第4章

ラスレンは思い出していた。

数ヶ月前にカシルと任務を遂行することになった日のことをーー


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「ラスレン隊長ー!」
後ろからカシルの声が聞こえるのに気付いたラスレンが振り返る。

「遅れてしまってすみません」
カシルが息を切らして走ってきた。

「気にするな。俺も来る途中でつまづいてしまって遅れるところだったよ」
ラスレンは笑顔で答える。


魔物が潜んでいる遺蹟を歩いている二人。
前がラスレンで後ろはカシル。

「ラスレン隊長。僕、頑張ります」
カシルははっきりと口にする。

「ああ。後ろはまかせたぞカシル」
ラスレンはカシルの力を信用していた。


二人は更に奧へと進む。

魔物の群れが二人を襲う。

二人は数の多い魔物達を次々と倒していく。

「僕は負けない!」
カシルの口調はどこか強い意志を秘めていた。

カシルは、どんな魔物にも怯むことなく立ち向かっていった。

「カシル…」
いつの間にカシルはこんなに強くなったのだろうとラスレンは思った。


任務を終えた帰り、ラスレンはカシルと話をしている。

「俺、この間シディエスと戦って負けてしまったんだ」
ラスレンは、カシルの兄のシディエスとは友人であり、剣のライバルでもあった。

「兄さんと戦ったんですか」
カシルはラスレンを見る。

「ああ。シディエスは俺との決着がつく前に魔法を連続で使用してきたんだ。さすがにあれはきつかったな」
ラスレンは明るく語る。

「兄さんは魔力も相当強いですからね」
カシルは兄シディエスの強さを知っていた。

「俺が魔法はないだろうと言ったらシディエスが「本気でいくといっただろう」と返したんだよ。まいったなぁ」
ラスレンは苦笑した。

「兄さんらしいです」
カシルは穏やかに笑っていた。


――――


エリレオは一人で考え込んでいた…


カシルとは兵士見習い時代を一緒に過ごしてきた。

カシルと共に、強くなるために鍛錬し続けてきた。

カシルのように真っすぐになれたらと思っていた。

強い意志を持つこと
優しさを大切にすること
友達や仲間を思うこと
人を信じること

色々とカシルに教えてもらった。
カシルと友達になれてよかった。

あの時、僕は手も足も出なかった…
自分の力のなさに腹が立つ…

僕には兄上のような魔法の才能もない…
剣も父上には及ばない…

今のままではあいつには勝てん…
力が足りないのだ…

僕は…強くなりたい…!
強くなってみせる!

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