デジモンアドベンチャー タケル
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私達はアンドロモンに教わった地下水道を、歌しりとりをしながら歩いていた。
「キャー」
「大丈夫か?」
「どうしたんだ?」
「水が落ちてきたの」
また、空さんの服に水が落ちる。
「汚れましたよ」
「え? あっああー、洗濯したい」
空さんを初めに皆もやりたい事を、口に出していった。
「俺だって、風呂に入って、のんびりと……」
「僕は……」
タケルくんは座り込んでゲームをする真似をした。
「タケルお前なぁ、こんな時にテレビゲームはないだろうアハハハ……俺もタケルの事笑えない、今俺のしたい事は、ジュウジュウ焼ける焼肉……んっんんっ、腹いっぱい食いたーい」
「誰も笑えないさ、僕は勉強、宿題山ほどやりたい」
「変わってるわね、あたしは冷たいコーラが飲みたい」
「僕はインターネットの友達にメールを送りたい」
「キオナちゃんは何がしたい?」
私は空さんに尋ねられた。
『私は……漫画が描きたい』
私達は思いを口にした後俯いた。
「皆疲れてるんだ」
「可哀想……」
その時、後ろの方から何かの音が聞こえてきた。
「あ、あの声は?」
「ヌメモン」
「ヌメモン?」
「暗くてジメジメした所が好きで、知性も教養もないデジモン」
そんなデジモン居るんだ……。
「強いの?」
「弱い」
「弱いけど汚い」
「汚いの?」
私は汚いって言う理由を考えていたら、後ろからヌメモン達が来ていた。
「やっぱりヌメモンだ! 逃げろ!」
「弱いのにどうして、逃げなくちゃいけないんだよ!」
「今に分かる!」
私達が走り出したその時、ピンクのうんちが飛んできた。
「なんなのこれー」
『いやー!』
「はぁはぁ、あ、こっち!」
タケルくんが見つけた通路に入り、暫く走っていると、太陽の光りが見え外に出た。
「「「ギャー!」」」
「ヌメモン達は太陽の光りが苦手なんだ」
私達はヌメモンから逃げる事が出来たので歩いていると、自動販売機がいくつもある所に出た。
「こんな所に自動販売機が沢山!」
「ミミまさか飲みたいなんて……」
「そのまさか!」
「ミミくんどうせ出やしないよ!」
「しょうがないわよ、まだ子どもなんだもん」
少ししてミミさんとパルモンが来たと思ったら、後ろからヌメモン達が追いかけてきていた。
「あ、あんなに沢山……」
「そんな!」
『またなのー!』
私達はヌメモンから逃げて行った。
「分かれて逃げよう!」
「オッケー! キオナ一緒に行くぞ!」
私はもうヌメモン達に追われていなかった、それに太一さんと離れてしまった。
そしてさっき走った時に挫いた足が痛い。
その時、遊園地みたいな所を見つけた。
『ここなら休憩出来るかな……』
私は遊びたいのを我慢してベンチに座る。
それにしても皆どこ行ったのかな……?
「お嬢さん、どうかしましたか?」
『え?』
急にそう声をかけられ振り向くと、そこには大きなクマのぬいぐるみの姿をしたデジモンがいた。
「1人ではつまらないでしょう、ご一緒に遊びましょう!」
そう言ってにっこり笑ってはいるものの、その笑顔に背筋が寒くなる。
『いや、私、人を探してるので……』
「そんな事言わずに、遊びましょう! ラブリーアタック!」
クマから青いハートが出てきた。
私は本能的に逃げ出した。
走っても走ってもしつこく追いかけてくるクマ。
『わっ!』
攻撃を避けた時、足がもつれて転んでしまった。
早く立ち上がらないとっと思うが、足に力が入らない。
もう駄目だって思った時。
「ナイト・オブ・ファイヤー!」
私の前に現れたのは、紫色の小悪魔みたいな姿の小さなデジモン。
その子が放ったと思われる炎はクマに直撃し、その反動でよろけた。
「こっちだ!」
その小さなデジモンに手を引かれて、側にある林の中に逃げ込んだ。
「ここなら暫くは大丈夫だろ」
そう言って連れて来られたのは大きな木の根元。
『あの、あなたは?』
「オレはインプモンってんだ! ピアチェーレ(よろしく)!」
『私はキオナ。ピアチェーレ!』
にっと笑うインプモンにつられて私も笑顔になる。
『さっきのクマのデジモンって何?』
「あれはもんざえモン。本当は優しいやつで、あんな事するデジモンじゃねーんだけど」
『どうしたんだろ……っ』
「お前、怪我してんのか⁉︎」
『うん、ちょっと……』
「見せろ」
インプモンに言われ私は素直に痛めた足を見せる。
インプモンは足を見たら、苦虫を噛み潰した様な顔をした。
そして、首に巻いてある赤いスカーフを外してそれを凍らせていた。
『凄い! そんな事も出来るんだ!』
「おう! オレ炎と氷が使えるんだぜ! ほら、これで冷やしとけよ」
『グラッチェ(ありがとう)! インプモン』
スカーフを受け取ると、インプモンは嬉しそうに笑った。
『代わりに私の水色のスカーフあげるね!』
リュックから取り出して、インプモンに渡す。
「グラッチェ!」
インプモンは嬉しそうに笑って、スカーフをつけた。
すると、どこからかズシン……、ズシン……と足音が響いてきた。
「チッ、しつこいやつだな。オレ、あいつ連れて遠くに行くから、お前はここに隠れてろよ!」
『1人じゃ危ないわ!』
「大丈夫! オレはそんなにやわじゃないから、な?」
『……分かった』
そう言うと木の根元から出て行くインプモン。
『ねぇ! ……また、会える、よね?』
「おう! またな! キオナ!」
そう言うと木々の中に消えていった。
『えぇ!おもちゃのおもちゃにされたー⁉︎』
インプモンと別れてから暫くした頃、私を探しに来てくれた太一さんから聞いたのは、信じられない事だった。
おもちゃの町に着くと、タケルくんが駆け寄ってきた。
「キオナちゃん、大丈夫⁉︎」
『うん、大丈夫だよ。タケルくんは? おもちゃのおもちゃにされたんでしょ?』
「うーん、なんかそうらしいけど、覚えてないんだよね!」
そんな私達の目の前にはもんざえモン、周りには皆がいた。
「おもちゃは遊びに飽きられると、あっさり壊され、ほいほいと捨てられてしまう、それが許せなかったのです。だからおもちゃの町の町長のわしはおもちゃの地位向上を目指して…」
「おもちゃの地位向上って?」
「おもちゃを偉くするって事だと思う」
「その通りです、おもちゃが遊ばれちゃいけない、おもちゃが遊ばなくちゃいけないと、すみません、思い上がってたんです」
その時黒い歯車が壊れた。
「あっ、黒い歯車!」
「もんざえモンが思い上がったのは、歯車が原因だったのか」
「もんざえモンのおもちゃを愛する気持ち分かるわ」
「パルモンわしの思い上がった心を、正気に戻してくれてありがとう、お礼にハッピーにしてあげましょう、これが本当のラブリーアタック!」
もんざえモンからピンクのハートが出て来て、私達を包み込んだ、とってもハッピーな気持ちになれた。
インプモンあなたが居ればもっとハッピーよ……。
足にある赤いスカーフはもう冷たくなかった。