第2章
シディエスは幼い頃に父を亡くし、母は8歳くらいの時、何者かに連れ去られて行方不明になり消息を絶ってしまう。
その後シディエスは、ある夫婦の養子になった。
シディエスが15歳になった時ーー
その頃のシディエスは天才剣士として街で有名になっていった。
今日は休日で、家に帰るために街を歩いていた。
「すみません。あなたがシディエスさんですか?」
若い旅の剣士が声をかけてきた。
シディエスは、街でよく声をかけられることがある。
そのため、いつものことだろうと流そうとした。
「はい」
シディエスは短く返した。
「おお!あなたがエラ様の息子さんですか!本当に髪と目の色が同じですね」
剣士はシディエスを見て喜んでいた。
「母のことを知っているんですか?」
母の名を聞いたシディエスは目を見開く。
剣士は、行方不明になっていた母の知り合いだった。
「今、母はどこにいらっしゃるんですか?生きているんですか?」
シディエス普段はあまり感情を出さないが、母の話になると別だった。
しかし母の居場所は頑なに教えてくれず、もし知られてしまうと危険が及ぶことになると言われた。
話してくれたのは、母はここからは遠い国に住んでおり、身分の高い人と結婚していて、カシルという名前の5歳の子供がいるということだった。
その剣士は、名前も言わずに隠れるようにしていなくなってしまった。
どこか別の国で、母は再婚していた。
しかも子供までいたのだ。
シディエスは衝撃を受けてしばらく立ち尽くしていた。
ーーーー
月日は流れ、シディエスは20歳になったーー
用事のため街の外へ出た。
少し歩くと、傷だらけの剣士が体を引きずって歩いているのが見える。
シディエスはその剣士に駆け寄った。
「…シディエス…」
剣士はシディエスの顔を見て倒れ込む。
「なぜ私の名前を…?」
シディエスは尋ねる。
「昔…街で…会った…」
剣士は10年前に会った母の知り合いだった。
「カシル様を…頼む…」
消え入りそうな声で剣士は懇願する。
その後、紙を渡され、剣士は息絶えてしまった。
渡された紙には10歳くらいの少年の顔が描かれていた。
おそらくこれがカシルの顔なのだろう。
「この子が私の弟…」
シディエスに色々な感情が渦巻く。
そして、弟を探す決意をした。
その後、遺体を運んだ者たちが、剣士がどこの国からきたのか痕跡を探したが何も見つからなかった。
追跡されないよう、自国の物は持たないようにしていたのだろう。
シディエスは、髪の色と瞳の色、聞いた年齢、渡された紙の絵、それだけを手がかりに、カシルを探しに出たのだった。
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その後シディエスは、ある夫婦の養子になった。
シディエスが15歳になった時ーー
その頃のシディエスは天才剣士として街で有名になっていった。
今日は休日で、家に帰るために街を歩いていた。
「すみません。あなたがシディエスさんですか?」
若い旅の剣士が声をかけてきた。
シディエスは、街でよく声をかけられることがある。
そのため、いつものことだろうと流そうとした。
「はい」
シディエスは短く返した。
「おお!あなたがエラ様の息子さんですか!本当に髪と目の色が同じですね」
剣士はシディエスを見て喜んでいた。
「母のことを知っているんですか?」
母の名を聞いたシディエスは目を見開く。
剣士は、行方不明になっていた母の知り合いだった。
「今、母はどこにいらっしゃるんですか?生きているんですか?」
シディエス普段はあまり感情を出さないが、母の話になると別だった。
しかし母の居場所は頑なに教えてくれず、もし知られてしまうと危険が及ぶことになると言われた。
話してくれたのは、母はここからは遠い国に住んでおり、身分の高い人と結婚していて、カシルという名前の5歳の子供がいるということだった。
その剣士は、名前も言わずに隠れるようにしていなくなってしまった。
どこか別の国で、母は再婚していた。
しかも子供までいたのだ。
シディエスは衝撃を受けてしばらく立ち尽くしていた。
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月日は流れ、シディエスは20歳になったーー
用事のため街の外へ出た。
少し歩くと、傷だらけの剣士が体を引きずって歩いているのが見える。
シディエスはその剣士に駆け寄った。
「…シディエス…」
剣士はシディエスの顔を見て倒れ込む。
「なぜ私の名前を…?」
シディエスは尋ねる。
「昔…街で…会った…」
剣士は10年前に会った母の知り合いだった。
「カシル様を…頼む…」
消え入りそうな声で剣士は懇願する。
その後、紙を渡され、剣士は息絶えてしまった。
渡された紙には10歳くらいの少年の顔が描かれていた。
おそらくこれがカシルの顔なのだろう。
「この子が私の弟…」
シディエスに色々な感情が渦巻く。
そして、弟を探す決意をした。
その後、遺体を運んだ者たちが、剣士がどこの国からきたのか痕跡を探したが何も見つからなかった。
追跡されないよう、自国の物は持たないようにしていたのだろう。
シディエスは、髪の色と瞳の色、聞いた年齢、渡された紙の絵、それだけを手がかりに、カシルを探しに出たのだった。
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