第3章

ヴィシャス国に悲しい知らせが届いた。

国王ネルスの死――

数ヶ月前から重い病を患い闘病生活を続けていたが、ついに帰らぬ人となってしまった。

王の葬儀が行われ、ユーリスの父のレハラルドと従者のルインも参列した。


その次の日の朝――


レハラルドとルインは、ルーニアの街のリューエル家の屋敷に帰るため、ヴィシャスの街を出た。

馬車にはレハラルドが乗っていて、周りには従者ルインと護衛兵たちが囲んでいる。

馬車は森の中を進んでいた。

「!」
急に複数の魔力の玉がこちらに飛んでくるのを感じたルイン。

ルインは瞬時に魔法で障壁を作り、攻撃を防いた。

「敵襲だ!」
ルインは辺りから複数の闇の力を察知し、杖を手にした。

「まさか闇の組織シュヴァか!?」
「わからない!だが闇の力を持つ集団なのは間違いない!」
護衛兵たちが武器を構えて戦闘体制になる。

周囲のあちこちの木の影から、私服を着た者たちが姿を現わした。

「オレたちは傭兵団だ」
現われたメンバーのうちの一人が口を開く。

「レハラルドを討ち取れば報酬金がもらえるぞ!行けー!」
中央にいるリーダーらしき男が部下に命令した。

「レハラルド様をお守りしろ!」
ルインは杖を構えた。

ルインの杖、そして服全体が光る。

魔力が宿っている物に自分の魔力を注ぎ込み強化する技、魔強化を使った。

ルインの着ているローブは、魔力を込めた生地で編み込まれている魔法の服だった。

「こいつ!全てを魔強化しやがったぞ!」
「なるほど。大僧正の側近を努めているだけの実力はあるということか」
闇の者たちは、ルインはただ者ではないと感じた。

「敵をレハラルド様に近づけさせるな!」
ルインたちは闇の集団と応戦した。

ーー

闇の集団と戦うルイン。

ルインは魔導師であったが、魔強化によって杖と着ている服が強化され、魔力を使って能力を上げて戦っていた。

「ぐあっ!魔導師ごときに…!なぜだ…っ!」
「くっ…!オレの動きについていけるなんて…あの男なんなんだ…?」
「魔強化なら魔力が尽きるはずだろ?まだ戦えるのかよ…」
闇の者たちは、予想を上回るルインの戦い方に焦っていた。

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