短編
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ピピ、ピ――・・・
「あれ・・・」
エラー音と共に、部屋の前に立ち尽くすその人物、キラ・ヤマト。
恋人であるソラの部屋に出入り出来るという特権の持ち主である。
・・・・・・はずだが、
「・・・開かない」
そう。何故か扉が開かないのだ。
「自分から部屋に来てって言ったくせに・・・」
キラは先程のソラからの通信を思いだし、少し顔をしかめた。
『キラー、今、忙しい?』
『ううん、大丈夫だよ。どうしたの?』
『あのね、キラに伝えたい事があって・・・』
『?じゃあ今から行ってもいい?』
『うん、待ってる!』
『じゃあまた後で・・・』
『あ、待って!来る時一緒に端末機も、持って来てね!』
『?分かった。じゃあ』
ほんの5分程前の通信を思い出したキラは、同時に片方の脇に抱えられた端末機器の存在も思い出し、はっとした。
「これでロックを解除しろ・・・って、事?」
そうじゃなかったとしたら、この部屋に来た時点でソラが中から開けてくれるはず。
だけど今、こうして開かないという事は・・・
「沈黙は、肯定ととるからね」
その言葉の後、キラは手にした端末をロックキーに繋いで、解読し始めた。
解読されていくにつれて、
一文字ずつ画面に現れるこの部屋のカギ。
最後の文字が映しだされる頃には、
キラの顔は穏やかに微笑んでいた・・・
プシューっと扉が開けば、部屋の中にはソラがベッドに腰掛けて、
キラの姿を確認すると、はにかみながら微笑んだ。
「伝えたい事って、これの事?」
コトリ、と手にしていた端末機器を机に置く。
「自分で言うの、恥ずかしくって・・・」
向かうは愛しいソラの元へ。
「愛してる。ソラ・・・」
両手を絡めて軽い口付け・・・
そのままソラを後ろに倒せば、深い口付け・・・
「優しく愛すよ。キミを」
二人を照らす部屋の明かりは
パスワードの刻まれたモニターの光。
『tender love』
(06.03.03)
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