第1章
「…さて、お前は何者だ?」
ルインは厳しい目付きでセディルを見ている。
「闇の力を持ってしまった光の一族の者です」
セディルは正直に答えた。
「それは“セレディン”のことではないのか?」
セレディンのことは有名であるためルインは知っていた。
「はい、そうです。セレディンです」
信じてくれるとは思えないが、セディルは答えてみた。
ルインはため息を吐く。
「私をからかっているのか?200年前に実在した人物だろう。それにセレディンは女だ」
やはりルインは呆れていた。
「ですからぼくは…」
「弁解など聞きたくない」
ルインはセディルの声を上回る声で遮った。
「レハラルド様が驚かれるほどの闇の力を持つお前が、あの門番を何事もなく通ることができるとはな」
ルインが怪しむようにセディルを見る。
(門番って、町へ来た時ぼくが話しかけた門番のことだよな)
セディルは思い出していた。
「お前が、どのようにして闇の力を隠して門番を欺き、街に進入できたのかは知らんが、レハラルド様には通用しなかったようだな」
ルインが冷静な口調で言う。
どうやら闇の力を持つ者は、街の入り口の門番に捕まってしまうようだ。
(そうか…!このペンダントで闇の力が抑えられているから、ぼくは普通に街へ入れたのか)
セディルは気づいたが、顔には出さないようにした。
「ぼくは、塔が気になったからこの街へきただけです」
セディルは本当のことだけを口にした。
「…もういい。私はお前をこのまま見過ごすわけにはいかない」
信用する気はないルインが鋭く言った。
「ぼくを捕まえる気ですね」
セディルはルインの言葉の意味がわかった。
「ああ、闇の力を持つ者を野放しにはしておけないのでな」
ルインはその通りだと言うように答えた。
この世界では、闇の力は邪悪な者が生まれつき持っているか、
あるいは、闇の力に取りつかれて力を持ってしまう者と伝えられてきた。
闇の魔力が強いほど危険で注意が必要とされている。
そのため、街の入り口に闇の力を感知できる門番を配置し、最低基準以上の闇の力を持つ者の進入を防いでいたのだった。
「ぼくは、闇の力を悪用したことはないですし、使用する気もありません。この力は好きで持っているわけではないんです」
少しでもわかってもらおうとセディルはルインを説得した。
「口先だけならいくらでも言えるだろう」
ルインはセディルの言葉には動じず、冷淡に返事を返した。
「お前のようなことを言っていて、結局闇の魔導士として恐れられる存在になった者がいたからな…」
話しているルインの表情が深刻になった。
「ぼくはその人とは違います!その人はその人、ぼくはぼくです!」
セディルははっきりとした口調で伝えた。
闇の力は持っていても決して闇には染まらない。
これだけは、ずっとセディル自身の中で固く守っていた事だった。
――――
ルインは厳しい目付きでセディルを見ている。
「闇の力を持ってしまった光の一族の者です」
セディルは正直に答えた。
「それは“セレディン”のことではないのか?」
セレディンのことは有名であるためルインは知っていた。
「はい、そうです。セレディンです」
信じてくれるとは思えないが、セディルは答えてみた。
ルインはため息を吐く。
「私をからかっているのか?200年前に実在した人物だろう。それにセレディンは女だ」
やはりルインは呆れていた。
「ですからぼくは…」
「弁解など聞きたくない」
ルインはセディルの声を上回る声で遮った。
「レハラルド様が驚かれるほどの闇の力を持つお前が、あの門番を何事もなく通ることができるとはな」
ルインが怪しむようにセディルを見る。
(門番って、町へ来た時ぼくが話しかけた門番のことだよな)
セディルは思い出していた。
「お前が、どのようにして闇の力を隠して門番を欺き、街に進入できたのかは知らんが、レハラルド様には通用しなかったようだな」
ルインが冷静な口調で言う。
どうやら闇の力を持つ者は、街の入り口の門番に捕まってしまうようだ。
(そうか…!このペンダントで闇の力が抑えられているから、ぼくは普通に街へ入れたのか)
セディルは気づいたが、顔には出さないようにした。
「ぼくは、塔が気になったからこの街へきただけです」
セディルは本当のことだけを口にした。
「…もういい。私はお前をこのまま見過ごすわけにはいかない」
信用する気はないルインが鋭く言った。
「ぼくを捕まえる気ですね」
セディルはルインの言葉の意味がわかった。
「ああ、闇の力を持つ者を野放しにはしておけないのでな」
ルインはその通りだと言うように答えた。
この世界では、闇の力は邪悪な者が生まれつき持っているか、
あるいは、闇の力に取りつかれて力を持ってしまう者と伝えられてきた。
闇の魔力が強いほど危険で注意が必要とされている。
そのため、街の入り口に闇の力を感知できる門番を配置し、最低基準以上の闇の力を持つ者の進入を防いでいたのだった。
「ぼくは、闇の力を悪用したことはないですし、使用する気もありません。この力は好きで持っているわけではないんです」
少しでもわかってもらおうとセディルはルインを説得した。
「口先だけならいくらでも言えるだろう」
ルインはセディルの言葉には動じず、冷淡に返事を返した。
「お前のようなことを言っていて、結局闇の魔導士として恐れられる存在になった者がいたからな…」
話しているルインの表情が深刻になった。
「ぼくはその人とは違います!その人はその人、ぼくはぼくです!」
セディルははっきりとした口調で伝えた。
闇の力は持っていても決して闇には染まらない。
これだけは、ずっとセディル自身の中で固く守っていた事だった。
――――