未来編
名前登録
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
子供の成長は早いもので、
だけどそんな成長を嬉しく、
そして微笑ましく思うのは、
やはり愛しているという証拠なんだろう。
そんな事を思いながら、キラは家族の待つ家へと車を走らせた。
「(・・・今日はハンバーグかな)」
車庫に車を停め、家に向かって歩きだすキラの鼻を掠めたのは、
ハンバーグのにおい。
それは間違いなく自分達の家からのものであって、
キラの頬も自然と緩んだのもつかの間。
「?!」
家に近付くにつれ聞こえてきたのは、
最近歩く事を覚えた愛息子であるハルの
なんとも豪快な泣き声だった。
何事かと思ったキラは早足で家のドアを開けた。
「ただい、ま・・・」
一直線にキッチンまで向かったキラが目にしたのは何とも可愛らしく、
母親であるソラの足にしがみつきながら泣き叫ぶハルの姿。
「お願いハル~、危ないから、もうちょっとだけ待ってぇ~;;」
ソラの慌てた声を聞くからに、
ハルはソラに構ってほしい。
だけどソラは料理中。
ソラも分かってはいるが、
ハルに油が跳ねると危ない。
だから抱き上げる事をしないのだ。
ソラの必死な声も届かず、ハルは泣きの一点張り。
(てか、僕、黙ってみてる場合じゃないし!)
キラは軽く自分を叱り、軽く開いていたドアを全開に、
そのまま部屋へと足を入れた。
「手伝おうか?」
そんなキラの声を聞いてソラは
キラの存在にも驚いたし、スーツ姿のままのキラにも驚いた。
だけど何より驚いたのは・・・
「え、キラ?!もう、そんな時間?!ご、ごめん、まだ・・・」
「あぁ、気にしないで。大変だったでしょ?ハル、おいで?」
おそらく夕食の事を言っているのだろう、キラはソラに優しく微笑んだあと、
ソラの足元でぅーぅーと唸るハルを見て困ったように微笑み、ハルの名前を呼んだ。
名前を呼ばれたハルはというと。。。
パチリと自分と同じ、アメジストの瞳がかち合うと、
先程から構って欲しかったんだと言わんばかりに再び泣きながら、ちまちまよたよたとキラの元まで歩き、
抱き上げられたと分かるとキラの首にきゅぅ~っと抱きつき、
肩に顔を埋めて更に泣き出すのであった・・・・・。
(・・・こういう些細な事でも可愛いって思うのは、親バカの証拠?)
そんな事を考えていたキラは、ふとソラの視線に気づいた。
余所見しながらも料理できるソラはさすがだと思う。。。
「?どうかした?」
「え、いや何か、キラがキラを抱っこしてるなーって」
要するに、
キラと同じアメジストの瞳、
キラと同じ鷲色の髪、
おまけに顔のつくりもどことなく似ている。
ソラから見れば、キラが2人いるようなものなの
だ。
そう言われてしまえばキラも頷くしかない・・・
自分と似ているのはあまり嬉しくはないが
やはり愛している事には変わりはない。
キラはポンポンとハルの背中を撫でると
ソラに着替えてくるよ、と残してハルと一緒に部屋を出た。
食事も終わって、両親から構ってもらえるハルは終始ご機嫌。
最後はお気に入りの玩具で一人はしゃいで遊んで疲れて現在既に夢の中。
「お疲れ、ソラ」
「キラも、お疲れ様」
そうお互い微笑んで、仲良くベッドに腰掛ける2人。
「ハル、今日は夜泣きしないんじゃない?」
「うん。今日はお昼寝してないし、いっぱい泣いたから」
「いつもより、ご飯たくさん食べてたしね。」
「まぁ、泣くのも仕事のうちなんだけどね」
そう苦笑しながらキラの肩に頭を預けるソラは見逃したのだ。
夫であるキラの
不敵な笑みを・・・・・
「じゃぁさ、ソラ。」
「え?・・・ちょっっ?!」
気づいた時には、時既に遅し。
「たくさん鳴いてよ、ハルの代わりに」
「――っ///」
いつの間にか組み敷かれ、その上、耳元で甘い声で囁かれたソラは、
完全にしてやられたと思う反面、
どこからか感じる幸せに、
「優しく、してよね、、、」
そっとキラの首に腕を回すのであった。
(06.03.07)