第3章

「お前たちは下がってろよ。こいつとは俺が戦う」
茶色い髪に紅い瞳をした少年が現われた。
手には鎌のような形をした斧を持っている。

「俺はアシェドだ」
アシェドと名乗った少年は、怪しい雰囲気を漂わせていた。

「…!」
(この少年からは闇の力を感じない…!だが、何か違和感を感じる…)
ルインは、目の前の少年に異様な魔力を感じた。

「お前は本当の力を隠しているだろう」
ルインが冷静に口にした。

「あれっ?俺の闇の力がわかったのか?流石だなぁ」
気にしない様子で答えるアシェド。

(やはりこの少年も闇の力を持っている。あの時に会った少年と同じだな)
ルインは、前に街でレハラルドが見つけた赤い髪の人物を思い出していた。

「お前たちは誰に頼まれた?闇の組織シュヴァの関係者か?」
「さあ?なんでしょう?」
ルインの問いにアシェドはすっとぼける。

「話にならんな」
ルインは冷たい口調で返した。

「それより俺と戦えよ。お前は強いから楽しませてくれそうだよなぁ」
アシェドは笑みを浮かべる。

(なんなのだ?この少年は…)
ルインはアシェドに対し、掴みどころがない人物だと思った。

アシェドがルインに向かって斧を振り下ろした。
ルインは魔強化した杖で受け止める。

すぐにアシェドが次の攻撃を繰り出し、ルインは魔法壁で攻撃を防いだ。

(速い…!)
ルインは、アシェドが他の者たちよりも戦闘力を上回っていることに気付いた。

「ぐっ!」
いきなり背後から複数の攻撃を受けるルイン。

ルインは、アシェドの攻撃に全力集中しなければならかったため、背後からの攻撃を防げなかった。

「お前の所に行く前に俺がメンバーに伝えたんだよ。俺が戦っている間、お前を集中力に攻撃しろってね」
アシェドはニヤニヤしている。

「くっ…卑怯な…!」
ルインは、いつの間にか敵に囲まれていたことに気付いた。

「残念だったね〜。正々堂々と戦うなんてのは、俺のルールにはないんだよねぇ」
邪悪な顔になるアシェド。

想像以上に敵の数が多く戦いが長引いてしまった。

ルインは魔強化で魔力を消費し続け、何度も攻撃に耐えてきたため、限界になり倒れてしまった。

傷だらけのルインは、体中の痛みで意識が朦朧としてきた…

レハラルド様…

ユーリス様…

…エリ…レオ…

…父…上…

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