第1章
「やめんかラスレン!」
突然大きな声が聞こえた。
「!」
その声に聞き覚えがあったラスレンの剣が止まった。
戦いを中断され、面白くなくなったアシェドも手を止める。
派手な服を来た高貴な青年が歩いてきた。
周りには護衛の兵士達がいる。
この青年はヴィシャス王国の王子だった。
「モーリム様!」
ラスレンは静かに剣を収める。
「ラスレン、一体どういう事なのか説明してもらおうか」
モーリムはラスレンを冷ややかな目で見ていた。
ラスレンはこれまでの出来事を話した。
「で、その者が闇の使者であるという証拠は?」
モーリムはアシェドを見た。
「俺は闇の使者とは何の関係もありません」
いきなりアシェドが口を開いた。
「!」
ラスレンが見たアシェドは偽りの仮面を被った表情でいる。
「ラスレン隊長が、恐い顔して俺のことを問い詰めたんです。闇の組織と言われても俺にはわからないので俺は答えることができませんでした。しかし、ラスレン隊長が剣を抜いたので、俺は自分の身を守るしかなかったんです」
自分が疑われて嫌な思いをしたという演技をし、悲しそうな顔を見せてモーリムに訴えるアシェド。
「何をやっているのだラスレン!この者を疑った上、剣を向けるとは!」
モーリムが怒りだす。
「お待ち下さい!この者の言うことは…」
ラスレンはアシェドの話を説明しようとするが…
「黙れっ!自分の過ちを認めず相手を非難するのかお前は!」
モーリムは聞く耳を持たず、一方的にラスレンを責めた。
更にモーリムは、
「闇の力?私は見ていないよな?私がこの目で見てないものをどうやって信用できると言うのだ?お前がウソをついているのではないか?」
自分の都合のいいように解釈し、ラスレンに軽蔑の眼差しを向けていた。
「私は確かに闇の力を見ました。この者もそれを認めております」
ラスレンは本当の事を話す。
「ほ~う。貴様よくもそんな白々しいウソをつけたものだな」
モーリムは勝手に決め付けていた。
「嘘ではありません!私は本当に闇の力を…」
ラスレンは誤解を解こうとするが…
「うるさいっ!言い訳をして誤魔化し、王族であるこの私を騙すつもりか!?」
モーリムは話を遮り、ラスレンを悪者に仕立てあげていた。
「…っ!」
もはや何を言っても通用しないと思い、ラスレンは悔しそうに口を止めた。
「お前は感情的になりすぎなのだ。少しは自覚したらどうだ?それでよく隊長になれたものだな」
モーリムは嘲笑を浮かべる。
ラスレンは静かに耐えていた。
王子に逆らうことは主君に逆らうということになる。
城に仕えている以上、国の為に働き、主君を守り、敬わなければならない。
それが兵隊長としての勤めだった。
「モーリム様。俺なら大丈夫です。あまりラスレン隊長を責めないで下さい」
優しそうな表情を作り、いい人のフリをするアシェド。
「…わかった。お前がそこまでいうのなら仕方がないな」
モーリムはアシェドに対しては穏やかな顔をしていた。
しかし、ラスレンの方を向くと嫌悪したような顔に変わり、
「今回はこの者の言うことに免じて許してやろう。だが今度は何らかの処置をとらせてもらうぞ。わかったな!」
モーリムはラスレンに厳しく警告した。
「…はい」
ラスレンは静かに返事をした。
…しかし、心の中ではモーリムに対するわだかまりが残っていた。
――――
突然大きな声が聞こえた。
「!」
その声に聞き覚えがあったラスレンの剣が止まった。
戦いを中断され、面白くなくなったアシェドも手を止める。
派手な服を来た高貴な青年が歩いてきた。
周りには護衛の兵士達がいる。
この青年はヴィシャス王国の王子だった。
「モーリム様!」
ラスレンは静かに剣を収める。
「ラスレン、一体どういう事なのか説明してもらおうか」
モーリムはラスレンを冷ややかな目で見ていた。
ラスレンはこれまでの出来事を話した。
「で、その者が闇の使者であるという証拠は?」
モーリムはアシェドを見た。
「俺は闇の使者とは何の関係もありません」
いきなりアシェドが口を開いた。
「!」
ラスレンが見たアシェドは偽りの仮面を被った表情でいる。
「ラスレン隊長が、恐い顔して俺のことを問い詰めたんです。闇の組織と言われても俺にはわからないので俺は答えることができませんでした。しかし、ラスレン隊長が剣を抜いたので、俺は自分の身を守るしかなかったんです」
自分が疑われて嫌な思いをしたという演技をし、悲しそうな顔を見せてモーリムに訴えるアシェド。
「何をやっているのだラスレン!この者を疑った上、剣を向けるとは!」
モーリムが怒りだす。
「お待ち下さい!この者の言うことは…」
ラスレンはアシェドの話を説明しようとするが…
「黙れっ!自分の過ちを認めず相手を非難するのかお前は!」
モーリムは聞く耳を持たず、一方的にラスレンを責めた。
更にモーリムは、
「闇の力?私は見ていないよな?私がこの目で見てないものをどうやって信用できると言うのだ?お前がウソをついているのではないか?」
自分の都合のいいように解釈し、ラスレンに軽蔑の眼差しを向けていた。
「私は確かに闇の力を見ました。この者もそれを認めております」
ラスレンは本当の事を話す。
「ほ~う。貴様よくもそんな白々しいウソをつけたものだな」
モーリムは勝手に決め付けていた。
「嘘ではありません!私は本当に闇の力を…」
ラスレンは誤解を解こうとするが…
「うるさいっ!言い訳をして誤魔化し、王族であるこの私を騙すつもりか!?」
モーリムは話を遮り、ラスレンを悪者に仕立てあげていた。
「…っ!」
もはや何を言っても通用しないと思い、ラスレンは悔しそうに口を止めた。
「お前は感情的になりすぎなのだ。少しは自覚したらどうだ?それでよく隊長になれたものだな」
モーリムは嘲笑を浮かべる。
ラスレンは静かに耐えていた。
王子に逆らうことは主君に逆らうということになる。
城に仕えている以上、国の為に働き、主君を守り、敬わなければならない。
それが兵隊長としての勤めだった。
「モーリム様。俺なら大丈夫です。あまりラスレン隊長を責めないで下さい」
優しそうな表情を作り、いい人のフリをするアシェド。
「…わかった。お前がそこまでいうのなら仕方がないな」
モーリムはアシェドに対しては穏やかな顔をしていた。
しかし、ラスレンの方を向くと嫌悪したような顔に変わり、
「今回はこの者の言うことに免じて許してやろう。だが今度は何らかの処置をとらせてもらうぞ。わかったな!」
モーリムはラスレンに厳しく警告した。
「…はい」
ラスレンは静かに返事をした。
…しかし、心の中ではモーリムに対するわだかまりが残っていた。
――――