1章
ラスレンは城の門を潜った。
いつもなら目にするはずの兵達の姿がなかった。
「変だな…」
ラスレンは周りを見ながら歩いている。
「うぅ…」
か細い声が聞こえた。
ラスレンの目に映ったのは、怪我をした血だらけの兵士がよろめきながら歩く姿だった。
「しっかりして下さい!何があったんですか!?」
ラスレンは兵士に駆け寄って体を支えた。
「…侵入者が…た、助けてくれ…っ…」
兵士がそこまで言うと、ぐったりと力を失った。
「…っ!…そんな…」
兵士は事切れていた。
ラスレンはそのまま静かに兵士を寝かせた。
「くそっ!何が起こったんだ!?」
思っていた以上の急変さに、ラスレンは城の中に飛び込むようにして入った。
思わず目を伏せたくなるような光景がそこにあった。
血を流して倒れている人。
怪我に呻いて苦しむ声。
必死で手当てしたり呼び掛けたりする人。
嘆きや悲痛な声。
目や耳に入るもの全てが悪夢のようだった…
「なんなんだよこれ…!どうなってんだよ…っ!」
実際に初めて目の前にしたラスレンにとって衝撃的だった。
ラスレンは話し掛けても大丈夫そうな人を探して声をかけてみた。
「敵はどこにいるんですか?」
詳しい話を聞きたかったが、そんな場合ではないと思い、単刀直入に尋ねた。
「玉座の間の方へ向かった。かなりの強者達だ。気を付けろ」
兵士の冷や汗と深刻な表情で、最悪な事態であることを更に痛感した。
ーー
ラスレンは言われた場所へと走っている。
見たかぎり、多くの怪我人や死人が出ている。
そこまでの事態にまで追い込ませるほどの、敵の圧倒的な強さと凶悪さ。
恐怖がないわけではない。
動揺を抑えようとするのに必死だった。
それでもラスレンの足が止まることはなかった。
英雄の子孫として、
一人の剣士として、
逃げるわけにはいかない。
ーー
ラスレンは玉座の間の前まで着いた。
倒れたまま動かなくなっている兵士や、呻いたりしている兵士が多くいる。
戦える兵士の数の方が少なかった。
そこに3人の人物がいた。
真ん中にいる、眼鏡をかけた銀髪の若い男。
ラスレンより2~3歳くらい年上の黒髪の男。
16~18歳くらいの橙髪の少女。
3人とも余裕の表情を浮かべていた。
ネルス王自らが剣を持つ姿が見えた。
その周りには数人の護衛兵達がネルス王を守るようにして立ち、後ろには剣を持ったモーリム王子がいる。
「話のわからない方達ですね。私達が欲しいのは聖剣レクレヴァスだけなんですよ。早く封印を解いていただけませんか?」
眼鏡男は笑顔だがどこか不気味だった。
「全く、レフィードさんの言う通りにしていればこんな手荒なことしないですんだのにな。なっサフィヤ」
黒髪の男が隣にいる橙髪の少女に同意を求めた。
「そうよねダーグス。まあ私はどちらにしろ脅迫させたけどね」
サフィヤと呼ばれた少女がクスクスと笑う。
(なんなんだこいつら!?)
3人の態度に怒りが沸いたラスレンが、出ていこうと一歩踏み出す。
いつもなら目にするはずの兵達の姿がなかった。
「変だな…」
ラスレンは周りを見ながら歩いている。
「うぅ…」
か細い声が聞こえた。
ラスレンの目に映ったのは、怪我をした血だらけの兵士がよろめきながら歩く姿だった。
「しっかりして下さい!何があったんですか!?」
ラスレンは兵士に駆け寄って体を支えた。
「…侵入者が…た、助けてくれ…っ…」
兵士がそこまで言うと、ぐったりと力を失った。
「…っ!…そんな…」
兵士は事切れていた。
ラスレンはそのまま静かに兵士を寝かせた。
「くそっ!何が起こったんだ!?」
思っていた以上の急変さに、ラスレンは城の中に飛び込むようにして入った。
思わず目を伏せたくなるような光景がそこにあった。
血を流して倒れている人。
怪我に呻いて苦しむ声。
必死で手当てしたり呼び掛けたりする人。
嘆きや悲痛な声。
目や耳に入るもの全てが悪夢のようだった…
「なんなんだよこれ…!どうなってんだよ…っ!」
実際に初めて目の前にしたラスレンにとって衝撃的だった。
ラスレンは話し掛けても大丈夫そうな人を探して声をかけてみた。
「敵はどこにいるんですか?」
詳しい話を聞きたかったが、そんな場合ではないと思い、単刀直入に尋ねた。
「玉座の間の方へ向かった。かなりの強者達だ。気を付けろ」
兵士の冷や汗と深刻な表情で、最悪な事態であることを更に痛感した。
ーー
ラスレンは言われた場所へと走っている。
見たかぎり、多くの怪我人や死人が出ている。
そこまでの事態にまで追い込ませるほどの、敵の圧倒的な強さと凶悪さ。
恐怖がないわけではない。
動揺を抑えようとするのに必死だった。
それでもラスレンの足が止まることはなかった。
英雄の子孫として、
一人の剣士として、
逃げるわけにはいかない。
ーー
ラスレンは玉座の間の前まで着いた。
倒れたまま動かなくなっている兵士や、呻いたりしている兵士が多くいる。
戦える兵士の数の方が少なかった。
そこに3人の人物がいた。
真ん中にいる、眼鏡をかけた銀髪の若い男。
ラスレンより2~3歳くらい年上の黒髪の男。
16~18歳くらいの橙髪の少女。
3人とも余裕の表情を浮かべていた。
ネルス王自らが剣を持つ姿が見えた。
その周りには数人の護衛兵達がネルス王を守るようにして立ち、後ろには剣を持ったモーリム王子がいる。
「話のわからない方達ですね。私達が欲しいのは聖剣レクレヴァスだけなんですよ。早く封印を解いていただけませんか?」
眼鏡男は笑顔だがどこか不気味だった。
「全く、レフィードさんの言う通りにしていればこんな手荒なことしないですんだのにな。なっサフィヤ」
黒髪の男が隣にいる橙髪の少女に同意を求めた。
「そうよねダーグス。まあ私はどちらにしろ脅迫させたけどね」
サフィヤと呼ばれた少女がクスクスと笑う。
(なんなんだこいつら!?)
3人の態度に怒りが沸いたラスレンが、出ていこうと一歩踏み出す。