原作編
名前登録
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦が終結して2年、
たった2年で傷ついた国はそう簡単には元通りにはならない。
それは人も同じで、
キラもまだ、深く傷ついた心が癒えないでいる・・・
「ああ、だめ。眠れない」
少し浜辺を散歩でもすれば眠れるだろうか、と、
左右でスヤスヤと眠る子供達を起こさないようにソラはそっと部屋を出た。
深夜の浜辺だけに少し肌寒い、おまけに服は寝巻きに着ていた白いワンピース。
だけど今のソラには、その肌寒さがちょうど良かった。
「あ」
不意に出た言葉。
その理由は浜辺に流れ着いた物にあった・・・
時々流れついてくる戦争の、
海に散った人々の嘆きの破片。
それを見る度に戦争があったのだと思い出させる。
まるで忘れる事を、
傷が癒える事を、許さないと言われているようで・・・
その度にキラの苦痛に歪んだ顔を思い出してしまう。
傷は癒えるどころか深くなる一方なのだ・・・
「命が欲しいのなら、私の命をいくらでも差し出すから、だから・・・」
どうか、キラを全ての闇から解放して下さい――
額の前に硬く手を結び、瞳を閉じて祈りを捧げるソラは、
ふと背後から風とは違う温もりを感じた――――。
その温もりはソラの両手に手を乗せて、
そっとソラの繋がった左右の手を解いた。
「ソラ、やめて。それは、だめ。」
「キ・・・ラ?」
背後からの温もりは、間違いなくキラのもので、
そのキラの声は、とても震えていた――――
「――っソラの隣が僕の居場所なんだっ」
きつく、キツク抱きしめられる。
「ソラが傍に居てくれたら、僕はそれだけでっ
――幸せなんだよっ?!」
ポツリポツリとソラの肩を伝うモノ・・・
それは停戦してから初めて見せた
キラの涙。
それは不謹慎かもしれないけれど、温かく、
心地よかった。。。
「ねえキラ、私、キラの傍なら眠れそうなの。だから・・・
朝まで一緒に居て欲しいって言ったら、居てくれる?」
本当に安心できるのは、キラの傍だけだから・・・
この重なる唇が、温もりが、
心のわだかまりを溶かしてくれるから――――。
「ソラの願いは、僕の願いだよ・・・」
いつだって、ふたりでひとつなんだよ。
(06.04.08)