第3章

リューエル家の屋敷。

外は雨が降っていた。

ユーリスはレハラルドが寝ている部屋にいる。

ユーリスとレハラルドを二人だけにするため、リファラは部屋の外で待っていた。

ユーリスは、ベッドの近くに置いてある椅子に座っていた。

父レハラルドの身体は包帯だらけで、巻かれている部分が血で滲んでいる。

目の前にいる父の状態が信じられなかった…
これが現実であると信じたくなかった…

「父上…」
ユーリスは涙を堪えながら、目を覚まさない父を見ていた。

部屋の窓の外側は濡れていて、雨の音だけが聞こえていた。

「う…う…」
レハラルドがゆっくりと目を開けた。

「父上…ユーリスです」
ユーリスが声をかける。

「ユー…リス…」
レハラルドが息も絶え絶えに話しだす。

「闇を…打ち消し…この世界…に…光を…。後は…まかせた…ぞ…」
レハラルドは遺言を残した。

「はい…」
ユーリスから一粒の涙が落ちる。

ユーリスへの言葉を最期に、レハラルドは息を引き取った…

「父上ーーー!!」
ユーリスの目から涙が溢れた。

もっと話をしたかった…
もっといろいろなことを学びたかった…

突然訪れた父の死…

胸が張り裂けそうだった…


ーー


外からは強雨と雷の音が聞こえる。

ユーリスが部屋から出てきた。

その表情は悲しみと怒りに満ちていた。

「許さない…!許さないぞ闇の奴らめ!」
ユーリスは拳を握りしめる。

「昔、母上を殺し…今は父上までも殺した…!おれの大切な両親を奪った闇の奴らを絶対に許さない!!」
ユーリスの怒りが爆発した。

「闇の奴らなんて、この世から全部消えてしまえばいいんだ!!」
ユーリスが憎しみを込めて叫ぶと同時に稲妻が光る。

まるでユーリスの感情を表わすかのように雷の音が響き渡った。

ーー

「ユーリス様、例の闇の者を捕まえました」
「その者は少年ではなく少女だったのです」
兵士たちがユーリスに伝えた。

「なんだって!?」
ユーリスは振り返る。

稲光に合わせて見えたのは、兵士たちに捕らえらていれたセディルの姿だった。

「…ウソだろ…!?」
ユーリスは目を疑う。

雷が落ちた…

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