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過去作まとめ

疲れ切った僕はただいまも言わずベッドに向かった。溜め息しか出てこないような口を開く気にはならなかったのだ。どうせこの時間だ。グラハムも寝ている。僕は、そのまま寝てしまおうと思った。明日は休み。シャワーも明日でいい。今日は、もう動けない。





「お早う、カタギリ」

「ああ、おはよう」

重い体を起こす。体中に響く鈍痛に僕は顔を歪めた。

「相当疲れているようだが、飯の前にシャワーを浴びてこい。酷く鉄のにおいがする」

「あ、ああ。そうする。そのつもりだった」

そういえば着替えることもせず白衣のまま寝たのだった。はっきり言って寝ても疲れは全く取れていないが、このままの格好でいるのも気が引ける。

「って、なんで君までシャワーに来るのさ」

「だめなのか?恋人だというのに」

ダメとは言わないが狭めのシャワールームに長身の男二人が入るのは少々苦しいのだ。相当密着するというのが僕には気になるわけで。

「別にいいけれど二、三日シャワーに入っていないからね。僕」

「忙しいときはいつもじゃないか」

気のせいか少しグラハムが拗ねて見える。忙しくてまともに会話できていなかったのは心から悪いと思っているが、そんなことで拗ねることは滅多にない。

「・・・・・・なぁ、カタギリ」

「なんだい?グラハム」

「最後に私を抱いたのがいつだか覚えているか?」

「な、何を言い出すんだ君は・・・・・・・・」

もしかしてそのことで怒っているのか・・・。確か・・・えっと、いつ・・・・・だったかな。

「74日前だ」

「か、数えていたのかい・・・・・・?」

「君は数日休みを取ったそうじゃないか」

「体調管理の為に・・・取ったけど・・・」

「私の機嫌がよくなるまで抱け」

「そ、そんな無茶な・・・・・・」

言いかけた言葉は勢いよく閉められた扉の音で消された。余計に疲れるじゃないか。僕に休みは・・・・ないのか・・・・・・。
絶望しつつシャワーにいつもより時間をかけて、機嫌の悪いグラハムの元に行くのだった。
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