未来編
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「ぅ、ん…」
カーテンから零れる朝日の光に照らされて
先に目が覚めたのはソラの方。
いつもなら情事が行われた翌日にはキラが先に目覚めていたのだが
今日は珍しくソラの方が先だった。
(うぅ~、のど…痛いかも…;)
ソラは、目の前で眠るキラを見て
昨夜の行為を思い出して顔が熱くなるのが分かった。
普段のハルと遊んでいるキラからは考えられないくらいに
夜のキラは、独特の色気でソラの思考を狂わせる…
(…って、私、何思い出してっ…//ハル起こしに行かなきゃっ)
ついつい昨夜のキラを思い出しそうになったソラは、
頭をブンブン振って、ハルを理由に、
シーツを身体に巻きつけて、キラを起さないようにそっと寝室を出た。
「ハルー、」
昨夜の汗を流すためにシャワーを浴びた後、
ソラは子供部屋のドアをカチャリと開くと
そこにはスゥスゥと眠るハルの姿。
「ふふ、キラとおんなじ寝相してるー…」
先日、キラがお土産、とプレゼントしたくまのぬいぐるみ。
ハルと同じくらいの大きさのそのぬいぐるみを抱きしめて眠るハル。
それはいつも自分を抱きしめて眠るキラと同じ…
ベッドの傍らに腰掛けたソラは、くすりと微笑んで、
少し寝汗をかいているハルの前髪を梳いて、その額を優しく撫でた。
「ハル~、そろそろ起きよっか、」
ソラの声に反応して、ハルの近くで停止していたトリィとハロが起動しだす。
そのトリィとハロの声に反応して、ハルも少しずつ夢から覚め始めた。
「んぅぅ~…、」
抱きしめたぬいぐるみに頭を擦り寄せてグズるハル。
「ハールーくーん。」
そのぬいぐるみに擦り寄るハルを可愛いなぁと思いながらも
ハルの頬をプニプニと突けば、
父親譲りのアメジストの瞳はソラに向いた。
「あ、おはよう、ハル♪」
大好きな母親を見つけたハルは
今まで大事そうに抱いていたぬいぐるみの存在など忘れて
きゅーっと母親の胸に擦り寄り甘え始める。
それを笑顔で受けれるソラはハルの背中をポンポンと撫でながら
よいしょ、と抱きかかえてリビングまで連れて来る。
「はい、到着~」
_________
「こぉ~?」
「そうそう、上手だよ~」
「う~ん…ぅー」
「頑張れハル~、もうちょっと!」
「ぅー」
いつもより少し遅く起きたキラは、
リビングの方から聞こえる可愛いらしい声に誘われて、その扉を開いた。
「おはよう」
扉を開けると同時に朝の挨拶をすれば、
「あ、おはようキラ」
真っ先に笑顔を向けてくれるのは愛妻のソラ。
その笑顔にいつも甘えたくなってしまう僕は、
くっとソラの腰を引き寄せて、正面から抱きしめた。
「ちょ…っ、ハルの前で…」
「ボタンに夢中で気付いてないってば、ね?」
ハルの存在を気にするソラを上手く言いくるめて、
自分の腕の中に閉じ込めるキラ。
「もぅ、うちには甘えん坊さんばっかりだね」
少し照れ臭そうに言うソラ。
だけど違うんだよ、ソラの温かさに、僕もハルも、引き寄せられていくんだよ。
そして僕もハルも、キミを抱きしめると、キミに抱きしめられると、
安心できるって、心が満たされるって知ってる。
だから仕方がない事なんだよ。
そんな事を思いながら、僕は片方の手をソラの背中に回して、更に密着した。
「ソラ、おはよう」
ソラの頬に唇を寄せながら再び挨拶。
「おはよう、甘えん坊のキラくん」
ソラは「しょうがないなぁ」とでも言いたそうな、だけどいつもの優しい笑みを僕にくれる。
「『甘えん坊』と『くん』は余計…」
至近距離でそう呟きながら、ソラの唇にふわりと重なるキラの唇。
「んっ、ぅん…」
啄むようなキスは、次第にしっとりと深くなる。
それに合わせてソラの背中にあったキラの片手は上へ上へ、
最後はソラの後頭部を押さえ込み、何度も角度の変わる深いキスへ…。
「ん、んんっ!…ふぁ、きらッ…んンっ!」
そのうち酸素を求め、キラの胸をどんどん叩きながら苦しさを訴えるソラ。
キラはそれに気付き、唇を開放した頃には…
「やだなぁソラってば、朝から誘ってるの?」
立つ力さえ入らずに、キラの胸になだれ込む始末。
「さ…そって、…な、いっ…てばっ!」
もはや睨む姿も潤んだ瞳。
頬はほんのりピンク色。
言葉さえまともに喋れずにいるソラに、
(その顔でそんな事、言われても説得力…なさすぎだってば…)
心の中でそう呟いたキラだった。
「こぉー、こぉー??」
そんな朝からベッタリしている二人の足元へ、
音声を付けるならば『てとてと』と、
ボタンを見せながら歩いて来たのはハル。
まだ会話という会話はできないけれど、少しずつ言葉を覚え、
今では覚えた言葉を少しだけ、繋げる事ができるようになった。
「よく頑張ったねハル、ちゃんと上手にできてるよ」
まだ頬をピンク色に染めて、呼吸を整えるソラに代わってキラが答えた。
頭をよしよしと撫でて貰ったハルは、嬉しく、そして心地良さそうに照れ笑いを浮かべていた。
その照れに堪えきれなくなった時、ハルはきゅっとキラの脚に顔を隠すようにしがみついた。
「両手に華っていいうか、『両手に幸せ』だね、僕」
そう呟くと、脚にしがみつくハルを片手で抱えあげると、
ちゅっとハルの頬に口付けて、
もう片方の手を床に座り込んでいるソラへと差し出した。
「大丈夫?お手をどうぞ、お姫様」
そんな朝からご機嫌に手を差し出すキラに、
顔を赤くしてキッと睨みを入れるソラは「誰の所為よ!」と
ハルに気付かれないように小さく怒鳴ると、きゅっとキラの手を握った。
それをぐっとキラに引かれて起き上がった負けず嫌いなソラは…
「キラってば、そぉ~んなにニンジンサラダ、食べたいんだ♪」
そうキラに言い残し、朝食の準備、と足軽にキッチンへと消えていったのであった…
「え、ちょ!待って!」
「待てませ~ん。」
「せぇーん」
「ソラ~」
「もうニンジン切っちゃった☆」
「ちゃったった☆」
(07.05.25)