自職員
自職員
「ねぇシャルロット」
血だらけになりながら後処理をしてるときいつになく神妙な顔で声を掛けてきた。
「どうした」
「今日何日だっけ」
そんな当然のことすら覚えていないのか。カレンダーを見たらすぐにわかるだろうに。
「[規制済み]日だろう、それくらい覚えていろ」
「そうだよね、[規制済み]日だよね。ごめんごめん」
奇人はへらへらと笑って作業に戻っていった。俺と肩を並べるエリートとは思えない。俺たちはここで[規制済み]日過ごして[規制済み]日働いた同期じゃないか。
「………………。昨日も[規制済み]日じゃなかった?」
「何を言って…」
冗談を言うような顔ではなかった。真剣でそして恐怖をあおるような顔。
「ほら…昨日…中央第一のアーチャーが[規制済み]で…覚えて無い?」
それはきっと気づいてはいけないことなんだろうと思う。私にだってあった。何か不可解な違和感が。どことなく見たことのあるような同期の新入社員と見知ったような対応をするセフィラ。管理人に意見を通しても知っているというような反応だったことも。
「…アーチャーは生きてるだろう」
「今日はね、でも昨日は…[規制済み]日には死んだんだよ…」
そうだったか確信はないがそのような光景が浮かんでくる。まるでそこで見て、嘆いたように。
「昨日だってボクは君に[規制済み]日かい?と聞いたよ。間違いなく昨日も[規制済み]日だった。ボクは君と何日働いているんだ…?」
「…。」
ロボトミーコーポレーションがT社と技術提供関係を気付いていることは知っている。しかしここで働くにあたって関係のないことは資料すら貰っていない。T社の技術は少しの時間だけ止めたり、戻したりできるんじゃなかっただろうか。どこかのアブノーマリティ記録で見たような気がする。ほんの少しなら今の私たちの違和感を証明できない…と思っていたがロボトミー社の人たちがどうやってその技術を使っているのか…知らないということは………。もしかしたら私達は何度も同じ時間に居るのかもしれない。
「奇人、そんなことを考えたところで仕事は変わらないんだ。管理人だって、知っててやっているんだろう」
「…。今日はキミの部屋に行ってもいい?」
「勝手にしろ」
奇人は少し悲しそうな表情をしたが業務に戻っていった。扱いの難しい黄昏を使いこなすくらいの強者だ。そんな彼が恐怖を感じることがあるのだからこの会社は碌なものじゃない。
「おーいシャルロット、ちゃんと掃除しなきゃ。またティファレトに怒られるよ~」
「ん?ああ…悪い、オーウェン。今戻る」
今日も明日も明後日も、変わらないはずの日常がいつか突如終わってしまったら?こうして彼らとも話すことが出来なくなってしまったら?
「オーウェン、お前は生まれ変わってもここに就職すると思うか?」
「どうだろ、他にいい条件の翼に行ってもいいかもね」
“昨日も[規制済み]日だった”
強く胸を掴まれたような気分になる。何日今日を[規制済み]日を繰り返しているんだ。きっと一回だけじゃない。そうだとしたらこの「気が合う」と思う気分も、仲の良さもすぐに気づき上げた物じゃないかもしれない。
「………」
ああ…じゃあ今日は49日目じゃない。
「………俺はまたここに来るかもしれない。皆が待ってる」
「待ってる?」
いつかこの悪夢が終わるなら、もう一度会いたい。苦しまなくていい場所で。
「ねぇシャルロット」
血だらけになりながら後処理をしてるときいつになく神妙な顔で声を掛けてきた。
「どうした」
「今日何日だっけ」
そんな当然のことすら覚えていないのか。カレンダーを見たらすぐにわかるだろうに。
「[規制済み]日だろう、それくらい覚えていろ」
「そうだよね、[規制済み]日だよね。ごめんごめん」
奇人はへらへらと笑って作業に戻っていった。俺と肩を並べるエリートとは思えない。俺たちはここで[規制済み]日過ごして[規制済み]日働いた同期じゃないか。
「………………。昨日も[規制済み]日じゃなかった?」
「何を言って…」
冗談を言うような顔ではなかった。真剣でそして恐怖をあおるような顔。
「ほら…昨日…中央第一のアーチャーが[規制済み]で…覚えて無い?」
それはきっと気づいてはいけないことなんだろうと思う。私にだってあった。何か不可解な違和感が。どことなく見たことのあるような同期の新入社員と見知ったような対応をするセフィラ。管理人に意見を通しても知っているというような反応だったことも。
「…アーチャーは生きてるだろう」
「今日はね、でも昨日は…[規制済み]日には死んだんだよ…」
そうだったか確信はないがそのような光景が浮かんでくる。まるでそこで見て、嘆いたように。
「昨日だってボクは君に[規制済み]日かい?と聞いたよ。間違いなく昨日も[規制済み]日だった。ボクは君と何日働いているんだ…?」
「…。」
ロボトミーコーポレーションがT社と技術提供関係を気付いていることは知っている。しかしここで働くにあたって関係のないことは資料すら貰っていない。T社の技術は少しの時間だけ止めたり、戻したりできるんじゃなかっただろうか。どこかのアブノーマリティ記録で見たような気がする。ほんの少しなら今の私たちの違和感を証明できない…と思っていたがロボトミー社の人たちがどうやってその技術を使っているのか…知らないということは………。もしかしたら私達は何度も同じ時間に居るのかもしれない。
「奇人、そんなことを考えたところで仕事は変わらないんだ。管理人だって、知っててやっているんだろう」
「…。今日はキミの部屋に行ってもいい?」
「勝手にしろ」
奇人は少し悲しそうな表情をしたが業務に戻っていった。扱いの難しい黄昏を使いこなすくらいの強者だ。そんな彼が恐怖を感じることがあるのだからこの会社は碌なものじゃない。
「おーいシャルロット、ちゃんと掃除しなきゃ。またティファレトに怒られるよ~」
「ん?ああ…悪い、オーウェン。今戻る」
今日も明日も明後日も、変わらないはずの日常がいつか突如終わってしまったら?こうして彼らとも話すことが出来なくなってしまったら?
「オーウェン、お前は生まれ変わってもここに就職すると思うか?」
「どうだろ、他にいい条件の翼に行ってもいいかもね」
“昨日も[規制済み]日だった”
強く胸を掴まれたような気分になる。何日今日を[規制済み]日を繰り返しているんだ。きっと一回だけじゃない。そうだとしたらこの「気が合う」と思う気分も、仲の良さもすぐに気づき上げた物じゃないかもしれない。
「………」
ああ…じゃあ今日は49日目じゃない。
「………俺はまたここに来るかもしれない。皆が待ってる」
「待ってる?」
いつかこの悪夢が終わるなら、もう一度会いたい。苦しまなくていい場所で。
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