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過去作まとめ

「・・・・・寂しかったか?」
いつもは抱きしめてあげる側なのに抱きしめられるとこんなにも心が満たされるなんて聞いてない。疲れた体は愛情を欲し、欲望は抑えが利かない。この前の情事を脳裏に浮かべては愛欲の沙汰に身を委ねたくなる。グラハムは誘うように吐息を掛けてきた。どうせこのところ抱かれていないから抱かれたいのだろう。我慢弱い彼は待てのできない子犬の様に発情を見せつけるのだ。
「君が言えたことだろうか。体はまだ思春期みたいだけれど」
僕は言葉の駆け引きを始める。今日はどちらも発情しているというのにすぐにベッドに向かうことはない。何故なら、相手の予定が不確定だからだ。気分が乗っていても予定が合わなければ抱き合うことなんてない、それが僕たちにちょうどいい関係。
「ふっ、君がフェロモンでも出しているのではないか?体が熱くなってきた」
「そんなことは無いね。ありえない。君がただ、僕の事考えすぎなんだよ」
グラハムは既に我慢しきれていないのか心拍数の高鳴りを感じる。
「あぁ、もうだめだ。君は焦らすのが上手いな。今日くらい甘えさせてくれないか」
「あー、はいはい。仕方のない子だ。バースディは明日のはずだよ?待てないのかい?」
ついに待てなくなったグラハムは僕を寝室へと押し込んだ。まぁ、実のところ僕も限界だけれどね。
「全然待てない。君が私を気が済むまで抱いてくれると思うと・・・・。あぁ・・・」
「全く、分かったよ。今日だけだよ?」
グラハムは笑顔で僕に身を任せた。



寝かせない、なんてね。グラハム




僕が帰宅するといつもは眠っているはずのグラハムが一人ベッドルームで呑んでいた。薄暗い照明の中妖艶に映る姿は実にそそるものだが何事もなかったように僕はグラハムに声をかけた。
「何だい?待ちきれないのかい?」
「嗚呼、君を待っていた。既に待ち切れてはいないが」
既に欲情を写すその瞳は綺麗な緑色で、薄明かりの中にひっそりと僕を誘っている。我慢弱いことはだいぶ前から知っているので仕方のない子だと思った。あと10分、あと10分待てば日にちが変わったのにね。あと10分で君の誕生日だ。我慢できなかったね。僕はそう思ってくすりと笑った。当然いつものことで、寧ろよく我慢した方である。それでも発情期の犬のようで笑えてしまうのだから仕方がない。
「ごめんよ、少し弄び過ぎたみたいだ。すぐに、抱いてあげるよ。我慢したご褒美に」
「今日は激しくていい、痛いくらいにくれ」
そのままベッドに深く沈み込み、時を忘れるくらいに・・・・・。








「んはっ・・・・・・。ぁ・・・・」
あれから何時間経ったのだろうか。汗と体液とローションでぐしょぐしょになったベッドルームで二人は身を投げた。快感に痺れ、欲望を吐き出した体にはもう力は入らない。空調の効かせた部屋なのにとても暑く、熱く痺れていた。僕は重い体を無理に起こして、今にも夢の国に旅立ちそうなグラハムを抱き上げた。H用の部屋と化した客人用のゲストルームからいつも僕たちが寝るキングサイズベッドに戻らないといけない。第一シャワーを浴びたいのは山々だが。
「んぅ・・・・カタギリ・・・。歩ける。大丈夫だ」
「いいよ、今日くらい甘えていなよ。誕生日だろう??」
そのまま僕はグラハムを抱きかかえて部屋を出て行った。





「朝、なのか・・・・?」
「おはよう、グラハム。随分幸せそうに寝ていたね。そんなに気持ちよかったのかい??」
昼過ぎ目を覚ましたグラハムを軽く撫でた。
「気持ちよくさせたのは君だろうに・・・・・」
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