第4章
戦いが始まったーー
ラスレンの隊とシディエスの隊の二手に別れ、敵の主力部隊を両方の隊から攻めて行けるような陣形にした。
ソルゴ兵士長の部隊は、敵の別部隊と応戦することになった。
ラスレンの隊の戦況は優勢で、この調子で行けば勝利に近づけるかもしれないと思い始めていた。
だが、やはりそう簡単に事は運ばないーー
ラスレン達は、上空から何か羽ばたくような物音がすることに気付き視線を移した。
無数の何かが飛んでいる。
「なっ!?あれは竜!?」
ラスレンは目を見開いて驚く。
竜は、この世界ではその存在が明確にされておらず、見た者は誰もいない。
だが。今、目に写っている竜は幻覚ではなく実在している。
しかも、敵兵達がその竜を操っていたとは…
…予想外だった。
十数匹の竜に乗る兵士たちがこちらに飛んで来ていた。
竜兵士達は隙を突くかのように、剣を構えて一斉に飛んでくる。
ラスレン達に竜が急降下し、竜兵士達の猛攻撃が次々と襲ってきた。
ラスレン、カシル、エリレオや複数の兵士達は、見極めて機敏にかわし防戦していた。
だが、攻撃を避けきれなかった同じ隊の仲間が一人、また一人と血に染まり倒れていく…
「…!?」
初めて出陣したエリレオとカシルにとっては衝撃的な光景だった。
カシルは思わず目を逸らしてしまい、エリレオは茫然としたままだ。
戦いの意味をあらためて思い知らされ気が重くなる…
兵士達には動揺が見え、隊列が乱れ始めていた。
空からの敵兵に応戦した経験がない上、現在では、そういった訓練や技法もなかったからだ。
「みんな大丈夫だ!俺達は戦える!敵の動きをよく見るんだ!」
ラスレンが兵達を落ち着かせようとした。
カシルとエリレオと半数以上の兵士達は我に返った。
しかし、まだうろたえている兵士達もいる。
その時、いきなり突風が吹き荒れ、竜戦士達を襲った。
バランスを失った竜達が、次々と墜落していく。
「皆さん大丈夫ですか?」
カシルの声が聞こえた。
「そうか!カシルは魔法が使えるんだったな!」
兵士が気が付いたように言う。
ラスレンの部隊では、魔法が使えるのはカシルしかいない。
唯一魔法が使える兵達は、皆シディエスの部隊に属していた。
それは、シディエスの部隊が、剣に魔法を加えた戦法を取り入れているからだった。
「ラスレン隊長!あの竜達は僕にまかせて下さい!」
自分にしかできないとカシルは強く思った。
「わかった。だが、あまり無理はするなよ」
ラスレンは、カシルを心配していた。
更に、魔法を使うカシルが敵に狙われやすく危険ではないかと考えた。
ラスレンは、部下達を素早く見回し判断をする。
「エリレオ!ナータ!キヤ!お前達はカシルを援護してくれ!」
ラスレンは三人の兵達を呼んだ。
「はっ。かしこまりましたであります」
「オレ達が必ず守ります!」
「おまかせ下さい。隊長!」
三人はそれぞれラスレンに返事をした。
「後兵と後ろの弓兵はその場に残って戦え!それ以外の者は俺と共に主力部隊と戦う!」
竜兵士襲来という思わぬ事態のため、ラスレンは隊を二分する作戦を考えた。
そして、
「みんな!戦いが終わったらまた会おう!」
ラスレンは兵士達に力強い表情を見せた。
俺達は負けない…!
この砦を守ってみせる…!
ラスレンの今の顔が、そう伝えているかのようだった。
「「はいっ!」」
兵士達もそんなラスレンに答えるように力強く返事をした。
「行くぞ!続けっ!」
ラスレンが聖剣を勢い良く進行方向に突き付ける。
ラスレン達の隊は主力部隊の所へ足を進めて行った。
ーー
ラスレンの隊とシディエスの隊の二手に別れ、敵の主力部隊を両方の隊から攻めて行けるような陣形にした。
ソルゴ兵士長の部隊は、敵の別部隊と応戦することになった。
ラスレンの隊の戦況は優勢で、この調子で行けば勝利に近づけるかもしれないと思い始めていた。
だが、やはりそう簡単に事は運ばないーー
ラスレン達は、上空から何か羽ばたくような物音がすることに気付き視線を移した。
無数の何かが飛んでいる。
「なっ!?あれは竜!?」
ラスレンは目を見開いて驚く。
竜は、この世界ではその存在が明確にされておらず、見た者は誰もいない。
だが。今、目に写っている竜は幻覚ではなく実在している。
しかも、敵兵達がその竜を操っていたとは…
…予想外だった。
十数匹の竜に乗る兵士たちがこちらに飛んで来ていた。
竜兵士達は隙を突くかのように、剣を構えて一斉に飛んでくる。
ラスレン達に竜が急降下し、竜兵士達の猛攻撃が次々と襲ってきた。
ラスレン、カシル、エリレオや複数の兵士達は、見極めて機敏にかわし防戦していた。
だが、攻撃を避けきれなかった同じ隊の仲間が一人、また一人と血に染まり倒れていく…
「…!?」
初めて出陣したエリレオとカシルにとっては衝撃的な光景だった。
カシルは思わず目を逸らしてしまい、エリレオは茫然としたままだ。
戦いの意味をあらためて思い知らされ気が重くなる…
兵士達には動揺が見え、隊列が乱れ始めていた。
空からの敵兵に応戦した経験がない上、現在では、そういった訓練や技法もなかったからだ。
「みんな大丈夫だ!俺達は戦える!敵の動きをよく見るんだ!」
ラスレンが兵達を落ち着かせようとした。
カシルとエリレオと半数以上の兵士達は我に返った。
しかし、まだうろたえている兵士達もいる。
その時、いきなり突風が吹き荒れ、竜戦士達を襲った。
バランスを失った竜達が、次々と墜落していく。
「皆さん大丈夫ですか?」
カシルの声が聞こえた。
「そうか!カシルは魔法が使えるんだったな!」
兵士が気が付いたように言う。
ラスレンの部隊では、魔法が使えるのはカシルしかいない。
唯一魔法が使える兵達は、皆シディエスの部隊に属していた。
それは、シディエスの部隊が、剣に魔法を加えた戦法を取り入れているからだった。
「ラスレン隊長!あの竜達は僕にまかせて下さい!」
自分にしかできないとカシルは強く思った。
「わかった。だが、あまり無理はするなよ」
ラスレンは、カシルを心配していた。
更に、魔法を使うカシルが敵に狙われやすく危険ではないかと考えた。
ラスレンは、部下達を素早く見回し判断をする。
「エリレオ!ナータ!キヤ!お前達はカシルを援護してくれ!」
ラスレンは三人の兵達を呼んだ。
「はっ。かしこまりましたであります」
「オレ達が必ず守ります!」
「おまかせ下さい。隊長!」
三人はそれぞれラスレンに返事をした。
「後兵と後ろの弓兵はその場に残って戦え!それ以外の者は俺と共に主力部隊と戦う!」
竜兵士襲来という思わぬ事態のため、ラスレンは隊を二分する作戦を考えた。
そして、
「みんな!戦いが終わったらまた会おう!」
ラスレンは兵士達に力強い表情を見せた。
俺達は負けない…!
この砦を守ってみせる…!
ラスレンの今の顔が、そう伝えているかのようだった。
「「はいっ!」」
兵士達もそんなラスレンに答えるように力強く返事をした。
「行くぞ!続けっ!」
ラスレンが聖剣を勢い良く進行方向に突き付ける。
ラスレン達の隊は主力部隊の所へ足を進めて行った。
ーー