第2章

ラスレンとユーリスが初めて会ったのは四年前ーー

ユーリスは、代々家に伝わる家宝『リヒトストーン』を持って屋敷を飛び出してしまった。

ラスレンたちは、ユーリスの父レハラルドからユーリスを探すよう頼まれていた。 

そしてリヒシャーンの跡地の奥で、ユーリスを見つけたのだった。

「何なんだよお前たち!なんでこんな所まで来るんだよ!?あっ、わかったぞ。おやじがおれを探せって言ったんだろ?」
居場所がバレて、ユーリスは慌てていた。

「まあな。さあユーリス様。早いとこ屋敷に戻ろうぜ」
ラスレンの隣りにいたシャークが前に進み出た。

「嫌だっ!このリヒトストーンを使えるようになるまで、おれは帰らないからな!」
ユーリスはハッキリと断った。

「リヒトストーンさえ使えれば、おれは強くなれる!おやじにおれの力を見せてやるんだ!」
ユーリスは、右手に持っていた光の石リヒトストーンを握りしめた。

(似ている...まだ子供だったあの時の俺に...)
ラスレンは、ユーリスを見て昔の自分を思い出す。

「ユーリス様。少しだけ俺の話を聞いてくれませんか?」
ラスレンが落ち着いた口調でユーリスに頼んだ。

「話ってなんだよ?」
面倒くさそうにしながらラスレンの方を見るユーリス。

「俺も子供のころは早く強くなりたくて、強い武器を手に入れれば自分の力を証明できると思っていました」
昔のラスレンもユーリスと同じ気持ちだった。

「!」
ユーリスはハッとする。

「だけど、それは違っていました。あの時の俺が、強い武器を手にしたとしても使うことはできなかったでしょう」
ラスレンは更に話を続ける。

「なぜなら俺には、その武器を使いこなせるだけの力はありませんでした...。俺は、自分の力のなさを認めていなかっただけなんです」
ラスレンは過去の自分を語った。

「おれは...っ!」
ユーリスは何かに気付いたようにラスレンの話を聞いていた。

「ユーリス様。無理に大きな力で強くなろうとしないで、自分自身の力を受け入れて少しづつ強くなっていけばいいんです」
ラスレンはユーリスを真っ直ぐな目で見ていた。

ユーリスは何か考え事をしているのか、しばらく黙ったあとーー

「おれ、帰るよ。リヒトストーンを返さなきゃならないしな」
ユーリスが持っていたリヒトストーンを見ながら言い出した。

ラスレンの話を聞いてユーリスの気持ちが変わったようだ。

「ユーリス様!ここにいらしたのですね」
ユーリスの父の従者ルインが現われた。

「ルイン!」
ユーリスは、自分の所まで駆けてくるルインを呼ぶ。

「どうか屋敷にお戻り下さいユーリス様」
「わかったよ。おや..、ち、父上も怒っていらっしゃるだろうしね」
ユーリスはルインに素直に返した。

「ユーリス様を探してくれたことに礼を言おう」
ルインがラスレンたちの方を見て冷静に言った。


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