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氷龍の巣

あのあと麻酔で眠ったところまでは覚えている。医療班を呼びに行ったアポロはすぐに戻ってきて俺をソファに寝かせ、応急処置を何度もしてくれた。本当に良い部下を持ったと心からそう思った。

今は医務室で色々測定されてるところだ。

「その体制でしばらく動かないでくださいね」

医療班の班長ディードリッヒが測定器をいじりながらそういった。医療班で唯一の理解者である。

「・・・」

ディードリッヒはあえて俺には何も言わない。体が弱いことも健康診断では隠してくれる。

「終わりましたから横になって良いですよ」

「・・・・・」

痛みを堪えすぎて俺はもう声すら発したくは無かった。もう辛いを通り越して意味が分からない。苦しいのかそうでないのかさえ分からなくなってきている。

「眠ってしまっても、いいですが」

「・・・・・結果・・・聞く・・・」

機械音にまぎれて消えていきそうな声で言った。本当は体が弱いから誰よりも体が心配なのだ。この身が朽ち果ててしまうのがなにより恐ろしい。こんなにも俺は・・・臆病なのに。

「分かりました。もう少し待ってくださいね」

「・・・・なあ、ディードリッヒ」

「なんでしょう?」

怖いんだ、こんなにも。辛くて苦しくて怖くて。

「いや・・・なんでもない。俺の体・・・大丈夫かと、思ったが、測定後・・・だよな」

「そうですね。結論はまだ出ていませんが貴方の体に異常は無いのだろうと思いますよ」

「・・・?」

「まあ、もう少し待てば分かることですが」

こんなにも苦しく、辛いのに何も異常がないというのか。ついにこの魔族までも毒されたか。俺は今、今までにないくらい辛いのに。
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