未来編
名前登録
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
君のその『大丈夫』に何度救われたことだろうか・・・
「ん・・・キラ・・・?」
月の綺麗な夜更け、
少し肌寒い、そう身じろいで、いつもと違う何かに気付き目が覚めた。
それは簡単な事で、キラがいない、キラの温もりを感じない…。
だけどきっとすぐに戻るだろう、と、再び瞳を閉じたソラだったが
「眠れない・・・」
いつの間に自分はこんな身体になってしまったのだろうか、
そう思わずにはいられない・・・。
キラの温もりを感じずには眠れなくなったソラは
その事実に苦笑して、床に足をつけた・・・
傍にかけてあった上着を羽織って部屋を出れば
月明かりに照らされただけの家の中は薄暗い。
その広い家の中をソラは、キラを探しながら歩いた…
______________
「だ~れだ?」
「――ソラ?!」
部屋から少し離れたテラスで星を眺めていたキラは
急に視界が真っ暗になり、それと同時に聞こえた
優しいソラの声に、思わず目を見開いた。
「ごめん、もしかして、起こしちゃった?」
「ううん、そうじゃないの」
「?」
時刻は真夜中を指しているというのに起きているソラに
キラは自分が起こしてしまったのだと思っていたが
返ってきたソラの答えはそうではなく・・・
言葉の続きを求めれば言いにくそうに俯いて口を噤んでしまう。
「ソラ…?」
「わ、笑わない?」
「・・・へ?」
「だから、笑わない?」
不思議に思って顔を覗き込めばその瞬間、
恥かしそうに顔を上げたソラは
頬を赤く染めていて、そして上目遣いで…
―――笑うよりも、可愛すぎて思わず抱きしめたくなる・・・
「…てか、何で家の中にいたソラの方が体、冷たいのさ」
「キラを必死で探してたんですーだ」
結局そんな欲望に打ち勝つ事のできなかったキラによって
ソラは背後から抱きすくめられる・・・。
ぽすりとキラの中に埋まってしまう事に安心してしまう。
「ははっ、そんな一生懸命、探してくれたんだ」
「だって・・・」
「うん?」
「キラが居ないと、眠れないんだもん・・・///」
多分、さっきの顔を赤くしていたのはこれの事だったんだろう、
キラはそれに納得すると、腕の中にいるソラに
さっきよりも隙間を埋めるようにぎゅっと抱きしめた。
「そういう事、言ったら離したくなくなっちゃうんだけど?」
「…離さないでクダサーイ…//」
「了解。可愛い僕のお姫様」
「っ・・・!///」
そう、耳元で囁かれるキラの声はとても色っぽくて
ソラはそんなキラと居るといつも全身が反応してしまう…
足の先から頭のてっぺんまでチリチリと疼き、心臓が痛い、
心も体も、全身がキラを求めてしまう・・・
・・・そしてそれと同時に満たされる胸の奥深く。
(あぁ、もう私は・・・)
「私、もうキラ無しじゃ生きていけないくらい幸せだわ・・・」
ソラは首と腰に回されたキラの腕に自分の手を重ね
そっと瞳を閉じて、背中から伝わるキラの鼓動を感じた…
キラ以外に望むものは何もない。
キラが居て、ハルが居る、それだけで充分満たされるから…。
「泣きたいくらい、幸せだ・・・」
ソラの肩口に顔を埋めて呟いたキラもまたソラと同じ、
きっとソラ無しでは生きていけないだろう
それくらい互いに依存している・・・。
「だからかな、最近それが、凄く怖いんだ」
「え・・・?」
結婚して、ハルも生まれて本当に幸せ。
だけど時々、その幸せが凄く怖くなるんだ・・・
「僕なんかが、幸せになっていいのかな…って、」
「キラ・・・・」
数え切れないくらいの命を奪ったこの僕が、
幸せになる事は許されるのだろうか?
「今なら、分かるから…分かる気が、するから」
「キ、ラ・・・?」
憎しみに支配され破壊者になって命を投げ出した人々の気持ちが。
「ソラやハルを失ったら、僕もきっと…「キラ、大丈夫よ。」
・・・え?」
キラの腕の中から抜け出したソラは
そのままキラの正面に向かい合うように立った・・・。
そしてキラの頭をぐっと引き寄せると自らの胸に引き寄せた。
「聞こえる?生きてる音…」
「う、ん・・・」
トクン、トクン、と心地よい心音に
キラはただ、瞳を閉じてそれを感じる…
「キラに、護られてるから…私も、ハルも…」
「僕に…?」
「そう。だから大丈夫、キラは、大丈夫だから…ね?」
「・・・うん・・・」
君のその『大丈夫』に何度救われたことだろうか・・・
君の声が、腕が、鼓動が、全てが、
僕の全てを癒してくれる。
「・・・うん、うん。」
頭を撫でられながら、もう片方の手で背中を撫でてくれる、
子供みたいだな、なんて自分でも分かってるけど
ついその温かさを求めてしまう・・・。
「何か、ハルが羨ましいな…」
「ふふ、何それっ」
いつもこうやって抱きしめて貰えるのは、羨ましい…
「ねえソラ、」
「ん~?」
僕も少しはキミの役に立ってるのかな・・・
そうポツリと呟けば
「だーかーらー、キラが居ないと眠れないんだってば!///」
今はその役に立って下さいー!なんて恥かしそうに言うソラに、
僕がさっきまで暗く考えてたのが嘘のように思えた。
「はは、そっか、ごめん…体、冷やしちゃったね」
「…だから、責任とって、ちゃんと暖めてくださ~い」
「了解。仰せのままに、朝までたっぷり、ね」
顔を上げて、ソラの唇に軽く口付けると
そのままソラを横抱きに部屋まで歩き出すキラ・・・
「ちょ、…え、えぇ?!そっちの”暖める”じゃ…」
ない。…と、そう言おうとしたソラだったが、
(こういうキラに、私は弱いのよね・・・///)
ついつい自分をひょいと抱えてしまうキラの逞しさに
どうしても甘えてしまうのも事実。
「んもぅ・・・優しく、してよね、」
さっきまでの大人しいキラは何処へいったのやら、
そう思わずにはいられないソラは
困ったように微笑んで、キラの優しいキスを受け入れた…
大丈夫といえる場所に行って、君とずっとそこに居たい・・・
(06.10.08)