こぼれ話(設定や短編)
僕は彼に命を救われ、知恵を授けられ、森の掟にない多くの事を教わった。
遠方から来る彼に対して兄がいう。お節介焼きがまた来たぞ。
なんであの人はあんなに自由なのか?
兄に聞くと、彼は護人ではなく、遠い里の長老なのだと教えてくれた。僕の里の男長老よりも随分若く見える。里の男が短命なのだそうだ。
そんな彼はいつも、ちょっとした手伝いをしながら暫く滞在すると、分け与えられた森の恵みに感謝して去っていく。
同族とはいえ他所から来る者は珍しい。彼と兄と三人、小さな篝火を囲んで他愛もない話をするだけでも楽しかった。
いくつかの季節が廻り、兄は森を離れ、僕は一人になった。
僕も森を離れようか。またあの人がひょっこり顔を見せたら助言を貰おうと考えていた折、あの人の葬儀の知らせが届いた。死因はわからない。行方不明だそうだ。
どんな護人でもちょっとした不運で命を落とすのはよくある事だ。
残念だと感じながら、僕はひそかに尊敬した英雄へ黙とうを捧げて護符を編む。一糸ごと、自由な彼と兄への嫉妬と憧れを封じ込めるように。
遠方から来る彼に対して兄がいう。お節介焼きがまた来たぞ。
なんであの人はあんなに自由なのか?
兄に聞くと、彼は護人ではなく、遠い里の長老なのだと教えてくれた。僕の里の男長老よりも随分若く見える。里の男が短命なのだそうだ。
そんな彼はいつも、ちょっとした手伝いをしながら暫く滞在すると、分け与えられた森の恵みに感謝して去っていく。
同族とはいえ他所から来る者は珍しい。彼と兄と三人、小さな篝火を囲んで他愛もない話をするだけでも楽しかった。
いくつかの季節が廻り、兄は森を離れ、僕は一人になった。
僕も森を離れようか。またあの人がひょっこり顔を見せたら助言を貰おうと考えていた折、あの人の葬儀の知らせが届いた。死因はわからない。行方不明だそうだ。
どんな護人でもちょっとした不運で命を落とすのはよくある事だ。
残念だと感じながら、僕はひそかに尊敬した英雄へ黙とうを捧げて護符を編む。一糸ごと、自由な彼と兄への嫉妬と憧れを封じ込めるように。
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