第3章

ヴィシャス城の中ーー

セディルとユーリスが廊下を歩いていた。

「…!」
ユーリスが足を止め立ち止まる。

「どうしたんだユーリス?」
セディルがユーリスを見る。

ユーリスの表情は、先程までとは違って不安な顔になっていた。

「なんだろう…この感じ…」
ユーリスは城の窓から外を見る。

胸がざわつく…

心が落ち着かない…

「…」
ユーリスは、しばらく無言だった…

「ユーリス様ー!ユーリス様ー!」
司祭が慌てた様子で走ってきた。

「貴方はリューエル家の!どうしたんだ?」
ユーリスが司祭に駆け寄る。

司祭は状況を伝えたーー

レハラルドとルイン一行は、ルーニアの街に帰る途中、闇の力を持つ傭兵団に襲撃された。
護衛兵たちは全滅。
ルインは大怪我をして意識不明。
レハラルドは瀕死の重症を負った。

ユーリスは大至急、ルーニアの街に戻りリューエル家に帰ることになった。

セディルとリファラもユーリスに同行した。

(街の警備兵や術士達たちは、まだ、“少年”を捜し回っているだろうか?)
セディルは、ルーニアの街には行かない方がいいのではと考えた。

少年だと思われているけれど、いつかは女だとバレてしまうのではないか。

いつまで誤魔化し続けられるかも、わからない。

(けれど、ユーリスが心配だ。仲間を放って自分だけここに留まっていていいのか?)

迷っていたが、セディルはルーニアの街に行くことにした。

緊急のため馬車が用意されており、3人は馬車に乗ってルーニアの街へと向かった。

ーー

ルーニアの街に着いたセディルたち。

「ユーリス様!お待ちしておりました!」
屋敷の前ではリューエル家の兵や司祭たちが、ユーリスを迎えに来ていた。

その近くを一人の人物が歩いている。

茶色い髪に紅い瞳をした少年ーーアシェドである。

(なんだあいつらは?もしかして…)
何かあると思い、アシェドは聞き耳を立てた。

ユーリスは素早く馬車から降り、近くにいた兵士に話しかける。

「父上の容体はどうなんだ!?」
ユーリスは動揺していた。

「…レハラルド様はご危篤です…」
兵は俯いた。

「…!」
ユーリスは言葉を失い、一目散に屋敷の入口へと走り出した。

(なるほど、アイツがレハラルドの息子なのか)
アシェドはこっそりと様子を見ている。

セディルは、屋敷に入るとバレてしまう恐れがあると判断し、街の宿屋にいるとリファラに伝えた。

セディルは一人で歩いていた。

セディルがアシェドの近くを横切る。

(…!?あの魔石は…!)
アシェドは、セディルの首にかけてあるペンダントの水色の魔石を見て目を見開いた。

ーー

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