短編
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普段からあまり動きにくい服装を好んで着ないソラ
だからなのかな、
「すっごく可愛い」
「ちょっ、そんな恥かしい事言わないで///」
自分の横を歩くいつもと違うソラ、
いつもサラっと風に靡く髪だって今日は違って
アップされてて蝶の飾りがよく似合ってる。
何よりも、いつも元気な服装なソラが
今日は浴衣姿。
「だって本当に可愛いから」
「・・・バカ///」
他にも浴衣姿の女の人なんて沢山いるのに
ソラだけは違って見えるのは、
いつもの元気な動きやすい服装じゃないからとか、
いつも元気なソラが大人しいからとか、
そんなんじゃなくて
単に僕がソラの事を凄く好きだからだと思う。
「い、言っとくけど、キラだってカッコイイんだからねっ!」
「はいはい、ありがとう。ソラの方が可愛いよ」
そう言うとまた頬をぷくっと膨らませて怒るソラも
怒りながらも頬を赤く染めるソラも
怒りながらも繋いだ手を離さないソラも
全部ひっくるめて好きだって思う僕は末期なのかもしれない。
「ソラ、足…痛いの?」
「へ、なんで?」
どのくらい経ったかな、綿菓子も食べて、金魚すくいもして、
キラに的当てでいっぱい景品とってもらって、
そこで貰った2体の茶色と白のくまのぬいぐるみについて、
これはキラっぽくて、こっちはアスランっぽくてって、そんな話しながら
夜店いっぱいまわって、子供たちへのお土産だって忘れないで
あとは帰るだけってくらいの時にキラからかけられた言葉。
「なんでって、さっきから歩きにくそうにしてたから…」
「え、うそ?!」
言われてみれば普段履かない履き物なだけに
痛いような、痛くないような・・・
だけどそんな痛みにも気付かないくらい
ソラは自分が楽しんでいた事に驚いた。
「あぁ、ほら、靴擦れしてるじゃないか」
「あ、ホントだ…」
靴擦れというか、草履擦れ?
キラはソラの前にしゃがみこむと
その赤く擦れた箇所を見て顔を顰めた。
「もう、ソラってばもうちょっと自分を大切にしてよね!」
「…フリーダムに乗ってたキラに言われたくないもん」
「ソラー・・・」
「・・・・・ごめんなさい。」
キラはどんな時も私を大切にしてくれる。
だから無理とかするとすぐに怒る。
だけどどこか意地っ張りな私は素直に認めなくて、
でも最後はいつもキラの黒いものに認めさせられる…
「まったく…ソラは女の子でしょ!」
そう言う男女差別みたいなキラの発言はあまり好きじゃない。
だけど、その後に「ハンカチ冷やしてくるから待ってて!」って、
慌てて走って行く優しいキラは大好き。
「うぅー…ピリピリ痛いけど、気持ちいい~」
すぐ傍にあったベンチに座ると、
キラは近くにあった水道で冷やしたハンカチを
ソラの赤くなった箇所にそっとあてた。
「一体どんな歩き方してたのさ・・・」
「…会話に夢中で、私にもサッパリ…;」
どうやら怪我を庇いながら歩いていたソラは
足首に負担のいく歩き方をしていたのであろう、
次第に赤くなってゆく足首に、キラは呆れ顔でソラに言った。
「あ、でもそんな痛くないから大丈夫だよ?」
「嘘ばっか、言葉よりも身体の方が正直だって、僕知ってるから」
キラに気を遣わせまいと言った強がりも
ソラの強がりなんて何でもお見通しだよ、
と言わずとも伝わるそのキラの自信たっぷりな笑顔に、
そして立ってソラを見下ろすキラの笑顔に、
ソラは無言で肯定せざるを得ない・・・
(というか、心当たりがあるからこそ、言い返せない…//)
「でも、ホントに裸足なら痛くないし、帰ろ?子供たちがお土産楽しみに待ってるから」
「え、あ、ちょ、ソラっ」
思考を紛らわそうと勢いまかせで立ち上がったソラ、
キラの立っていたのはソラの真ん前…
それ故に、ソラが立ち上がった事で
キラとの距離は急激に縮まった・・・。
「え、ぁ…ごご、ごめん!!」
「・・・・・//」
急に立ち上がったソラの目の前には
キラの少し着崩れた浴衣の袂。
気付いたソラは驚かせたであろう
キラに慌てて謝るも、
キラの口元は手で覆われ、目線は明後日の方向。
「キ、ラ・・・?」
「ごめん、その・・・ビックリして//」
あまり見ないキラの表情に、ソラは
きょとんとキラの顔を覗きこめば、月明かりの下でも
キラの顔が真っ赤に染まっているのが分かった。
「やっぱりいつものソラと違うから、その、綺麗で…//」
「なっ・・・///」
まるで告白したての当時のキラのようで、
ソラも、その素のキラに恥かしさを隠せない。
おまけにいつもと違うのはキラもまた同じで…
(カッコイイのは…キラだって、同じだもん//)
ソラは、きゅっとキラの浴衣の袂を握ると
何かを訴えるようにキラを見上げた。
それに気付いたキラは、
ソラに応えるように身を屈めた。
ソラはキラの袂を握りしめ、
キラはソラの両肩に手を置き、
月明かりが照らす二つの影は、一つになった・・・。
「私、キスをする時に屈んでくれるキラが好きなの」
唇が離れて、告げたソラの第一声。
その後のキラの真っ赤に染まった顔を照らしたのは、
月明かりの光ではなく、
夜空に煌めく綺麗な花火だった。
(06.07.12)