第3章

「この魔力…!おい!その少女を捕らえろ!」
位の高い男がレシエナの高い魔力に気付き部下に命令した。

「やめろっ!」
走ってきたロルウェが、レシエナを守るようにして立った。

「この少女も捕まえるのだ!」
位の高い男がロルウェを指差す。

「おれは男だ!」
ロルウェが即効で訂正した。

「そんなことはどうでもいい。お前達が捕われることに変わりはないからな」
位の高い男は全く気にもせず淡々と返す。

光の集団に囲まれ、逃げ場をなくしたレシエナとロルウェだったが、すぐに父と母が助けにきてくれた。

両親はレシエナとロルウェを庇い、光の集団に連れていかれてしまった。

また、アリストラ国の正当な血を受け継ぐたった一人の王子は、まだ10歳の少年であったため、経験が乏しく力も未熟であった。

王子は、集団の無数の魔力に攻撃されて力尽き、光の集団に捕われた。

レシエナとロルウェは光の集団からうまく逃れることはできたが、失ったものは大きかった…

あれから、両親達の消息は途絶えたまま…

だが、レシエナとロルウェは、まだ両親達が生きていると信じていた。

ロルウェには強い思いがあった。

あの時の自分に力があれば、父や母を助けることができた…

逃げることだけしかできなかった無力な自分…

もっと強ければ…!

だからこそ、姉のレシエナだけは守らなければならない!
たった一人の家族を…!

ロルウェの意志は固かった。

7年前のあの事件以来、レシエナとロルウェは強くなるために、訓練や修業を重ね、本を読んで勉強をしたりして力を身につけていった。


そんなある日、情報が入るーー

ヴィシャス国のルーニアの街にいる、リューエル家の大僧正レハラルドが光の力を崇めていた。

闇の力を嫌悪し危機感を持っているため、闇の力を持つ者を捕まえて収容所に送っている。

そして、レハラルドの住むリューエル家の屋敷には、光の力を持つ者達が多数存在しているという。

あの時の光の集団であるという確信はないが、疑いはあった。


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