原作編
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もう二度と帰って来ないって思ってた。
だからもう、
忘れられるんだって
苦しみから解放されるんだって
そう思ってたのに・・・
「なんで、・・・どうしてっ!」
どうして死んだはずの貴方が
どうして新しい機体に乗って
どうして此処にいるの・・・?
「ソラ・・・」
お願いだから私を見ないで
お願いだから私を呼ばないで
お願いだから近づかないで
「っ来ないで・・・!!」
これ以上傷つけないで
これ以上嘘を吐かないで
これ以上苦しめないで
堪えきれない汚れた想いが溢れ出てしまうから・・・・
「く、ぅっ・・・はぁ、はぁ・・」
「ソラっ!」
苦しさに耐えきれずにその場に崩れる自分に嫌悪する。
驚いて私の名前を呼んで
慌てて駆け寄って
私の前に跪いて
優しく肩に触れて
心配そうに顔を覗き込む
その全てが愛しくて、愛しくて愛しくて愛しくて
「――――ッ!!」
その全てが苦しくて、苦しくて苦しくて苦しくて
精一杯の力で貴方を突き放す。
それが私に残された最後の力。
「放っておいてよっ!…どうせ、っ」
どんなに優しくされたって、
どんなに心配されたって、
どんなに名前を呼ばれたって、
どんなに触れられたって、
「私の事なんかっ、好きじゃないくせに!!」
――――貴方の全てはフレイのものだから・・・
「好きでもないくせにっ…優しくしないで・・・」
――――その優しさに甘えたくなるから・・・
「なんで、・・・・・だよ・・・」
「え?」
「何で、好きじゃないなんて言うんだよ!!」
――――?
「僕の気持ちは僕のものなんだよっ」
――――貴方の
「僕の気持ちを決めるのは僕なんだよ!」
――――その気持ちは
「僕は、ソラが好きなんだ!!」
――――本物?
「・・・だけど、その僕の気持ちでソラが苦しむのなら・・・
もう二度と好きだなんて言わないから、だから・・・」
「お願いだから、僕の存在を否定したりしないでっ…」
「あ、・・・・」
「ソラの中から僕を消さないで、僕の名前を呼んでよ」
そんなに悲しい顔をしないでよ・・・
――――私の胸が痛むから
そんなに優しく抱きしめないでよ・・・
――――その背に腕を回してしまうから
名前を呼んでなんて言わないでよ・・・
「キ、ラ・・・っ、キラ、キラっ!」
―――愛しさが溢れてくるからっ
呼べば呼ぶほど涙が零れおちてしまうから
「ソラっ、」
名前を呼ばれて更にキツく抱きしめられて
顔を上げれば綺麗なアメジストの瞳。
静かに閉じればそっと重なる唇。
離れればふっと優しく微笑んで
「ソラの隣が僕の居場所
ソラの隣に居れるだけで、
僕は幸せだよ――――」
耳元で囁く貴方の言葉で
私に絡みついた心の鎖が解かれる。
遠のく意識の中、願うのはただ一つ・・・
どうか現実でありますように。
どうか夢でありませんように。
解放された体はもう震えていない。
(06.05.08)
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