第1章
真っ暗な夜空。
空が闇に飲まれているようだった。
「なんか嫌な空だな…」
紅い髪が風になびき、金色の瞳が空を見上げていた。
セディルは、しばらく止めていた足を進め、町を歩き始める。
今夜休むための宿を探していたのだ。
人気のない通りを歩いている。
建物の影に隠れてセディルを見ている人物がいた。
「あそこにいる少年だ。間違いない」
「見かけない顔ですね。この街に住んでいる者ではないでしょう」
小声で二人が話していた。
「…!」
セディルは何者かの魔力に気付いた。
「そこにいるのは誰だ!」
セディルは魔力を感じた方へ振り返った。
セディルが見た建物の影から二人の男が出てきた。
「気配を消していたのだが、なかなか鋭いな」
一人は中年の僧侶。位の高さを感じさせる外見をしており、一般の人とは違う雰囲気が漂う。
「私達に気付くとは、お前はかなりの魔力の持ち主だな」
もう一人は20代くらいの若い男。長いローブを着て杖を持っていた。おそらく隣の男の従者だろう。
(なんだこの人達は?)
セディルは訝しげな視線で見る二人を警戒していた。
「レハラルド様どうします?見た様子では相手に敵意は感じられませんが」
若い男が一緒にいる僧侶レハラルドに聞いた。
「油断するなルイン。どんな相手でも気を抜いてはいかんぞ」
レハラルドは若い男ルインに答えた。
「あの、ぼくに何か用でしょうか?」
セディルは二人を怪しく思いつつ話しかけた。
「力を感じる…お前から闇の力をな」
「…!」
レハラルドの言葉にセディルは動揺した。
セディルは、透き通った水色の宝石のペンダントを首にかけていた。
このペンダントの特殊な石の力で、セディルの闇の魔力を最小限にまで抑えているのだ。
セディルの闇の力に気付く者はまずいないだろう。
(それなのに…この人は一体…?)
「少年よ、お前はなぜ闇の力を持っているのだ?」
レハラルドが質問する。
「違います。ぼくは…」
「隠そうとしても無駄だぞ」
レハラルドはセディルの言葉を遮って話を続ける。
「私にはわかる。聖なる力に相反する力には、わずかな魔力でも感じ取ることができるからな」
レハラルドは見抜くような視線をセディルに向けている。
言動や雰囲気からして、ただ者ではないとセディルは感じた。
「レハラルド様。ここは私にお任せ下さい。貴方は屋敷へお帰りになり、闇の者が見つかった事を皆にお伝えしていただきたいのです」
ルインは主君であるレハラルドを守ろうと思った。
「…わかった。頼むぞルイン」
レハラルドは部下ルインを信頼しているのか、迷いもなく承知した。
そして、レハラルドは自分の屋敷へと走りだす。
ルインがレハラルドからセディルへと視線を移した。
空が闇に飲まれているようだった。
「なんか嫌な空だな…」
紅い髪が風になびき、金色の瞳が空を見上げていた。
セディルは、しばらく止めていた足を進め、町を歩き始める。
今夜休むための宿を探していたのだ。
人気のない通りを歩いている。
建物の影に隠れてセディルを見ている人物がいた。
「あそこにいる少年だ。間違いない」
「見かけない顔ですね。この街に住んでいる者ではないでしょう」
小声で二人が話していた。
「…!」
セディルは何者かの魔力に気付いた。
「そこにいるのは誰だ!」
セディルは魔力を感じた方へ振り返った。
セディルが見た建物の影から二人の男が出てきた。
「気配を消していたのだが、なかなか鋭いな」
一人は中年の僧侶。位の高さを感じさせる外見をしており、一般の人とは違う雰囲気が漂う。
「私達に気付くとは、お前はかなりの魔力の持ち主だな」
もう一人は20代くらいの若い男。長いローブを着て杖を持っていた。おそらく隣の男の従者だろう。
(なんだこの人達は?)
セディルは訝しげな視線で見る二人を警戒していた。
「レハラルド様どうします?見た様子では相手に敵意は感じられませんが」
若い男が一緒にいる僧侶レハラルドに聞いた。
「油断するなルイン。どんな相手でも気を抜いてはいかんぞ」
レハラルドは若い男ルインに答えた。
「あの、ぼくに何か用でしょうか?」
セディルは二人を怪しく思いつつ話しかけた。
「力を感じる…お前から闇の力をな」
「…!」
レハラルドの言葉にセディルは動揺した。
セディルは、透き通った水色の宝石のペンダントを首にかけていた。
このペンダントの特殊な石の力で、セディルの闇の魔力を最小限にまで抑えているのだ。
セディルの闇の力に気付く者はまずいないだろう。
(それなのに…この人は一体…?)
「少年よ、お前はなぜ闇の力を持っているのだ?」
レハラルドが質問する。
「違います。ぼくは…」
「隠そうとしても無駄だぞ」
レハラルドはセディルの言葉を遮って話を続ける。
「私にはわかる。聖なる力に相反する力には、わずかな魔力でも感じ取ることができるからな」
レハラルドは見抜くような視線をセディルに向けている。
言動や雰囲気からして、ただ者ではないとセディルは感じた。
「レハラルド様。ここは私にお任せ下さい。貴方は屋敷へお帰りになり、闇の者が見つかった事を皆にお伝えしていただきたいのです」
ルインは主君であるレハラルドを守ろうと思った。
「…わかった。頼むぞルイン」
レハラルドは部下ルインを信頼しているのか、迷いもなく承知した。
そして、レハラルドは自分の屋敷へと走りだす。
ルインがレハラルドからセディルへと視線を移した。