第2章

「ごめん…わたし…なんだか…」
リファラの途切れた声が聞こえた。

「リファラ…!」
セディルがリファラを見ると、リファラの顔色が悪いことに気付く。

途端にリファラの体がよろめき、そのまま力が抜けた。

「リファラ!?」
セディルは倒れるリファラを支えた。


「大丈夫でありますかー?」
離れた距離から兵士の声がする。

セディルは声のした方を見た。

「カシル!あの方をお助けしよう」
一人は黒の短髪で真面目そうな兵士。

「そうだねエリレオ」
もう一人のカシルという兵士は、銀髪に青い瞳で、温厚な印象を受ける。

二人の兵士が駆け付けた。

「どうしたのでありますか?」
短髪の兵士エリレオがセディルに声をかけた。

「顔色が悪くなって突然倒れてしまったんです」
セディルは心配そうにリファラを見ていた。

「医務室へ運び、医者に診てもらいましょう」
銀髪の兵士カシルがセディルに言った。


――


医務室へ運ばれたリファラは過労だと言われ、しばらくベッドで休ませることにした。

リファラは、セディルとユーリスに会う前までは、どのくらい旅を続けていたのだろうか。


「ありがとうございます。おかげで助かりました」
セディルが喜んで二人にお礼を言う。

「そんな…お礼など。僕たちは人として当然のことをしたのでありますから」
エリレオは真摯に答えた。

「貴方達の力になれてよかったです」
カシルは微笑んで答えた。

(ああ…なんていい人達なんだろう)
過去に嫌な扱いをされてきたことが多かったせいか、セディルはよけいに感動してしまう。

「申し遅れたでありますが、僕はラスレン隊長の部下、エリレオであります」
「同じく、ラスレン隊長の部下のカシルです」
二人はセディルに自分達の名前を伝えた。

「ぼくはセディル。あの子はリファラです」
セディルも二人に名乗った。

しばらく話をした後ーー

「変なところで真面目なんだよね、エリレオは」
「カシル。お前だって人のことは言えんだろう」
カシルとエリレオは、お互いに気を許した態度で言葉を交わす。

「二人は仲がいいんですね」
セディルは二人を微笑ましく見ていた。

「はい!カシルは僕の友人でありますから」
エリレオは自信よく答えた。

「僕たちは兵士見習いの時からの友達なんです」
カシルとエリレオは長い付き合いのようだ。

「それでは訓練がありますので、僕達はこれで失礼するであります!」
礼儀正しいエリレオ。

「すみません。僕も行きます。お連れの方が早くよくなるといいですね」
カシルは優しい言葉をセディルにかけた。

「はい。ありがとうございました」
セディルは再度礼を言う。

エリレオとカシルが部屋から出ていった。

(なんだか、エリレオさんって面白い人だな)
セディルはエリレオの生真面目な態度が印象に残ってた。
変わった意味として…

――
 
25/43ページ