第2章
ユーリスは魔強化について説明を始めた。
魔力が宿っている武器に自分の魔力を注ぎ込み、武器が光ると強化される。
魔強化には武器の威力を上げるだけではなく、他にも使い方があった。
武器に魔法の力を与えることもできる。これは魔法を使って戦わない戦士タイプに多い。
レベルが高くなれば武器だけでなく防具や小物まで魔強化できてしまう。
魔強化は、使えない人の割合の方が多く、ある程度の魔力を持っていなければならないし、修業の積み重ねも必要だった。
二人は歩きだした。
「さっきの闇の力を持つ少年のことだけどさ」
ユーリスは話しはじめた。
「…うん」
どこか力のない返事をするセディル。
「そいつって、何しにおれの町へ来たんだろうな。恐ろしいことでも企んでいるのかな?その闇の力を使って…」
ユーリスの話の途中でセディルが足を止めたので、そのまま立ち止まった。
「何もしないと思うよ」
セディルが突然言いだす。
「なんでだよ?そいつは闇の力を持っているじゃないか」
急に不機嫌になるユーリス。
「ユーリス?」
いつもとは違うユーリスの様子に驚くセディル。
「闇の力は…あいつらは悪い奴なんだ…っ!」
怒りだけではなく悲しみの混じったユーリスの表情。
こんなユーリスを初めて見た。
「闇の力を持つ者全てが悪だとは限らないよ。本当の悪は闇の力じゃない。闇の心なんだ」
真剣な眼差しで訴えるような口調で言うセディル。
「何言ってるんだよ?どういう意味…」
そこまで言ってユーリスは口を止めた。
セディルがどこか悲しそうな瞳をしていることに気付いたからだ。
明るく喋って、陽気に笑って、意地悪にからかわれて、女だと知られてもあっけらかんとしていて…
ユーリスにとってセディルはそういう印象しかなかった。
「…」
セディルは何も言えず黙ってしまった。
闇の力に対する嫌悪感だけじゃなく悲しみを帯びたようなユーリスの表情…
何か訳があるのだろうか?
だが、それは聞き出してはいけないことだろう。
ユーリス本人の口から語られるまで待ちたい。
ユーリスが話してくれるかどうかはわからないけど。
それまで、待とう。
――――
魔力が宿っている武器に自分の魔力を注ぎ込み、武器が光ると強化される。
魔強化には武器の威力を上げるだけではなく、他にも使い方があった。
武器に魔法の力を与えることもできる。これは魔法を使って戦わない戦士タイプに多い。
レベルが高くなれば武器だけでなく防具や小物まで魔強化できてしまう。
魔強化は、使えない人の割合の方が多く、ある程度の魔力を持っていなければならないし、修業の積み重ねも必要だった。
二人は歩きだした。
「さっきの闇の力を持つ少年のことだけどさ」
ユーリスは話しはじめた。
「…うん」
どこか力のない返事をするセディル。
「そいつって、何しにおれの町へ来たんだろうな。恐ろしいことでも企んでいるのかな?その闇の力を使って…」
ユーリスの話の途中でセディルが足を止めたので、そのまま立ち止まった。
「何もしないと思うよ」
セディルが突然言いだす。
「なんでだよ?そいつは闇の力を持っているじゃないか」
急に不機嫌になるユーリス。
「ユーリス?」
いつもとは違うユーリスの様子に驚くセディル。
「闇の力は…あいつらは悪い奴なんだ…っ!」
怒りだけではなく悲しみの混じったユーリスの表情。
こんなユーリスを初めて見た。
「闇の力を持つ者全てが悪だとは限らないよ。本当の悪は闇の力じゃない。闇の心なんだ」
真剣な眼差しで訴えるような口調で言うセディル。
「何言ってるんだよ?どういう意味…」
そこまで言ってユーリスは口を止めた。
セディルがどこか悲しそうな瞳をしていることに気付いたからだ。
明るく喋って、陽気に笑って、意地悪にからかわれて、女だと知られてもあっけらかんとしていて…
ユーリスにとってセディルはそういう印象しかなかった。
「…」
セディルは何も言えず黙ってしまった。
闇の力に対する嫌悪感だけじゃなく悲しみを帯びたようなユーリスの表情…
何か訳があるのだろうか?
だが、それは聞き出してはいけないことだろう。
ユーリス本人の口から語られるまで待ちたい。
ユーリスが話してくれるかどうかはわからないけど。
それまで、待とう。
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