原作編
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ちゃんと分かってる、
二人がそういうやましい関係じゃないんだって事。
「だけど、見てていい気はしないんだもん・・・」
事の始まりは5分前・・・
「あ、指輪…」
何気なしに指輪に触れる癖のついたソラは、
いつも自分の首から下げられているキラから貰った指輪が無い事に気付いた。
「そういえば・・・キラの部屋に…」
記憶に残るものといえば昨夜のキラとの情事の途中での出来事、
ソラのチェーンが契れてしまい、
キラの手によって照明スタンド付近に置かれたままだったのだ。
翌朝、気怠い身体を起こしてシャワーを浴び、
そのまま自室へと戻ったソラは
指輪のチェーンが切れた事などすっかり忘れて、
いつものように自分の首には指輪がぶら下げられているとばかり思っていたのだった・・・
ちなみに、キラとの溶けてしまいそうなくらい熱くて甘い行為に夢中で
本当に指輪の事もぼんやりとしか覚えていなかった、
というソラの本音は本人の口から出る事は無かった…
「取りに行かなきゃ」
ソラは先程通り過ぎたキラの部屋の前まで来ると、
そのまま軽快に扉を開けた・・・
「?!・・・キラ…とラクス」
扉を開けてすぐ目に入ったのは
ベッドに腰掛けてラクスのハロを解体しているキラと、
それを覗いているラクスの姿だった・・・
「あ、ソラ、後で持って行こうと思ってたからまだチェーン直してないんだ、もう少し待ってて?」
そう笑顔で言うキラの向かいには
陣羽織を羽織っていないラクスがいて、
キラもいつも着ている上着も着ていない・・・
何故か私はこの場所に居たくなかった。
見たくなかった・・・・・。
「ううん大丈夫。これくらいなら自分でできるし、駄目なら暇そうな整備士さんとかにお願いしてみるから」
そう言ってスタンド横に置かれた指輪を掴んだ。
多分、キラの表情がピクリと動いたのは私の異変に気付いたからかな、
「邪魔してごめんね」
きっと上手く笑えてなかったのかもしれない。
扉が閉まるまで平然装って、だけど私の心の中は複雑だった・・・
そして冒頭へと至るのであった・・・。
まるでキラとラクスから逃げるように自室へと戻ったソラは、
掌に握り締められた契れたチェーンを直しにかかったのだったが・・・
「っもう!何なのよ一体!」
あと少しで繋がる、という所で、小さく細い輪の集うチェーンは
ソラの手から逃げ出してしまう・・・
「まるでさっきの私みたいじゃない!」
キラとラクスの輪から逃げ出した自分・・・
先程のキラとラクスの光景が目に焼き付いて離れない、
その複雑な気持ちは次第にイライラに変わっていたのだ。
「本気で私の気持ち、味わってよね、キラ!!」
着ているものはラクスと同じで公式な軍服ではない。
誰も居ない自室でソラはキラに宣戦布告。
着ていた上着を脱ぎすてれば、身体のラインがよく分かるワンピース。
それによって露になったキレイな鎖骨と細長い腕、
そして膝上丈から覗くスラっと長細い脚にロングブーツ。
ソラはそんな露出度の高い服装で格納庫へと足を向けたのだった…。
ソラの姿に、やはり振り向かない男は居ない。
格納庫へ辿り着くまでに、ソラの姿を見て
トイレに駆け込んだ男性クルーは少なくなかった・・・。
「・・・直せそうですか・・・?」
「あ、は、はいっ//これくらいなら!」
格納庫にて、たまたま近くにいた整備士に声をかけたところ
快く引き受けてくれた好青年の向かい…
先程のキラとラクスのようにキャットウォークに座りながら
ソラはその好青年の慣れた手つきを眺めていた。
「すごーい!ちゃんと直った!ありがとう!」
「いえ…俺、これくらいしか取柄ないっすから//」
「ううん、それだけでも充分だよ~!本当にありがとう!」
ソラは笑顔で好青年にお礼を言えば、
その笑顔に頬を赤らめる青年・・・。
先程のソラの態度が気になって格納庫へおとずれ、
そんな二人の姿をばっちりと目撃してしまったキラの目つきは
周りの整備士達が非難する程、瞬時に冷たいものへと変わった…
「ねぇソラ、もう用事は終わったの?」
「っキラ?!」
ソラと整備士のもとへとやってきたキラは
あくまで何事もなかったかのような表情でソラに声をかけると、
今度はそのままソラの腕を掴んで強引に自分の方へと寄せ、
「今度は僕の用事に付き合ってよ」
そう言うと、そのまま強引にソラを格納庫から連れ出したのであった。
「ねぇ、どういうつもりなの?」
「…何の事?」
あれからキラに連れて来られた場所はソラの部屋。
部屋に着くなりキラは先程の光景の説明を求める、
しかしソラはそんなキラの態度にさえ苛立ちを感じる…
その結果がそっけない態度として表れている。
「分からない?自分が今どういう格好してるか、分からないの?」
「暑かったから上着脱いだだけだよ。誰だって暑かったらそうするでしょ?」
キラの問いかけに挑発的なソラの態度に、
キラも序所に自分が苛立つのが分かった・・・
「そうだけど、どうしてそのまま格納庫まで行ったの…?」
「チェーン、自分じゃ直せなかったから。そうキラにも言ったでしょ?」
「そうじゃなくて!、何でその格好のまま行ったの?僕がずっと止めてきた事を、
知ってて何でソラはその格好のまま、行ったの?!ねぇ!!」
先に怒ったのは普段大人しいキラの方だった。
キラはソラの両手首をガシリと掴むと、
そのまま壁まで押し寄せた・・・。
「ッ、ねぇキラ、それを見た時…どんな気持ちだった?」
「え、?」
「整備士の人と一緒に居たのを見た時、私の格好見た時、どんな気持ちだった…?」
壁に押し付けられた時の勢いで少し顔を歪めたが、
それにほとんど動じる事無くソラは瞳を逸らさない。
そんなソラの真っ直ぐな瞳にキラの力も自然と弱まった…
「最悪、だよ…ソラが他の男の前で笑ってるなんて、二人っきりで、
それにそんな格好だし、一瞬目の前が白くなって・・見たく、なかったよ・・・」
先程の光景を思い出したキラは悲しそうに顔を歪め、
そのままソラから目を逸らした
「それ、・・・ホント?それが、キラの気持ち?」
「ホントだよ、それが僕の…・・・っ!」
そしてその逸らした瞳は、ソラの言葉によって
再び視線はぶつかった。
そして目の前のソラに本当だと、嘘ではない、と、
そう伝えたかったキラだったが、
その言葉は途中で途切れてしまった・・・。
「ッ、…ソラ、・・・え?あ、」
キラの言葉が途切れてしまったのは
――――ソラが自らの唇でそれを塞いだからだ。
そして唇が離れれば全身に感じる温もり
――――それはソラがキラに抱きついたから。
「キラのその気持ち・・・私だって、同じなんだよ?!」
「・・・ソラ?」
抱きつくソラの剥き出しの肩が小さく震えている…
だけどその理由すら分からずに、
キラはただ、ソラの言葉を待った。。。
「二人っきりは、嫌だよ…見たくないもん…」
「・・・!」
「キラも、ラクスも、そういう人じゃないって分かってるけど…でも、」
そのソラの震える声を聞きながら、
キラはほんの少し前の時間を思い出した・・・。
(それって、もしかして…)
「キラはズルイよ、私がアスランと二人きりになるのは駄目って言うのに、
キラはラクスと二人きりになるのはいいの?」
(――――ソラが、嫉妬してる・・・?)
思えばラクスは陣羽織を羽織っていなかった、
それに自分も上着を脱いでいた、
そして確かに自室でラクスと二人きりだった・・・
(全部、同じ事、してたんだ…、だから、同じ気持ちなんだ・・・///)
それは初めてのソラからの嫉妬。
キラは驚きで目を見開くと同時に、
自分の胸の中で小さくすすり泣くソラの存在が
とても愛しく、嬉しく、顔が次第に熱くなってゆくのが分かった。
「そう、だよね…嫌だよね、駄目だよね、ごめんね…」
キラはそっとソラの背中と腰に腕を回して、
そしてソラの肩口に顔を寄せた。
「ううん…私も、ごめんね…嫉妬、しちゃうなんて、、、」
「や、それはそれで、何か凄く嬉しいけどね、
ソラって普段、好きって言ってくれないからさ、嬉しいよ」
「そうかなぁ…キラ、大好き、だよ」
「っ!!///」
二人抱き合いながらの仲直り、
おまけにソラからの貴重な告白に
キラが普通でいられるはずもなく・・・・
「ソラ、顔上げてよ…//キスしたい。」
そうキスを強請れば
「大好き」
その返事と共に顔が上げられて、
そっと被さる唇は次第に深く・・・・・
数分後のベッドの上では
二人の指輪がぶつかりキィィー…ンと音を立てた。
それは指輪の奏でる愛の音
(06.08.19)