第2章

その後、リファラが目を覚ましたという連絡が入った。

今日は休日だったエリレオとカシルも、セディルとユーリスと一緒に、リファラのいる医務室に行くことになった。

リファラは衰弱していたため一週間は安静が必要だと医者から言われた。

医務室のベッドで体を起こしていたリファラは、お見舞いに来たセディルたちと話をしている。

エリレオとカシルはリファラとは初対面のため、自己紹介をした。
リファラは自分が記憶喪失であることも伝えた。

「記憶が…ないのか…」
カシルが静かに口にした。
その時、何か意味ありげな表情をしていたことにセディルは気付いた。

「ええ。わたしは自分を探すために旅をしているの。自分が何者であるか真実が知りたいから。体が回復したらユーリスと旅を続けるわ」
リファラは心に決めていた。

「そうか…自分の真実…か…」
どこか深刻な顔をしているカシル。

「カシル?」
セディルは先程からカシルの様子が気になっていた。

「…実は僕、子供のころの記憶がないんだ」
カシルが静かに話し始める。

「!」
セディル、ユーリス、リファラが目を見開く。

既に知っていたのだろうか、エリレオだけは驚いていなかった。


カシルがこの街に来たのは10歳の時。
それ以前の記憶はなく、覚えていたのは自分の名前だけだった。

ぼんやりと記憶があるのは、どこかの養護施設にいたこと。
当時、カシルと同じ髪と瞳の色をした人がカシルを自分の家に連れて行ってくれたこと。
その人がカシルの兄シディエスだった。

シディエスから聞いた話によるとーー


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