過去作まとめ
ELSとの戦闘により、利き腕を失った私はソレスタルビーングの刹那・F・セイエイの救済により一命を取り留めた。カタギリとの再会も果たし、今のところ不自由はない。世界は、ソレスタルビーングの活躍により平和へと導かれ、宇宙への進出に着工し始めた。私は重傷を負ったがためにしばらく安静にしていろと言われ、ここ数日自室で休まされている。カタギリはいつからこんなに過保護になったのかと疑問に思うほどだったが無茶をしたのは私の方だと反省するしかなかった。負傷の酷かった左半身もある程度回復し、よろめくことなく歩行できるようになった。ただ、利き腕の治療は敢えて拒んでいる。今の世は再生治療も性能の良い物になっている。しかし私は断罪なのだと受け取り、戒めのためにこのままでいようと自らの意志で治療を拒んだ。カタギリもそれに同意してくれた。
「・・・・・晴れ・・か」
空を見上げ色々な事を思い出した。ユニオンで共に戦った戦友。強さを求め犯した罪。少年の為に飛んだ宇宙(そら)を。どれも今となってはいい思い出だ。後悔などしないのが私だから。
「明日も晴れだよ、グラハム」
いつの間にか部屋に入ってきていたカタギリがそう言った。仕事中なのだろうがよく私の様子を見に来るのだ。コーヒーを片手に、立って。
「私の事はいい。仕事をしていればいいだろう」
気遣いはありがたいが邪魔をしているようで心苦しい。
「いや、今は特に忙しくもないから気にしないでいいさ。もう、ガンダムは敵じゃないし、世界はこんなに平和だ。」
軍に戦う理由が無い今、戦乱の世の中だったあの頃の様に仕事は無い。一般的に忙しいと言えばそうなのだろうが、それは戦争の比では無いのだろう。
「だとして、私のところに来て何の得があると?」
「癒しは必要だと思わないのかい?君はアロマの様にいい香りがするんだ」
全くとして理解できない。しかしそう見えるのだろう。愛しい恋人と言ったところなのだから。
「仕方がないな。好きなだけ隣に居ればいい」
「そうじゃないと困るよ」
コーヒーを飲みほし、カップをテーブルに置いたカタギリに髪を撫でられ続けている。何がいいのかわからないがやめようとしない所からして気に入っていると見える。
ただ、一つだけ言えるのはこういう時間も悪くないということだった。戦場から身を引けばこんな時間だって持てるのだから今の生活を苦だと思ったことは無い。カタギリはそっと私から離れ腕時計を見、撫でて帰っていった。安静にすることもせず戦場で駆けていた若かりし頃の私であれば既にモビルスーツに乗っていたことだろう。私は空に憧れていただけの少年であったというのにいつしか道を誤り、戦いという呪縛の中で生きることに不安を消していったのだった。もう既に空にたどり着き、悠々と飛んでいた事実も今だから気づけているのだろう。私は誰よりも愚かで、誰よりも幸せ者だった。盟友も戦友も持てた。こんなに充実している人もなかなか居ないだろうなと思いつつ、カタギリが置いて行ったコップをそっと持ち上げた。まだ、ほのかに残るコーヒーの香りとかすれたインクのにおいがする。どれだけの書類に目を通していたのか。疑問に思うほどであったがカタギリはそれでも軽い仕事だと言うのだった。
「全く・・・。自由なのもほどほどにしたまえ・・・」
勝手に入ってきてコップも、上着も置きっぱなしだったことに少しばかりの不満を漏らした。今ではこんなことも慣れているのだが。なぜならここに私物を置いていくときは夜にもここに来る予定なのだと理解したからだ。
「はぁ・・・」
今宵も眠れない
「・・・・・晴れ・・か」
空を見上げ色々な事を思い出した。ユニオンで共に戦った戦友。強さを求め犯した罪。少年の為に飛んだ宇宙(そら)を。どれも今となってはいい思い出だ。後悔などしないのが私だから。
「明日も晴れだよ、グラハム」
いつの間にか部屋に入ってきていたカタギリがそう言った。仕事中なのだろうがよく私の様子を見に来るのだ。コーヒーを片手に、立って。
「私の事はいい。仕事をしていればいいだろう」
気遣いはありがたいが邪魔をしているようで心苦しい。
「いや、今は特に忙しくもないから気にしないでいいさ。もう、ガンダムは敵じゃないし、世界はこんなに平和だ。」
軍に戦う理由が無い今、戦乱の世の中だったあの頃の様に仕事は無い。一般的に忙しいと言えばそうなのだろうが、それは戦争の比では無いのだろう。
「だとして、私のところに来て何の得があると?」
「癒しは必要だと思わないのかい?君はアロマの様にいい香りがするんだ」
全くとして理解できない。しかしそう見えるのだろう。愛しい恋人と言ったところなのだから。
「仕方がないな。好きなだけ隣に居ればいい」
「そうじゃないと困るよ」
コーヒーを飲みほし、カップをテーブルに置いたカタギリに髪を撫でられ続けている。何がいいのかわからないがやめようとしない所からして気に入っていると見える。
ただ、一つだけ言えるのはこういう時間も悪くないということだった。戦場から身を引けばこんな時間だって持てるのだから今の生活を苦だと思ったことは無い。カタギリはそっと私から離れ腕時計を見、撫でて帰っていった。安静にすることもせず戦場で駆けていた若かりし頃の私であれば既にモビルスーツに乗っていたことだろう。私は空に憧れていただけの少年であったというのにいつしか道を誤り、戦いという呪縛の中で生きることに不安を消していったのだった。もう既に空にたどり着き、悠々と飛んでいた事実も今だから気づけているのだろう。私は誰よりも愚かで、誰よりも幸せ者だった。盟友も戦友も持てた。こんなに充実している人もなかなか居ないだろうなと思いつつ、カタギリが置いて行ったコップをそっと持ち上げた。まだ、ほのかに残るコーヒーの香りとかすれたインクのにおいがする。どれだけの書類に目を通していたのか。疑問に思うほどであったがカタギリはそれでも軽い仕事だと言うのだった。
「全く・・・。自由なのもほどほどにしたまえ・・・」
勝手に入ってきてコップも、上着も置きっぱなしだったことに少しばかりの不満を漏らした。今ではこんなことも慣れているのだが。なぜならここに私物を置いていくときは夜にもここに来る予定なのだと理解したからだ。
「はぁ・・・」
今宵も眠れない
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