未来編
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「でか…」
久しぶりの休暇。
ヤマト邸の前には、キラの他に半ば強引についてきたルナマリアと
彼女に強制参加させられたシンの姿があった。
シンの希望ならあっさりと断っていたキラだったが、いかんせん気の強い女性…
というよりも、ルナマリアの口車に上手い具合に丸め込まれたキラは、
キラ自身が女性からの押しに弱いせいもあってか、
仕方なく二人の訪問を承諾したのだった。
そしてヤマト邸の前にエレカが停まってすぐのルナマリアの第一声が冒頭のソレだった…。
そしてルナマリアの反応とは逆に、キラ達がオーブに居た頃から
頻繁にヤマト邸へ遊びに来ていたシンにしてみれば、
プラントの新しいヤマト邸も当然初めてではなく…
「何やってんだよルナ、置いてくぞー」
むしろ慣れた様子でキラの後を付いて行くのであった。
ガレージから離れた玄関口に向かって少し歩いた所で、
玄関の扉が控えめに開けられたかと思うと、
そこからは見慣れたメタリックグリーンが特徴的なトリィが
パタパタと3人へ向かって羽ばたいてくる。
そしてそれを追うように出て来たのは、
ようやく言葉を理解して、会話らしい会話が出来るようになった愛息子のハルだった。
「おとーさんっ!おかえりなさぁーい!!」
今にもこけそうでハラハラするキラとは裏腹に、
ハルは嬉しそうに一生懸命キラの所まで駆け出して、父親であるキラに飛び付いた。
そんなハルをひょいと掬い上げると、
キラは久しぶりの重みに、その腕の中のハルをぎゅっと抱きしめて「ただいま、ハル」と優しく返事した。
一方、ハルを初めて見たルナマリアは、その光景に興奮するはずもなく
「ちょっとシン!可愛すぎなんだけど!!」と横にいるシンに
バシバシと興奮を打ち付けていたのだった。
「ハル、お母さんは?」
「んとねぇ、まだお庭でおひるねしてるー」
「お庭でお昼寝したの?」
「うん!今日はね、お日さまがね、きもちいいねって!」
「そうなんだ。じゃあお父さんはお母さんを起こしてくるね?」
一生懸命説明してくれるハルの頭を撫でると、キラは抱いていたハルをゆっくり下ろし、
ハルにシンとルナマリアを部屋まで案内するように言い残し、
そのまま庭まで足を急がせた。
_____________
《キラッ、キラッ、ゲンキカー》
「んー…ハロ~…」
頭上から聞こえる騒がしい声に、少しずつ意識が現実へと戻って来たソラは
ハロの声で隣で寝ているハルが起きてしまう。と、ハロの音声を止めるべく手探りで頭上に手を伸ばし、
反対の手では無意識にハルの眠っているであろう場所に手を伸ばしたのだが…
「え、…ハル?!」
居ると思い込んでいたハルの姿がそこに無い事に気付いたソラは、
今まで重いと感じていた瞼も一瞬で持ち上がり、一気に目が覚めたのが分かった。
敷地内の何処かに居るであろうハルの姿を探そうと、
直ぐさま起き上がったソラだったが…
「っ!!?」
突然背後から伸びてきた二本の腕に、抵抗する間もなく、
あっさりと抱きすくめられてしまったのだった。
何事なのかと一瞬驚きはしたものの…
(…なんだかなぁ。)
言葉では説明できない、『絶対』の安心感がそこに存在していたのだ。
目には見えなくてもソラの身体が覚えていて、
そして求め続けていた温もりがそこにあって…
「もぅ…ビックリするじゃない、キラのバカ」
間違いなくソラを包み込むその腕はキラのもの。
そう確信していたソラは、顔を確認するでもなく、
そっと自分を包み込む腕に、自分の手を重ねた。
「お帰りなさい、キラ」
そう言いながら自らの顔をキラの方に向ければ
「ただいま、ソラ」
優しい声と共に、優しいアメジストの瞳も自分へと向けられていて、
それが閉じる頃には二人の唇は重なり合っていた。
「今回は…いつまでこっちに居られるの…?」
3人の待つ部屋に戻る途中、
ソラの手を引き半歩前を行くキラの背中に寂し気にかけられた言葉。
それを聞いたキラは、振り返って、嬉しそうに答えた。
「今回は戦艦の改装とメンテナンスがメインだから僕たちは暫くこっちに居られるんだ、
それに休み明けても改装が終わるまではプラントに居るから、1ヶ月近くは毎日家から通えそう」
普段からギャーギャーと暴れまくり、戦艦のあらゆる場所を色々と破壊してくれたシンに、
今回ばかりは感謝しなくては…とキラは心の中で小さく感謝した。
(まぁ、今日の宿泊で全部チャラって事で…ね。)
ソラははじめ、キラの体調と顔色の心配をしたものの、
彼の嬉しそうな表情を見て、ホッと安心したのだった。
「無理は、しないでね?」
「うん。ありがと」
キラはソラに笑顔を向けた後、3人の待つ部屋の扉を開けた。
____________
「やぁー!やなのー!」
「ハル、ワガママ言わないのっ」
「やだぁー!やーだー!」
いつもより賑やかな夕食が終わり、片付けに入ろうという時の事、
今まではしゃぎながらも大人しくしていたハルが、ここへきて一気に我が儘モード。
「シン兄ちゃんとルナ姉ちゃんとお風呂いっしょがいいのー!」と、ごねだしたのだった…
いくら恋人同士とはいえども流石に人様の家で、しかもその愛息子と3人は…
と、流石のシンもルナマリアも今の状況に苦笑いするしかなかった…
…が、しかし、
「痛っ、あいたたたた…」
突然わざとらしく腹部を押さえ込み、その場にうずくまったルナマリアは
流石ルナマリア、とでも言うべきなのか
そのわざとらしい演技に引っ掛かったのは、当たり前の如く、
まだ汚れなき心の持ち主であるハルだ。
「ルナ姉ちゃんっ、いたいいたいの?」
本気で心配して、ルナマリアの背中を優しくさすり出すハルを騙すのは
何とも心がチクリと痛むなぁと思いながらも演技を続けるルナマリア。
「大丈夫。少しだけ休んだら良くなるから、ハルくんはシンと二人でお風呂、行ってくれる?」
ルナマリアのその言葉に、ハルは疑う事を知らず、「うん!わかったー!」
とシンの手を浴室まで引いて行ったのだった。
「…何ていうか、子供って時々すごい事をサラっと言うよね…」
ハルとシンの居なくなった静かな部屋には、
キラの一言で苦笑する三人が二人の去ったドアを見つめた…
「ハル、久しぶりにたくさん遊んでもらえて、ずっと興奮してたね。」
「二人も仕事で疲れてるはずなのに、ずっと遊んでくれて…何か悪い事しちゃったかな、」
「大丈夫だよ。シンもルナマリアも暫く休みだし、たまにはソラも休まないと」
まぁ、突然の来客で、変に気を使わせちゃったけどね…
と、ベッドに腰掛けているソラの隣に苦笑しながら自分も腰を下ろした。
「ふふっ…ありがと、キラ」
ソラは隣に腰を下ろしたキラの肩に、甘えるように自分の頭をコテン、と預けた。
(何か、ソラ可愛いし…)
自分に甘えるソラに、キラは徐々に自分の中の独占欲が、
ソラを求めて疼きはじめたのがわかった。
「…あのさ、ソラ…」
「んー?」
「思った事、言ってもいい?」
「え?うん、何?」
「ソラが欲しい…んだけど…」
「…え、えぇ?!///」
いつもならばその場の雰囲気で、ソラの返事などお構いなしに押し倒すキラが、
改まってソラに返事を求める事に、驚きと照れを隠せないソラは
何故か声を裏返らせながら、咄嗟にキラとの距離を作った。
「…そこまであからさまに拒否されるとさ、傷つくんだけど…;」
「や、ごめん、拒否っていうか…あの…じゃなくて、シンくんもルナちゃんもいるし///」
「三人仲良く寝てるけどね。」
「えーと…ほら、起こしちゃうかもしれないしっ//」
「ソラが声我慢すれば、大丈夫なんじゃないかな、」
ああ言えばこう言う。
そんなやり取りにソラは、なかなか引かないキラに、
更に顔を真っ赤に染めて言った。
「キラのバカ。分かってよ//……我慢できる余裕なんて…ないもん///」
「―――っ!!///」
突然のソラの爆弾発言は、キラにとっては貴重すぎるくらいに珍しく、
そしてソラの直球な言葉には滅法弱いキラは、
からかう事を忘れるくらいに赤を真っ赤に染めたのだった。
「…だから、二人が帰ってから、が、いいなーなんて//」
「……うん///」
恥ずかしさからか、徐々に俯き、そして声が小さくなるソラの言葉を聞き逃さずに、
理解したキラは、顔を真っ赤に小さく頷いた。
(あー…何かこの感じ…)
その二人の間に流れる微妙な空気に、キラはどこか懐かしい出来事を思い出した。
「何ていうかさ、このドキドキと緊張が同時にくる感じさ、
オーブに来て初めて、ソラに抱きたいって言った時以来かも」
当時、ソラと体を重ねるといえば、AAに乗っていた頃になるが、
あれは互いに傷を舐め合う行為に近かっただけに、
オーブに住み始めてからの二人は、なかなか先に進む事ができなかったのだ。
「確かに…私もあの時が1番言葉にできないくらい、緊張してた」
互いに想い合いながらも、互いに拒絶される事を恐れて、
互いに踏み込めない一線を引き合っていた…
その一線を越えたくても越えられない…
当時のあのもどかしさを思い出したソラは、その後の出来事も思い出し、
どうにも表現しにくいような照れ笑いを浮かべながら、早々と布団の中に潜り込んでしまった。
(あ、逃げた。)
そんなソラを、可愛いなぁ、と言わんばかりに優しく見詰めていたキラも、
「ソラさん、言い逃げは良くないと思うんだけど?」と意地悪な笑みを浮かべて
布団の中へと潜り込んだのだった。
「ちょ、キラー!どこ触ってっ…あははっ!こらっ」
「いてててっ、ごめんごめん!ちょ、く、ふふふっ」
その日の夜は、夫婦仲良く、二人のAAに居た頃からの、思い出話しが暫く続いたのであった…。
「んー…、ソラ…?」
翌朝、目覚めると、そこにソラの姿は無く…
いつもならソラが起きる時には、一度は必ず目覚めるキラだったが、
(気付かない程、爆睡してた…!?)
思ったよりも自分は疲れていたのだろうか…と、キラは、自分の無自覚さを改めて実感し、
それが原因で毎回ソラに怒られていた事を思い出すと…
「やっぱりソラには敵わないや…」
困ったように微笑むと、そのまま着替えを済ませ、リビングへと足を向けた。
「…あれ?シンとルナは?」
リビングに入るなり、二人の姿が無い事に気付いたキラは、
おはようの挨拶を忘れ、首を斜めに傾けた。
「あ、キラおはよう。二人ならそのままオーブに行きたいからって。
シャトルの時間に合わせて今さっき…」
「そっか…」
挨拶もできないまま行ってしまったのかと思うと、どこか心淋しい気分になってしまう…
そんなキラに気付いたソラは言葉を続けた。
「キラ、よく寝てたし起こすのも悪いからって。あ、二人がまた呼んで下さい!だって」
ソラは話しながら、キラと自分の分の朝食をテーブルに並べている。
チラリとハルの方を見れば、ヒーローアニメのスペシャルに夢中。
(・・・・・・・。)
「その時は、僕とソラが途中で居なくなっても、探さないで下さいって、前もって言っておかないとね」
「え…?キ、…っ」
キラの意味深な言葉に嫌な予感がし、振り向くも、時既に遅し。
背後からがっちりホールドされ、そのまま噛み付くような激しい口付け。
「んっ…ぁ、…あっ//」
その手は既に服の中。
腰周りを上下左右に撫で回されれば自然と顔もピンク色に照り始める…
「ゃ…だめ、キラ!ハルがっ//」
言葉とは裏腹に身体は素直に久しぶりのキラを欲しがる。
そしてキラに流されるまま、気付けば寝室で…キラの声と舌と指に声を漏らす淫らな自分。
ハルはアニメに
キラはソラに
ソラはキラに
夢中で他には気付かない。
(08.04.06)