って」
「……答えるのはいいが、試練も一緒に与えるぞ?」
「え⁉ ︎それはかんにんや」
バアルモンはテントモンの言葉に「冗談だ」と言った。
「恐らく、今回の進化は簡単に言えば"間違った進化"だな」
「間違った進化……」
「この世界には数多くのデジモンが存在する。ただし、幼年期のデジモンより成長期や成熟期といった、成長したデジモンの種類数の方が多いんだ。つまり、デジモンは様々なデジモンに進化する可能性を持っている。それにより、デジモンには原種が居たり、亜種が居たりする」
「なるほど。例えばテントモンはガブテリモンではなく、もっと他のデジモンに進化していた可能性もあるんですね」
バアルモンは固定の意味で頷いた。
「だからスカルグレイモンじゃなくて、もっと別なデジモンに進化する可能性だっておおいにある」
バアルモンは太一さんを見下ろしてこうも言った。
「俺達みたいに、パートナーの力で進化するデジモンは、パートナーの気持ちが直接進化に影響するはずだ。……もう二度と、あんな事になりたくなかったら、気持ちのあり方を考えるんだな」
「……ああ、分かった」
バアルモンの言葉に頷く太一さん。
そしてバアルモンはインプモンに戻った。
間違った進化か……。