短編
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何となく会いたくて、ただそれだけの理由で家を飛び出した。
途中で携帯を自分の部屋に忘れてきた、とか
手袋とマフラーしてくるの忘れた、とか
忘れ物がいくつかあったけど、取りに行く気もせずに
ただ彼の住むマンションまでの道のりを進む。
連絡も入れずに急に来ちゃったから出てくれるかな?
仕事が長引いていて留守だったらどうしよう?
途中で降りだした雪を見ながらそんな事を思ったけど、
「え、ちょ、ソラ!?」
「…キラ・・・?何でこんな所に?」
背後から聞き覚えのある声が自分を呼ぶ…
振り返れば今まさに自分が会いに行こうとしていたキラの姿。
だけどキラのマンションとは別の方向から現れたキラに、
ソラは首を傾げる。
「ちょっと喉渇いたからコンビニ行ってて…っじゃなくて!こんな夜に一人で歩いて来たの?!」
「あ、えーと…」
何で連絡くれなかったのさ!
襲われたらどうするつもり!?
マフラーとか手袋は?!
あぁもう!こんなに手冷たくなってるし!
てか何でそんなに薄着なわけ?!
風邪ひいたらどうするのさ!
キラってば、普段は結構ヘラヘラしてるんだけど
一度怒り出したら、多分、母親よりも厳しいかもしれない
…というより、すっごく過保護なお母さんみたいで何か可笑しい。。
「…僕の言う事、聞いてる?」
「あ、いや…ごめん…何かもうキラに会えたから、嬉しくって…へへっ」
「・・・ったく…バカソラ」
そう言った時のキラの、呆れて溜息吐きながらもどこか照れた表情が好き。
自分の巻いてたマフラーを、私に巻いてくれる優しさが好き。
そんでもって、きゅっと冷たくなった手を握って温めてくれる温もりが好き。
「キラの手、あったかい。」
「ソラが冷たすぎるだけだってば」
キラの部屋に着いた途端、キラは急いで暖房つけてくれて
ホットココア入れてくれて、肩から毛布まで掛けてくれて
寒くない?大丈夫?!なんてバタバタ忙しそうにしてて、
ホントもう、笑っちゃうくらいに過保護なお母さんみたい。
「今度からはちゃんと連絡する事!分かった?」
「はぁーい…」
他の誰にもこうやって怒ったりしないキラなだけに、
この特別扱いがどうしても嬉しい。
「ありがとキラ、大好き」
ココアの入ったカップに口付けながら、そっと呟いた。
(ねえ、貴方を好きって気持ちが大きすぎるよ)
(06.12.02)