第2章
セディルは少女が待っている部屋に戻っていた。
「ぼくは、セディル。さっきの男の子はユーリスだよ」
セディルは少女に自分達の名前を名乗る。
「男の子…だったのね」
少女は確認するような口調だった。
その言葉にピンときたセディル。
「もしかして女の子だと思ってた?」
セディルが聞いてみた。
「ええ」
少女は静かに頷いて答える。
「ぼくも、初めて見た時はかわいい子だなあと…」
「誰がかわいいだって…?」
途中でセディルの声が遮られる。
振り返ると、そこにはユーリスがいた。
「かわいいって誰のことだよ!おれのことか?女みたいな顔で悪かったな!」
ユーリスはムスッとした顔をしている。
「悪かったよ。そう怒るなって」
セディルは明るく言う。
暗いことを考えてはだめだ…
明るく振る舞わなければ…
不安や孤独に覆われてしまいそうな気がして…
「ところで、この子がさっきから君のことを見てるようだけど」
セディルは少女の方に顔を向ける。
「あっ!はいっ!いえっ!僕は…!」
ユーリスは焦ってしまった。
「もうバレてると思うよ」
またもやにこりとして言うセディル。
「うっ…。わ、わかったよ」
ユーリスはもう誤魔化せないと思い、素でいくことにした。
「あの…」
少女が口を開いて続ける。
「わたし、自分の名前がわからない…記憶がないみたいなの…」
少女は深刻な顔で話しだす。
「「え…?」」
セディルとユーリスは驚く。
「あてもなく歩いていたら、何かにひかれるような感じがして、ここに辿り着いたの」
少女は部屋の外へと足を進める。
セディルとユーリスも少女に続いた。
外へ出ると、暖かい風を感じた。
「どうしてなのかわからないけど、ここ、とても懐かしいものを感じるの」
柔らかな風が吹き、ふわりと少女の髪がなびいた。
神秘的な雰囲気が漂う。
ユーリスは思わず少女に見とれてしまった。
「どうしたのかな?ユーリス」
セディルはユーリスの様子に気付いていたので、少しからかうように聞いてみた。
「なっ、なんでもないよ!」
ユーリスの顔はやや赤い。
「あの…」
少女が口を開く。
「なんだい?」
ユーリスは答えた。
「あなたたちはどうしてここへ来たの?」
少女が尋ねる。
セディルとユーリスはこれまでの経緯を話した。
「君も一緒に行かないか?もしかしたら記憶の手がかりになるものが見つかるかもしれないだろ」
ユーリスが言いだした。
「そうだよ。ぼく達と行こう!…えーと…君のことはなんて呼んだらいいだろう?」
セディルは、少女の名前がわからないので困っていた。
「リファラ!」
突然ユーリスが言いだした。
「リファラ?」
セディルが聞き返す。
「君のことリファラって呼んでもいいかな?」
ユーリスが少女に聞く。
「リファラ…」
少女は静かに口にした。
「あ、嫌だったら別の名前にするよ」
ユーリスが慌てぎみに言う。
「ううん。リファラでいいわ。ありがとう」
少女…リファラの口元が少しだけほころんだ。
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セディルは少女が待っている部屋に戻っていた。
「ぼくは、セディル。さっきの男の子はユーリスだよ」
セディルは少女に自分達の名前を名乗る。
「男の子…だったのね」
少女は確認するような口調だった。
その言葉にピンときたセディル。
「もしかして女の子だと思ってた?」
セディルが聞いてみた。
「ええ」
少女は静かに頷いて答える。
「ぼくも、初めて見た時はかわいい子だなあと…」
「誰がかわいいだって…?」
途中でセディルの声が遮られる。
振り返ると、そこにはユーリスがいた。
「かわいいって誰のことだよ!おれのことか?女みたいな顔で悪かったな!」
ユーリスはムスッとした顔をしている。
「悪かったよ。そう怒るなって」
セディルは明るく言う。
暗いことを考えてはだめだ…
明るく振る舞わなければ…
不安や孤独に覆われてしまいそうな気がして…
「ところで、この子がさっきから君のことを見てるようだけど」
セディルは少女の方に顔を向ける。
「あっ!はいっ!いえっ!僕は…!」
ユーリスは焦ってしまった。
「もうバレてると思うよ」
またもやにこりとして言うセディル。
「うっ…。わ、わかったよ」
ユーリスはもう誤魔化せないと思い、素でいくことにした。
「あの…」
少女が口を開いて続ける。
「わたし、自分の名前がわからない…記憶がないみたいなの…」
少女は深刻な顔で話しだす。
「「え…?」」
セディルとユーリスは驚く。
「あてもなく歩いていたら、何かにひかれるような感じがして、ここに辿り着いたの」
少女は部屋の外へと足を進める。
セディルとユーリスも少女に続いた。
外へ出ると、暖かい風を感じた。
「どうしてなのかわからないけど、ここ、とても懐かしいものを感じるの」
柔らかな風が吹き、ふわりと少女の髪がなびいた。
神秘的な雰囲気が漂う。
ユーリスは思わず少女に見とれてしまった。
「どうしたのかな?ユーリス」
セディルはユーリスの様子に気付いていたので、少しからかうように聞いてみた。
「なっ、なんでもないよ!」
ユーリスの顔はやや赤い。
「あの…」
少女が口を開く。
「なんだい?」
ユーリスは答えた。
「あなたたちはどうしてここへ来たの?」
少女が尋ねる。
セディルとユーリスはこれまでの経緯を話した。
「君も一緒に行かないか?もしかしたら記憶の手がかりになるものが見つかるかもしれないだろ」
ユーリスが言いだした。
「そうだよ。ぼく達と行こう!…えーと…君のことはなんて呼んだらいいだろう?」
セディルは、少女の名前がわからないので困っていた。
「リファラ!」
突然ユーリスが言いだした。
「リファラ?」
セディルが聞き返す。
「君のことリファラって呼んでもいいかな?」
ユーリスが少女に聞く。
「リファラ…」
少女は静かに口にした。
「あ、嫌だったら別の名前にするよ」
ユーリスが慌てぎみに言う。
「ううん。リファラでいいわ。ありがとう」
少女…リファラの口元が少しだけほころんだ。
「い、いや!お礼なんてとんでもない!」
ユーリスはリファラの笑った顔を初めて見たためか、頬が赤くなった。
「それじゃ、改めてよろしく。リファラ」
セディルが笑顔で挨拶した。
こうして、セディル、ユーリス、リファラの三人は、ヴィシャスの街へと歩いていった。
――――
「ぼくは、セディル。さっきの男の子はユーリスだよ」
セディルは少女に自分達の名前を名乗る。
「男の子…だったのね」
少女は確認するような口調だった。
その言葉にピンときたセディル。
「もしかして女の子だと思ってた?」
セディルが聞いてみた。
「ええ」
少女は静かに頷いて答える。
「ぼくも、初めて見た時はかわいい子だなあと…」
「誰がかわいいだって…?」
途中でセディルの声が遮られる。
振り返ると、そこにはユーリスがいた。
「かわいいって誰のことだよ!おれのことか?女みたいな顔で悪かったな!」
ユーリスはムスッとした顔をしている。
「悪かったよ。そう怒るなって」
セディルは明るく言う。
暗いことを考えてはだめだ…
明るく振る舞わなければ…
不安や孤独に覆われてしまいそうな気がして…
「ところで、この子がさっきから君のことを見てるようだけど」
セディルは少女の方に顔を向ける。
「あっ!はいっ!いえっ!僕は…!」
ユーリスは焦ってしまった。
「もうバレてると思うよ」
またもやにこりとして言うセディル。
「うっ…。わ、わかったよ」
ユーリスはもう誤魔化せないと思い、素でいくことにした。
「あの…」
少女が口を開いて続ける。
「わたし、自分の名前がわからない…記憶がないみたいなの…」
少女は深刻な顔で話しだす。
「「え…?」」
セディルとユーリスは驚く。
「あてもなく歩いていたら、何かにひかれるような感じがして、ここに辿り着いたの」
少女は部屋の外へと足を進める。
セディルとユーリスも少女に続いた。
外へ出ると、暖かい風を感じた。
「どうしてなのかわからないけど、ここ、とても懐かしいものを感じるの」
柔らかな風が吹き、ふわりと少女の髪がなびいた。
神秘的な雰囲気が漂う。
ユーリスは思わず少女に見とれてしまった。
「どうしたのかな?ユーリス」
セディルはユーリスの様子に気付いていたので、少しからかうように聞いてみた。
「なっ、なんでもないよ!」
ユーリスの顔はやや赤い。
「あの…」
少女が口を開く。
「なんだい?」
ユーリスは答えた。
「あなたたちはどうしてここへ来たの?」
少女が尋ねる。
セディルとユーリスはこれまでの経緯を話した。
「君も一緒に行かないか?もしかしたら記憶の手がかりになるものが見つかるかもしれないだろ」
ユーリスが言いだした。
「そうだよ。ぼく達と行こう!…えーと…君のことはなんて呼んだらいいだろう?」
セディルは、少女の名前がわからないので困っていた。
「リファラ!」
突然ユーリスが言いだした。
「リファラ?」
セディルが聞き返す。
「君のことリファラって呼んでもいいかな?」
ユーリスが少女に聞く。
「リファラ…」
少女は静かに口にした。
「あ、嫌だったら別の名前にするよ」
ユーリスが慌てぎみに言う。
「ううん。リファラでいいわ。ありがとう」
少女…リファラの口元が少しだけほころんだ。
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セディルは少女が待っている部屋に戻っていた。
「ぼくは、セディル。さっきの男の子はユーリスだよ」
セディルは少女に自分達の名前を名乗る。
「男の子…だったのね」
少女は確認するような口調だった。
その言葉にピンときたセディル。
「もしかして女の子だと思ってた?」
セディルが聞いてみた。
「ええ」
少女は静かに頷いて答える。
「ぼくも、初めて見た時はかわいい子だなあと…」
「誰がかわいいだって…?」
途中でセディルの声が遮られる。
振り返ると、そこにはユーリスがいた。
「かわいいって誰のことだよ!おれのことか?女みたいな顔で悪かったな!」
ユーリスはムスッとした顔をしている。
「悪かったよ。そう怒るなって」
セディルは明るく言う。
暗いことを考えてはだめだ…
明るく振る舞わなければ…
不安や孤独に覆われてしまいそうな気がして…
「ところで、この子がさっきから君のことを見てるようだけど」
セディルは少女の方に顔を向ける。
「あっ!はいっ!いえっ!僕は…!」
ユーリスは焦ってしまった。
「もうバレてると思うよ」
またもやにこりとして言うセディル。
「うっ…。わ、わかったよ」
ユーリスはもう誤魔化せないと思い、素でいくことにした。
「あの…」
少女が口を開いて続ける。
「わたし、自分の名前がわからない…記憶がないみたいなの…」
少女は深刻な顔で話しだす。
「「え…?」」
セディルとユーリスは驚く。
「あてもなく歩いていたら、何かにひかれるような感じがして、ここに辿り着いたの」
少女は部屋の外へと足を進める。
セディルとユーリスも少女に続いた。
外へ出ると、暖かい風を感じた。
「どうしてなのかわからないけど、ここ、とても懐かしいものを感じるの」
柔らかな風が吹き、ふわりと少女の髪がなびいた。
神秘的な雰囲気が漂う。
ユーリスは思わず少女に見とれてしまった。
「どうしたのかな?ユーリス」
セディルはユーリスの様子に気付いていたので、少しからかうように聞いてみた。
「なっ、なんでもないよ!」
ユーリスの顔はやや赤い。
「あの…」
少女が口を開く。
「なんだい?」
ユーリスは答えた。
「あなたたちはどうしてここへ来たの?」
少女が尋ねる。
セディルとユーリスはこれまでの経緯を話した。
「君も一緒に行かないか?もしかしたら記憶の手がかりになるものが見つかるかもしれないだろ」
ユーリスが言いだした。
「そうだよ。ぼく達と行こう!…えーと…君のことはなんて呼んだらいいだろう?」
セディルは、少女の名前がわからないので困っていた。
「リファラ!」
突然ユーリスが言いだした。
「リファラ?」
セディルが聞き返す。
「君のことリファラって呼んでもいいかな?」
ユーリスが少女に聞く。
「リファラ…」
少女は静かに口にした。
「あ、嫌だったら別の名前にするよ」
ユーリスが慌てぎみに言う。
「ううん。リファラでいいわ。ありがとう」
少女…リファラの口元が少しだけほころんだ。
「い、いや!お礼なんてとんでもない!」
ユーリスはリファラの笑った顔を初めて見たためか、頬が赤くなった。
「それじゃ、改めてよろしく。リファラ」
セディルが笑顔で挨拶した。
こうして、セディル、ユーリス、リファラの三人は、ヴィシャスの街へと歩いていった。
――――