第2章

「ところでラスレンさん。アシェドとは誰でしょうか?」
「アシェドは新しく入った傭兵です。俺の部下のエリレオと組んで仕事をすることになったんです」
ラスレンはユーリスの質問に答える。

そしてラスレンは、その後アシェドという人物について話した。

ラスレンがアシェドが闇の力を持っていることを話すと、突然ユーリスが顔色を変えた。

「なんで、その人を兵に!?闇の力を持っているんですよ!?」
ユーリスは不信感を口に出す。
 
「アシェドの闇の力はとても弱く、門番たちにも感知されなかったと聞きました」 
ラスレンは説明した。

「そうだとしても闇の力じゃないですか」
ユーリスが冷ややかに返す。

「闇の力を持つ者全てが敵ではありません。悪意はなくても闇の力を持つ者はいます。俺も、そのことを忘れないようにしたいです」
ラスレンはユーリスを真っすぐに見て答える。

「!」
セディルにはラスレンの言葉が強く心に響いた。

ラスレンは一瞬目を伏せ、少し黙った。

(…ラスレンさん?)
それは、わずかな間だったが、セディルはラスレンの様子が気になった。

「…すみませんユーリス様。レハラルド様の意見に反するようなことを口にしてしまいました…」
ラスレンは静かな口調でユーリスに謝る。

「いいえ。それが貴方の意見であるなら僕は何も言いません。ですが、僕はアシェドという人を信用するつもりはありません」
ユーリスは、ラスレンの意見は認めるが、闇の力に対する不信は消えなかった。

「まってよユーリス。まだ、その人に会ってもいないじゃないか」
セディルはそこまで疑わなくても、と思った。

「おれは闇の力を持つヤツなんて信じない!」
ユーリスは冷たく言い切る。

「…!」
そのユーリスの一言がセディルの心を重くした。

ユーリスの瞳には怒りと悲しみが見える。

「みんな闇の奴らが悪いんだ!母さんだって…!みんなあいつらが…っ…!」
「落ち着いて下さいユーリス様…!その悲しみを増やさないためにも、闇の組織への対策を講じましょう」
取り乱すユーリスをラスレンが穏やかに止めた。

重い空気が流れ、沈黙が続く。

「王様の所へ行きましょう」
ユーリスがラスレンに言い、部屋の外へと歩きだした。

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