第3章

「なんでだよ!?なんでセディルが闇の力を持ってるんだよ!?」
ユーリスは、セディルから闇の力を感じ取ってしまい混乱している。

「ユーリス…」
セディルは、今までの仲間としての関係が崩れてしまうという恐怖に襲われた。

「どういうことだ!?お前は闇の力を持っていたのか!?どうやって隠してたんだよ!?」
ユーリスがセディルを問い詰める。

セディルは、本来の性格の自分を受け入れてくれ、大僧正の息子だと知っていても対等に接してくれた。

この先もセディルと一緒に旅をしていくと信じていた。

「仲間だと思っていたのに…!おれを騙してたのか!?」
ユーリスは怒りをぶつける。

「ごめん…。闇の力を隠していたことは謝るよ…。君に知られるのが怖かったんだ…。ぼくはユーリスと友達になりたかったから」
セディルは謝罪して本当の気持ちを伝えた。

「闇の奴のくせにおれと友達だと!?ふざけるな!」
ユーリスの重い言葉がセディルの心に突き刺さった。

「ユーリス、どうしてそんな言い方をするの?。セディルの闇の力を知ってから何か変よ」
リファラが疑問を口にする。

「リファラこそなんで闇の奴を庇うんだよ?おれたち騙されてたんだぞ!」
ユーリスはセディルに欺かれたと思い込んでいた。

「そうだと決まったわけではないでしょ。それに、わたしにはセディルがそんなことをする人だなんて思えないわ」
リファラはセディルを信じようとしていた。

「リファラ…」
セディルがすがるようにリファラを見る。

「お前…!リファラを闇の力で洗脳したな!」
ユーリスはセディルに疑いの目を向けた。

「え?何言ってるんだ?洗脳なんてしてないし、そんな力もないよ」
セディルは否定する。

「嘘つくな!リファラのお見舞いを装って心を闇の力で支配していたんだろ!」

「違うよユーリス!ぼくは何もしていない!本当だ!」
セディルはユーリスに必死で訴える。

「おれは闇の奴なんか信じない!」
ユーリスはセディルにも憎しみをぶつけるようになっていた。

「…」
セディルは何も言えなくなってしまった…。

「セディル!」
見かねたリファラがセディルの所へ行こうとするが、

ユーリスがリファラの腕をつかみ自分の方へ引き寄せた。

「どこへ行くんだいリファラ。約束しただろう。君を一人にさせたりなんかしない。君とずっと一緒にいるって」
ユーリスからは何か重たい感情を感じる。

今のユーリスは、父レハラルドを亡くし気が動転していて、精神状態が危うくなっていた。

「お願いだ。闇の者にかけられたリファラの呪いを浄化してくれ」
ユーリスが司祭に頼む。

「わかりました」
司祭が返事をする。

「兵たちよ。その闇の者を地下牢へ閉じ込めておけ!」
ユーリスが兵士に強い口調で命令した。

「待ってユーリス!一体どうしちゃったの!?セディルが何をしたの!?」
リファラは困惑していた。

「リファラ」
セディルがリファラを呼んだ。

「ぼくを信じてくれてありがとう。もっとリファラと一緒に旅をしたかった」
セディルは、涙が出そうになりながらも笑って自分の思いを伝えた。

そして、セディルは悲しそうな顔でユーリスを見る。

闇の奴…
闇の者…
もう二度と名前で呼んでくれることはない…

「ユーリス。短い間だったけれど君と旅ができて楽しかったよ。ぼくと一緒にいてくれてありがとう」
セディルは精一杯泣くのを堪え、笑顏を見せながら別れの言葉を告げた。

「うるさい!そんな言葉なんかに騙されないぞ!」
ユーリスはセディルに軽蔑の眼差しを向け、

「二度とおれの前に顔を見せるな!」
ユーリスはセディルに背を向けて拒絶した。

もう元の仲間関係には戻れない…

さようならユーリス…

「貴様のような闇の奴がユーリス様に近づくとは身の程を知れ」
「お前はユーリス様を騙して取り入るという罪を犯したのだ。罰を受けろ」
兵士たちがセディルを連れて行った。

母からの宝物は奪われ…
仲間はもういない…

やはりぼくは…誰かといてはいけない存在…
価値のない人間なんだ…

セディルは絶望の底に突き落とされた…


ーーーー


7/16ページ