第3章

エリレオは屋敷の廊下を歩いている。

しばらくするとリファラと司祭が歩いてきた。

「おお。リファラではありませんか」
エリレオはリファラに声をかけた。

「こんにちはエリレオ。ここで会うなんて思わなかったわ」
「兄上に会いに来たのでありますよ。リファラは元気でしたか?」
二人が再会したのは一ヶ月ぶりくらいだった。

「ええ。わたしは…」
リファラはどこか暗い顔をしていた。

「ところで、セディルはどこにいるのでありますか?」
エリレオが尋ねる。

「…」
聞かれた途端リファラは口を噤んだ。

「リファラ?セディルがどうかしたのでありますか?」
エリレオはリファラの様子がおかしいことに気付く。

「リファラ。もうすぐ浄化の時間ですよ」
リファラの隣にいた司祭が呼んだ。

「ごめんなさいエリレオ。わたし…」
リファラは何か言いたそうな顔をしているが、それ以上は何も口にしなかった。

リファラは司祭と行ってしまった。

「浄化?浄化とはなんだ?リファラはどうしてしまったのだ?それにセディルはどこに?」
疑問が湧くエリレオ。

ーー

エリレオはユーリスの部屋の近くまで歩いてきた。

「またお前なのか。おれは忙しいんだよ」
バルコニーからユーリスの声が聞こえてくる。

エリレオがバルコニーを見ると、ユーリスがいたので声をかけようとした。

「しつこいぞ。おれがいいと思うまでお前は出てくるな」
ユーリスが何か話しているが、周りには誰もいない。

「はて?ユーリス様はどうされたのだ?」
エリレオは疑問を抱く。

「いいか。おれの許可なしではお前は…って…あーっ!」
途中でユーリスがエリレオに気付いて、あたふたしていた。

「ユーリス様、エリレオであります」
エリレオは挨拶をする。

「や、やあエリレオ。お、おれ最近精神的に疲れてるみたいなんだ。オヤジが亡くなった後の引き継ぎの仕事とか、いろいろとやることがあってさ」
ユーリスは慌てた様子で答えた。

そしてーー

「セディルはどうしているのでありますか?まだ会っていないのですが」
エリレオがセディルのことを口にする。

すると、ユーリスは顔色を変えて経緯を話しだした。

「なんと!?セディルは闇の力を持っていたのでありますか!?」
エリレオは驚く。

「そうなんだよ。おれたちを欺いていたんだ。ひどいだろ。すっかり騙されちゃったよ」
愚痴っぽく語るユーリス。

「え?セディルが…?で、ありますか…?」
どうも腑に落ちないエリレオ。

14/16ページ