序章
光の力。
闇に対抗する力。
先祖代々、高等な光の力を受け継いでいるカトレリア一族がいた。
その光の一族でありながら、闇の力を持って生まれた自分…
身につけている特殊な石の力で闇の魔力を抑えこんでいるが、完全に消すことはできない。
周囲から異端視されることに変わりはなかった…
―自分の屋敷では―
「私はあなたとは違うのよ!光の魔法すらまともに使えないあなたなんかと一緒にしないでちょうだい!」
紅く長い髪をした美しい女性が、キツイ口調で忠告している。
あらゆる光魔法が使え、国からも認定を得ている優秀な光術師、セレーナス。
プライドが高く、光の魔法に関しては人一倍厳しい性格だ。
家族とは認めてくれず、冷たい態度で他人のように接する姉だった。
―外に出ても―
「ぷっ、今の聞いた?“光の魔法は大切な力”だってさ~笑っちゃうわねぇ」
「出来損ないのあんたがそんなこと言える立場じゃないのよ。あんたわかってんのかしら?」
ウェーブ髪とストレート髪の少女が嘲笑した。
――
偶然というのはある。
思いがけない出来事にあったりすることだってある。
災害はいつ起こるのか予測できない。
しかし、それらの不満は自分へと向けられるようになった。
「お前さ、闇の力を使ってオレ達に何かしてんじゃねーの?」
男が冷ややかな目で見ている。
「みんな言ってるのよ。あなたがコソコソと闇の力を悪用している陰険な奴だってね」
少女は鋭く言葉を突き付ける。
「しらばっくれるんじゃないよ!私は何も知りませんて顔してさ!あんたのそういうトコがむかつくんだよ!」
捻くれた解釈をする者まで出てきた。
「あいつは周りに災いをもたらす呪いの子だ!」
町中に響き渡るくらいの大声で叫ぶ。
周りから一方的に罵られ、冷ややかな視線を浴びせられる。
そんな中での自分の言葉は誰の耳にも届かず、ただ虚しく消えていくだけだった。
悲しみ、悔しさ、怒り、疑問、そして孤独感…
なぜ、ここまで言われなければならないのだろう…
‐闇の力を持つ者の存在を封じよ‐
‐外部に出さぬよう地下に拘束して監禁し、何人たりとも人を近付けさせるな‐
‐生涯その場所へ閉じ込めておくのだ‐
「あなたのせいよ!お母様が病気で亡くなられたのも、お父様が殺されたのも、一族に悪い噂がたったのも、みんなあなたが悪いのよ!」
姉のセレーナスは憎しみを込めて言い放つ。
「ここまで育ててやっただけでもありがたく思ってほしいね」
使用人の中年の女性が軽蔑の眼差しを向ける。
「これも我らカトレリア一族のためだ。悪く思うなよ」
髭の生えた男が冷淡に言う。
嫌だ――
そんな暗い場所で一生を終えるなんて冗談じゃない!
「逃がすな!捕まえろ!」
男が叫んだ。
逃げて逃げて。
一族とその屋敷にいる人々が一斉に追ってくる。
皆、殺気立っており、自分達の生活を守ろうと躍起になって追い掛けてくる。
捕まれば最低最悪の孤独な人生を送ることになるのだ。
絶対に捕まるもんか!
なんとしてでも逃げ延びてやる!
誰も自分を知らない未知の世界まで――
――――
闇に対抗する力。
先祖代々、高等な光の力を受け継いでいるカトレリア一族がいた。
その光の一族でありながら、闇の力を持って生まれた自分…
身につけている特殊な石の力で闇の魔力を抑えこんでいるが、完全に消すことはできない。
周囲から異端視されることに変わりはなかった…
―自分の屋敷では―
「私はあなたとは違うのよ!光の魔法すらまともに使えないあなたなんかと一緒にしないでちょうだい!」
紅く長い髪をした美しい女性が、キツイ口調で忠告している。
あらゆる光魔法が使え、国からも認定を得ている優秀な光術師、セレーナス。
プライドが高く、光の魔法に関しては人一倍厳しい性格だ。
家族とは認めてくれず、冷たい態度で他人のように接する姉だった。
―外に出ても―
「ぷっ、今の聞いた?“光の魔法は大切な力”だってさ~笑っちゃうわねぇ」
「出来損ないのあんたがそんなこと言える立場じゃないのよ。あんたわかってんのかしら?」
ウェーブ髪とストレート髪の少女が嘲笑した。
――
偶然というのはある。
思いがけない出来事にあったりすることだってある。
災害はいつ起こるのか予測できない。
しかし、それらの不満は自分へと向けられるようになった。
「お前さ、闇の力を使ってオレ達に何かしてんじゃねーの?」
男が冷ややかな目で見ている。
「みんな言ってるのよ。あなたがコソコソと闇の力を悪用している陰険な奴だってね」
少女は鋭く言葉を突き付ける。
「しらばっくれるんじゃないよ!私は何も知りませんて顔してさ!あんたのそういうトコがむかつくんだよ!」
捻くれた解釈をする者まで出てきた。
「あいつは周りに災いをもたらす呪いの子だ!」
町中に響き渡るくらいの大声で叫ぶ。
周りから一方的に罵られ、冷ややかな視線を浴びせられる。
そんな中での自分の言葉は誰の耳にも届かず、ただ虚しく消えていくだけだった。
悲しみ、悔しさ、怒り、疑問、そして孤独感…
なぜ、ここまで言われなければならないのだろう…
‐闇の力を持つ者の存在を封じよ‐
‐外部に出さぬよう地下に拘束して監禁し、何人たりとも人を近付けさせるな‐
‐生涯その場所へ閉じ込めておくのだ‐
「あなたのせいよ!お母様が病気で亡くなられたのも、お父様が殺されたのも、一族に悪い噂がたったのも、みんなあなたが悪いのよ!」
姉のセレーナスは憎しみを込めて言い放つ。
「ここまで育ててやっただけでもありがたく思ってほしいね」
使用人の中年の女性が軽蔑の眼差しを向ける。
「これも我らカトレリア一族のためだ。悪く思うなよ」
髭の生えた男が冷淡に言う。
嫌だ――
そんな暗い場所で一生を終えるなんて冗談じゃない!
「逃がすな!捕まえろ!」
男が叫んだ。
逃げて逃げて。
一族とその屋敷にいる人々が一斉に追ってくる。
皆、殺気立っており、自分達の生活を守ろうと躍起になって追い掛けてくる。
捕まれば最低最悪の孤独な人生を送ることになるのだ。
絶対に捕まるもんか!
なんとしてでも逃げ延びてやる!
誰も自分を知らない未知の世界まで――
――――