過去作まとめ
「寒いね」
僕はそういった。秋の雨は冷えるから。グラハムは青空が見えないことが一番の不満らしく拗ねた顔をする。全く子供じゃ、ないんだから。
「もう冬になるね。雪でも降ったら遊ぶかい?」
「フラッグで?まさか」
子供らしい仕草をしたから子供らしく遊んだら?と提案するがグラハムは子供ではないと笑う。
「そういえば今日はダリルの誕生日だったね・・・。プレゼント何がいいだろうか」
「何でも喜んだだろう。特に私が渡せばな」
ふわりと本題を混ぜてみたがもう、二人とも振り切れた様子で居た。消えるのではなく見えなくなっただけだと思うようにしている。彼のフラッグはまだユニオンの格納庫に入っていて誕生日にプレゼントを持っていくのだ。
「みんな隊長ラブだったからね。妬けちゃうな」
「妬くな、あの頃から君しか見ていないよ」
「それは光栄だ。さて、どうしようか・・・去年はマグカップだったかな」
傍から見れば会話など成立していない気もするが、これでいいのではないかと思う。心は通じ合っているのだから。
「そういえば最近ELSでできた宙(そら)に浮かぶ花が流行っていると聞くが」
「そういえばそうだね。店先でよく見かけるよ」
宙に浮かぶあの花は刹那・F・セイエイが対話を成功させたときにELSが作り上げたものである。地上でも晴れていれば確認することができ、対話の象徴として人気を集めているという。
「不服かな、ソレスタルビーイングが作り上げたものでは」
「平和になったのだから喜ぶんじゃないかい?」
グラハムはそう言いつつも靴を履き始めた。どうやらこの案で行くらしい。
ダリルのフラッグにプレゼントを置きに行くのはもともと計画があったのではなく数年前思いつきで置きに行ったのだ。だが次の日にはすっかり無くなっているのでもしかしたら受け取ってくれているのではないのかという話になった。あの格納庫はほとんど人が入らないはずであり、それに現役ではないフラッグを整備する物好きは僕くらいしかいないはずだ。真相はいまだ謎だが、受け取ってくれているのだと信じ毎年置きに行っている。
「ラッピングはどうするんだい?」
「するに決まっているだろう。プレゼントは飾らずしてプレゼントだと言えるか?」
相変わらず子供のような発想だな。かわいいからいいが。
「リボンも付けてもらいなよ」
「リボンが似合う男か?」
クスリと笑って家を出た。大切な仲間のために今年もプレゼントを買いに行く。傘も持たずに歩く濡れ鼠は、誰よりも元気だった。
僕はそういった。秋の雨は冷えるから。グラハムは青空が見えないことが一番の不満らしく拗ねた顔をする。全く子供じゃ、ないんだから。
「もう冬になるね。雪でも降ったら遊ぶかい?」
「フラッグで?まさか」
子供らしい仕草をしたから子供らしく遊んだら?と提案するがグラハムは子供ではないと笑う。
「そういえば今日はダリルの誕生日だったね・・・。プレゼント何がいいだろうか」
「何でも喜んだだろう。特に私が渡せばな」
ふわりと本題を混ぜてみたがもう、二人とも振り切れた様子で居た。消えるのではなく見えなくなっただけだと思うようにしている。彼のフラッグはまだユニオンの格納庫に入っていて誕生日にプレゼントを持っていくのだ。
「みんな隊長ラブだったからね。妬けちゃうな」
「妬くな、あの頃から君しか見ていないよ」
「それは光栄だ。さて、どうしようか・・・去年はマグカップだったかな」
傍から見れば会話など成立していない気もするが、これでいいのではないかと思う。心は通じ合っているのだから。
「そういえば最近ELSでできた宙(そら)に浮かぶ花が流行っていると聞くが」
「そういえばそうだね。店先でよく見かけるよ」
宙に浮かぶあの花は刹那・F・セイエイが対話を成功させたときにELSが作り上げたものである。地上でも晴れていれば確認することができ、対話の象徴として人気を集めているという。
「不服かな、ソレスタルビーイングが作り上げたものでは」
「平和になったのだから喜ぶんじゃないかい?」
グラハムはそう言いつつも靴を履き始めた。どうやらこの案で行くらしい。
ダリルのフラッグにプレゼントを置きに行くのはもともと計画があったのではなく数年前思いつきで置きに行ったのだ。だが次の日にはすっかり無くなっているのでもしかしたら受け取ってくれているのではないのかという話になった。あの格納庫はほとんど人が入らないはずであり、それに現役ではないフラッグを整備する物好きは僕くらいしかいないはずだ。真相はいまだ謎だが、受け取ってくれているのだと信じ毎年置きに行っている。
「ラッピングはどうするんだい?」
「するに決まっているだろう。プレゼントは飾らずしてプレゼントだと言えるか?」
相変わらず子供のような発想だな。かわいいからいいが。
「リボンも付けてもらいなよ」
「リボンが似合う男か?」
クスリと笑って家を出た。大切な仲間のために今年もプレゼントを買いに行く。傘も持たずに歩く濡れ鼠は、誰よりも元気だった。