未来編
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「…今思えば初めてだね。」
「え、何が?」
ソラの呼びかけに、キラはハルを足の間に座らせながら
後ろにいるソラの方へ顔を向けた。
「こうやって家族3人で海に来るのが」
パラソルの下でソラは嬉しそうにキラに笑顔を向けた。
その笑顔にどきりと胸が弾んだキラだったが平常を装い
「そうだね」と一言返し、目の前のハルへと顔を向けた。
(あんまり直視すると…ね…)
薄いパーカーを着てショートパンツを穿いてはいるものの…
初めてのソラの水着姿にキラはあまり直視できず、
正直なところ、今のキラにはハルが居てくれて有難いのだ。
そんなキラの内心など肝心のソラは知るはずもなく…
パラソルの下で麦わら帽子をかぶりながら2人を見て笑っているのだった。
「おっきぃの!おっきぃの!」
「はいはい。大きいの作ろうね」
波打ち際で大きな山を作り始めるキラとハル。
仲の良い父と子のその姿をコッソリとカメラに保存するソラは
カメラに保存されたキラとハルの画像の数々を眺めては微笑んだ。
「これで地球の海とはバイバイだね」
小さく呟いたソラの声は
2人の笑い声と波の音が包み消してくれた。
キラがオーブ軍を除隊したのは最近の事。
大切な仲間達がいるオーブ。
大切な家族がいるオーブ。
沢山の思い出が詰まったオーブ。
そこから離れる事をソラは受け入れてくれるのだろうか…
そんな事をただひたすら一人で考えていた時に、
キラの小さな変化に気付いたのは他の誰でもないソラで、
ずっと不安で言えなかった事をただ黙って聞いてくれた。
そしてキラの気持ちを理解した上で、その背中を押したのもソラだった。
『貴方の居場所は私の隣。貴方が私を必要としてくれる限り、ずっと一緒だから』
家族を残して一人でプラントへ行くか迷っていた時のソラの言葉。
キラは我儘を言えば一緒にプラントに来て欲しいと強く思ったが
ソラやハルを連れて行った所で毎日帰れる訳でもなく、
孤児院の子供達やAAの仲間達とも引き離す事になり
どう考えても寂しい思いをさせてしまう。と、キラはずっと考えていた。
そんな時にかけられたソラの一言は
キラにとって愛しい以外になにも無い。言葉にできないくらいのものだった。
プラントにもラクスやイザークやディアッカ。
それにシンやルナやメイリンまで居てくれるもの。
そう言ったソラをキラはただ有難うと強く抱きしめた。
その後、すぐにキラはオーブ軍を除隊して、
現在はザフト軍へ入隊の手続きや新居の準備をしながらも
短い期間ではあるが、空いた時間を家族と共に過ごしていたのだ。
「ねぇ、ソラ」
「ん?なーに?」
ハルが砂の山作りに夢中になっているのを良い事に
手を止めたキラはソラを自分の傍へと呼んだ。
「明日は遊園地でデートなんて、どうですか?」
目の前で小首を傾げて可愛く言ってくれるキラに、
ソラはただただしてやられた…と思うばかり。
今日も早朝からお弁当の用意やその他の準備で忙しかったのを思い出すと
ただのんびり起きてくるキラに悔しく思うのもまた事実で…
「明日の準備、やってくれるなら喜んで♪」
「…げ、…」
そんな反撃をしかけるソラにはまだまだ頭の上がらないキラだった。。。
(ねぇ、それ本気で言ってる?)
(うんうん、すっごく本気(笑))
(07.08.13)