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-短編集-


「大変、困った事になりましたねぇ…」

「おいシュール、俺の顔で敬語使うな…。なんか…気持ち悪い………」

「貴様らあんま喋んなキショイ」


ー入れ替わり事件ー



ことの発端はこうである。

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「おーいトレスー。居るかー?」

ミスティル内にあるホーリー・アイ(聖なる瞳)本部の内部へと足を運んだキル達ご一行。

ハンナの通信機器を通じて研究員であるトレスから呼び出しされたので、ついでとして挨拶程度に出向いたのだが、肝心の本人が個人研究室に入っても返事がなく留守にしてるらしい。

「んだあのクマ好き野郎。呼びだしておいて居ねーのかよ」

イラッと舌打ちして地団駄するハンナは相変わらずで、白と水色のタイルと壁で覆われた実験室は何かと科学的な道具も揃っており、手に触れない方が良さそうな物も多そうだ。

フラスコに入ってる透明な液体はコポコポと音をたててたり、ホムンクルスのような物体が小さな瓶に保管されてる物もあったり、やはり不思議な空間である。

「ねーねー。奥に変な装置あるよ?」

ネリルが真っ先に不思議な物体に気付き、なにもする事がなかった全員に声をかけた。

見れば室内の奥中央に、巨大なカプセル型が設置され、その上には左右に分かれた太いホースのような管が傘に似たライト型に繋がっている。パッと見れば照明にも見えるが、その二つの真下には人一人が立てる幅の白いステージも設置されている。

「あんなもん前来た時はなかったが、見るからに怪しいな」

「まずこの部屋が異様な感じだけど…、なぁハンナ。トレスと連絡取れないのか? 俺らが到着したって伝えて欲しいんだけど」

「そうしたいのは山々だが、どうやら本部全体で緊急会議をしているみたいでよ。結構長いらしく6時までかかるらしい」

ポケットから取り出した白い小型機器を葵光(レイチョウ)の力で起動し、その中心から光が上へぼんやりと照らされ、小さなスクリーンが現れるとそこに表示されていたメール文を読みあげる。

「6時って、結構な時間だなぁ。まだ昼にもなってないし、それまで外で時間でも潰しておくか?」

「それがいいだろうな」

全員がぞろぞろと研究室を出ようとした時、ハンナが使用していた通信機器をポケットに入れ直そうとしたら手を滑らせ、カツンと音をたてながらコロコロと後ろへ転がってしまう。

「おっと」

「あー、俺が取りに行くよ」

すぐ隣にいたキルが気付き、引き返して取りに戻った。

と、部屋の外から白い影がスッと入りこみ、見ればホーリー・アイの中で預かっていた白猫のハクが転がっていく物を追いかけて行った。

キルが拾い上げようとしたのをまた転がしてしまい、先ほど見た奥のカプセル型の機械まで飛んでしまい、左ステージの上で止まった。

「あっ。ったく…」

「おやハク。また専用の部屋から抜け出したのですか」

やれやれとハクを連れ戻そうとシュールも中へ入るが、猫特有の本能で右ステージ近くのカプセル下で構えを取っていた。

無意識に右ステージへ立ち、後ろからハクを抱き抱えようと手を伸ばすと、ハクが通信機器へ飛び交うようにダッとジャンプした後、カプセル型の土台にガンっと乗ってしまい、なにやらスイッチのようなボタンを押してしまった。

「あ」

「おや」

パッと機械が起動してしまい、照明が二人を眩しい程に明るく照らしだした。

「くっ!」


入り口付近で見ていたハンナは眩しさのあまり腕で光を遮り、廊下に出ていたリリーやフィリ達も光に気づいて何事かと駆け足で戻って来た。

「ど、どうしたんですか!?」

「分からん。ハクがちょっとばかし暴れて奥の装置が起動したみたいなんだが………」

やっと光がおさまると、先ほどと変わらずキルとシュールはステージの上に立っていた。

「なんだ。貴様らなんとも無さそうだな」

ハンナが話しかければ、キルがスタスタとハクの方へ近寄り、ひょいっと抱き上げて苦笑を浮かべ、こう言った。

「全く…、仕方ない子ですねぇ」

しかも敬語で。

「………………………は?」

ポカンとハンナやみんな不思議な顔に変わり、今度はシュールも動いて左ステージに落ちていた通信機器を拾い上げた。


「さっき真下にあったはずなのに、なんで離れた場所に落ちてんだ?」

滅多に見られない眉間にシワを寄せた顔で呟く。

ため口で。

だが直ぐに自分の声と服装、髪や顔がお互いに違う事に気付き、キルとシュールは互いに顔を向けて相手の姿を確認した。

「………………は…」

「おや……?」

シュールはあんぐりと口を開け、キルはコテンと困り顔で首を傾げた。

しーんと静寂な空間が支配し、全員の思考が一瞬にして停止した。


「………………………。

………………ぁー…………………」


暫くして静かな空間を破ったクロルが無表情で淡々と、一言で事の結論をまとめた。

「完全に入れ替わってるね」

「それな」

直ぐさまハンナが白目でこたえた。

――――場所は変わってミスティルの噴水広場。

緊急会議を開いてるので、6時まであの機関本部の中に長居するわけにもいかず、試しにあの装置が起動出来るか調べてみたのだが、あれ以降全く起動せず電源すら入らなかった。

とりあえず今のキルとシュールの現状と機械が原因である事をトレスへメールを送信しておいたが、会議中なので返信がなく終わるまで閲読もされないだろうとハンナが説明した。

「っつー事はトレスに連絡がまわるまでは俺らはこのままの状態で過ごさないといけないのか…?」

シュール…、もとい人格と意識がキルになった状態で腕を組み、眉間にシワを作ってハンナに聞く。

「そうだが…、こうして性格も言動も真逆な貴様らが逆になるとキモいにも程があるんだなって今改めて実感した」

目を合わせずに返せば、キルの姿となったシュールがアハハと笑みを浮かべる。

この異様な光景には全員まったく慣れなく、寧ろ違和感しか感じられない。


それくらい異質で面妖な姿とも思える。

「兎に角だ。今の俺らじゃ貴様らの人格も精神も入れ替わった状態を直す事は不可能だ。
元凶はあのクマ野郎なんだし、戻ったら目潰しして無理やりにでも戻させる」

「目潰しとかいきなり酷な行為だな」

「正直入れ替わった貴様らを見てるだけでも鳥肌が立ってる。だから早く直したい」

「でしょうね」

交互に替わった状態のキルとシュールがハンナに合図ちをうてば、困った事になったとエラが呟いた。

「なぁ…、確か今日ってダイヤモンド女学院が休日だから、リリーさんに仕えてるパールの特殊石をメンテナンスしに行くんだよな?

ここでハルさんと待ち合わせって事になってたが…」

エラの言葉にシュール…―ややこしいので(仮)をつける―…がハッと思い出した。

「そ、そっか。今日ハルに会うんだったな。………………やべぇ…」

チラリと自分自身であったキル(仮)に目を向けて言葉を繋げる。

「アイツ絶対に話しかけてくるよなぁ………」

「でしょうね」

サラリとシュール(仮)に笑いかけるキル(仮)だが、爽やかな笑顔を自分の顔でやられ、その様を直視するというのはとても複雑な気分を感じた。

「やー…、私からすれば自分の姿でため口で口が悪くほぼ眉間にシワを寄せているという光景が不思議で複雑な気持ちですよ…」

シュールの姿になったキルの気持ちを察してフッ…と緩めた口元だが、顔に影を帯びて目を反らした。

やはりシュール自身も思う事は同じらしい。

それなら…とリリーが二人を見ながら提案を持ちかけてきた。

「私がハル様と対応しておくから…、二人は今の内にこの場から離れてたらいいかも…」

その提案に賛成だとシュール(仮)が頷き、金髪の髪を癖で軽くかいた。


「だな。下手に詮索されたら余計ややこしい事になりそうだし…」

「キル~。あまりかくとまとめてる髪が乱れてみっともなくなるので、程々にして下さいねー」

「お、お前だって俺の姿であまり敬語使うなよ!」

お互い慣れない体だが、みに染み付いた動作や癖は無意識に行ってしまうもので、どうしても自身のペースになってしまう。

「おら、ここで駄弁っててもあのケバ嬢ちゃんが来るだけだ。どっか行ったいった」

しっしと追い払うハンナに何だよ人を虫みたいに…と呟きながら足を動かすシュール(仮)だが、くるりと振り返ると、

直ぐ後ろにはもうすでにハルが居てバッチリと目が合ってしまった。

「あ………………」

「あら失礼。ごきげんようシュールさん」

「ご、ゴゴゴゴ…ーっ」

「はい……? 何かの効果音ですの?」

いきなり本人が目の前に現れた事で、全く心の準備が整っていなく、変にパニクってしまった。

不味いと思ってくるりと離れ背中を向けたが、心臓がバクバクして冷や汗がダラダラと流れてくる。

「早いなケバ嬢ちゃん。アイツ今少しばかり熱があってよ。調子悪いからあんま近寄らない方がいいぞ」

ハンナがとっさに機転を効かし、嘘八百並べるとそうですの?と不思議な顔を浮かべては首を傾げた。

「出来ればケバ嬢ちゃんと呼ぶのをやめてほしいのですが…、やはりこれで定着してますのね…」

うーんと複雑な顔に切り替わり、シュール(仮)から思考が変わった。

エラもハラハラと様子を眺めていて、隣に立ってるフィリも不安そうに微量な汗をかいてやり取りを見ている。

「んじゃ、早速だが特殊石をメンテナンスして欲しいんだが……ー」

「それはそうとキル様!」

ぐるっとメンテよりもキル(仮)を優先にして向きあい、話題を持ちかけてきた。

《チクショー! やっぱ一筋縄ではいかねーなコイツー!!》

心の中で叫ぶハンナをよそに入れ替わっていることを知らずに黙ったままのキル(仮)にペラペラと喋りだす。

「久しぶりにお会いできて光栄ですわ。今日会う日を心待ちにしておりましたの。

お話したいことも沢山あって、実は先日…――」

聞いてもいないのに相変わらずキル(仮)に学園内であーだこーだあった事や、日常生活での出来事やらいくつも喋りだす。

いつも会う度にこうなので、時々にしか会えないということでメンバー全員もキル自身も多目に見ていたが、今回は状況が状況なだけに全く違う。

なんといっても中身はシュールなので、ハルの話にただ無表情に近い真顔で「へー」とか「ほー」としか返してない。

口元は僅かに穏やかな笑みなのだが、あまりにも長々と話しかけてくるので多少ひきつっている。

(俺って端から見るとあんな感じに見られてたんだなぁ…)

今のシュールの姿となった自分からキルの姿を眺めて分かった事だった。

少しだけ申し訳なく感じたのだが、かと言って今シュールの姿となったキルが止めに入ればどこかでボロを出すだろうと思い、安易に声を出せずにいたので、

その様子に気づいたリリーがようやく、助け船をよこした。

「ハル様…、そろそろ石のメンテナンスをしに行きたいのだけど…」


「あ、そうでしたわ! すみません長々と引き止めてしまって。

また今度、お話をしましょうねキル様」


そう言い残せば嵐のようにリリーと去っていき、女学院へと向かって行った。


「バレずにすみましたが、やはりキルの姿だと何かと面倒ですねぇ………」


ようやく解放されたキル(仮)はハァー…と溜め息をついた。


「な…、面倒だろ?」

シュール(仮)もようやく分かったかと苦笑いを浮かべる。

「バレて余計な面倒ごとにならなかっただけましだ。これで一難去ったわけだが、さっきみたいに知り合いに会った時の為に、今の貴様ら二人はどっちも風邪ぎみで通しておくぞ」

ハンナの作戦に全員同意し、七人という団体では目立つので街中ではキル側とシュール側の二グループに分かれる事になった。

シュール(仮)側はフィリとクロル、エラの四名で、

キル(仮)側はハンナとネリルの三名で分かれた。

「にぃ~。おうじぃ~~~」

ぐずぐず泣きながら両手をフィリに伸ばすが、ハンナがすぐさまネリルの服首根っこを掴んで止める。


「一番貴様がやらかしそうだからこっちだ。んじゃ、そっち側は任せたぞ」

「任せて下さいハンナさん!」

「あ、あぁ。しっかりとキ…っ、シュールさんをフォローするよ…!」

「………………」

どちらもグループで別行動を取り、そんじゃ、まずは昼飯でも食いに行くかとキル(仮)に向き直る。

「そうですね。どこで食べましょうか」

「おいキル君。もう少しなりきる事は出来ないか? すげーゾワッとするんだが」

「これでも本人になりきろうとは思ってるのですが、中々難しいんで多めに見てもらえませんか?」

「んー、まぁ俺も他の奴と入れ替わったと考えたら、まずなりきるのが無理に近いな」

「に。敬語使うキル兄も新鮮だけどねぇ~」

「全く~。面白がらないで下さーい♪」

「マジでゾワッとする」

ちょんっとネリルの頭を人差し指でつついて笑いかけるキル(仮)なので、終始鳥肌が絶えないハンナである。

「しかし…、不思議なんですよねぇ…」

「ん? なにがだ」

「キルの体だからでしょうが、私自身の好物ではなく、キルの好物である牛乳や団子系の固形物が食べたくなってるんですよ」

「へぇ~。味覚の好みとかはちゃんと本人の方になるんだな」

「そうみたいですね」

自分でもおかしな感覚ですと繋げれば、とりあえずキル(仮)に合わせて近くの飲食店へと入った。

一方シュール(仮)側はというと、のんびりと街を歩いていた。

「それにしても不思議なものだよな。キルさんとシュールさんが入れ替わるだなんて」

「だよな。なんであんな装置があったのかまず疑問なんだけどよ…」

はぁーっと大きな溜め息をつけば、クロルが思った事を口にした。

「でもこれって貴重なところをどっちでも見てる気がする…。
普段なら敬語だけ言うシュールがキルの口調でため口であまりしない表情が見れてるんだもの…」

「そうですよね。逆にキルさんの方が笑顔が多くなって敬語なので、なんだか…、僕らからすれば意外な一面を見ているようです」

「そう言われるとまた複雑な気分になるな」

うーんと手の内でこめかみに当て、前髪が少し乱れる。

その様子を見てエラが軽く笑いかけた。

「あはは。そういう仕草もシュールさんならしないから、なんだかおかしいな」

「なんだよ他人事だなマジで。これでも敬語使おうと頭では思ってるけど、やっぱり難しいし動作も似せるのが出来ねーんだよ」


「そうですよねぇ。みに染み付いた癖などはそう簡単に変える事は出来ないですしね」

「はぁ~。考えるのも面倒だし、なんかチョコレートみたいな甘いもの食いたくなってきたな」

その発言を聞いてクロルが首を傾げた。

「チョコ…? 団子とかじゃなくて…?」

「おー」

もしかすると…とフィリが思考を働かせれば、

「好みの食べ物はシュールさんの体なので、味覚に関してはキルさんの意識とは共有出来てないようですね」

と解釈した。

「え、って事はチョコ系が好きなシュールさんだから、そのまま反映されてるのか」

不思議だなーとまじまじとキルであるシュールを見つめるエラだが、見られてあまりいい気がしないシュール(仮)はソーッとエラを見ないように目を反らす。

「ほどほどの甘さのチョコが好きだから、出来れば甘すぎないのを食べに行きたいんだけど…」

チラリと顎を引いてデレ(?)に近い表情を見せれば、エラがドキッと一瞬だけときめいてしまった。

「うっ…、そんな仔犬みたいなシュールさんはじめて見た……」

「大丈夫ですエラさん。中身はキルさんですから」

「うあー! やっぱややこしいこの体!!」

ガシガシと頭をかいてしまい、まとめてる髪が凄まじく乱れてしまった。


「あー!キっ…、シュールさんそんなかいたらくずれちゃってエラいことに…!」


「…………髪切りてぇー…」


そう呟きながら一旦髪止めのリボンとゴムをほどいた。

後ろ髪がすいたセミロングの長さなので、おろしてもあまり違和感はないのだが、やはりまとめた方がスッキリ見える。


「というか、一つにまとめてる方がシュールさんらしいものな」

コホンと自分の調子を取り戻す為に咳払いするエラで、髪をまとめ直したシュール(仮)に呟きかけた。

どちらも昼食をすませた所で、時刻は1時過ぎ。

6時までまだ五時間程なので、今入れ替わってる事でハンナが試しに見てみたい事があるとキル(仮)に言ってきた。





「特殊属性……ですか?」


「あぁ。俺ら全員が特殊属性を扱えているが、それって自分の奉力と魔力を結合させて、奉魔力に自身の属性と化してる状態だからな。

本来の貴様なら雷の属性が最もシンクロパーセンテージ(特殊属性化する属性との相性を表す属性値)に合致してたが、もしキル君の体なら扱い方も放出出力も大分変わるだろ。

二人を一度ミスティルの外に出て、もしもの事を考えて人に危害が及ばない場所で実行してほしい」

「成る程…。確かに気になりますね」

「にぃ~。…あたしちょっとだけ分かんないかも」

難しい話しと判断したのか、うぅ~と頭をかかえて唸ってるネリルに対し、ハンナが目を細めた。

「貴様…、ほんっとに難しい言葉を使われたら理解に乏しくなるよな」

「こ、これでも頑張って聞いてますですっ!!」

「そうか」

ハンナが同じミスティル内に居るという事で、クロルにテレパシーを送ってまた全員合流し、外へ一度出た。

天気は白い雲が所々流れていてさほど悪くもないので、まずはキルの意識となったシュール(仮)に特殊属性を出させてみた。


「よっ」

いつものように軽く手を振っても、雷どころか魔力すら出せなかった。

「ん~? 放出力が足りねぇのかなぁ?」

手のひらを眺めていたら、クロルがもう少し強めに出してみたら…?と指示してみた。

「よし…、はぁっ!!」

先ほどよりも少しだけ強く手に意識を持っていき、一気に放出すると雷の属性が目の前に現れた。

黄色い閃光がうなるように現れたが、いつもシュールが出すように通常に近い威力といった感じだった。

「お、やっぱ俺の意識でもシュールの体だから雷の属性なんだな」

へーと物珍しそうに自分の手を見れば、

「けど、雷の軌道っていつも扱ってる炎よりもすげー難しいから、敵に命中させるのに相当慣れないと難しそうだなぁ…」

と呟いた。

「にぃ~。今の見たら逆にセンセーもキル兄の体だから炎が出るのかな?」

「試してみましょうか」

今度はシュールの意識が入ったキル(仮)の体で多少みんなから距離をおき、何もない平原の彼方へ手のひらを向ける。

「そちらに向けてみてもいいですが、どうでしょう?」

「止めろよ」

冗談ですと笑い、前を見て意識を集中する。

「それ」

シュールがいつものように特殊属性を出してみると、手からドン!と一気に大きな赤い炎が現れ、目の前に巨大な火の玉となって高速で飛んで行ってしまった。

「「……………………」」

先ほどのシュール(仮)とは真逆でとてつもない威力が初っぱなから放ったので、全員が一瞬無言になってしまった。


「…………。
…………………………てへ♪」

「てへじゃねぇーよ!! まじで俺に向けてたらお前の体がヤバかったんだからな!?」

「自分の体に向けるわけないじゃないですかー。全くー」

互いに入れ替わった状態でいつものように言い合ってると、成る程なとハンナが頷いた。

「特殊属性ってのは、放出力が個人で異なるって事だな」

「みたいですね。キルが本来の姿で炎を出してるのは、私よりも軽い力でも放出してるという事になるようです」

その結果にフィリがわぁーっと目を輝かせた。

「ということはやはりキルさんの特殊属性の力を生み出す器官はとても強いんですね」

「だな。簡単に言えば俺らよりもデカイ力を持ってるって事になる。軽く放出するだけでも威力が強いから、消耗も軽く済むんだろう」

ハンナが解釈すれば、クロルやエラがほぅ…と感心した。

この情報が分かったところでまた街の中に戻れば、ある広場に人だかりが出来ていた。

「なんだあれ。さっきまであんなに居なかったのに…」

シュール(仮)が不思議に思って口にすれば、見に行ってみましょうかとキル(仮)が促した。

「これが…、奉マジックというものだよ」

身長の高いシュールやクロルと、ギリギリだがキルとハンナも人だかりの奥に居る人物をとらえた。

そこに居たのは周囲で螺旋状にトランプを回転させている金髪の髪、黒いシルクハットをかぶったジョーカーが中心に立っていた。

「なんだ、ジョーカーじゃないか」

ハンナが目を細めて呟けば、タイミングを見計らったかのようにパチンとジョーカーが指を鳴らした。

すると螺旋状に回転していたトランプが上空に集まりだし、シルクハットを頭から取ればそれに全てトランプが吸い込まれるように入っていく。

「ほら、どうぞ」

ヒュッとシルクハットを上空高くに投げれば中に入った筈のトランプが白い鳩とカラフルな花びらに変わり、バサバサと大空へ飛び立っていった。

「なんかデジャヴだな……」

シュール(仮)もハンナと同じように目を細めて呟いた。

それから一羽の鳩が投げたシルクハットを口にくわえ、下降しながらジョーカーの頭に乗せるようにかぶせた。

周囲を囲んでいた観客からは拍手喝采で、マジックショーは盛り上がっていたらしい。

これで一通り終わったのか、やはりこちら側に気づいたジョーカーが一羽の鳩を腕に乗せながら近寄ってきた。

「やぁやぁ。一人をのぞいてご一行さん。久しぶりだねぇ」

「貴様は相変わらずぶらぶらしてんだな」

「気ままな旅人で楽しいよ。飽きもないからね」

ところで…、とキル(仮)とシュール(仮)の二人に顔を向ければ常に笑みを浮かべている口が更に横へ広がる。

「そちらのお二人は随分と面白い事になってるじゃないか」

直ぐに見抜かれた事にシュール(仮)が驚いて咄嗟には!?と口を開いてしまった。

「なんで分かったんだよ。俺らが入れ変わってるのが」

「いやぁ~。奉力の管理がお互いに不安定になっていたから、ひょっとしたらと思ったんだよ。まさか入れ替わってるだなんて……クックック」

不気味な笑い方も相変わらずで、陽気におちょくるように会話を進めていくジョーカー。

「君の口調がその姿で使われてると中々に面白いねぇ」

「こちらとしては虫酸が走りますよ」

「ほんと愉快だ」

この状況がとても面白いらしく、何度かクツクツと笑っている。

「ま。大方あのトレス坊やの仕業だろうね。そうゆう事が成し遂げられるのはあの子以外出来ないのだし、これまた退屈しない事態だ」

ふぅんと落ち着きを取り戻し、微笑を浮かべたままもう一度、二人を交互に見る。


「僕はその姿と性格の違いでも良いとは思うけどね。きっと君たち以外の他者からしても好感度は低くない筈だ」

「なんだよそれ」

ジョーカーの言ってる事がいまいち分からずシュール(仮)が聞けば、ビシッと白い手袋をはめた人差し指で顔を指された。

「ギャップというものだよ。キル君」

相手の中身の名で呼べば、それじゃぁねと背を向けて立ち去って行ってしまった。

「ったく…、結局ここには遊びで来てたのかアイツ……」

読めない奴だなと呟いてよそ見していると、先ほど人だかりが出来ていた一部の女性も前を見ていなかったので、シュール(仮)の目の前に軽くぶつかってしまった。

「ひゃっ」

「うおっと…っ!」

とっさにどちらも驚きつつ、女性の両肩をはしっと掴んで転ばないように支えた。

彼女は彼女でその行動にまた驚き、シュール(仮)を至近距離で見上げると、

「…大丈夫か?」

と心配そうな表情で顔を覗き込まれた。

「はっ、はい!?」

バッと後ろへ引いて一歩離れれば、テンパりながらもペコッとお辞儀をしてパタパタと駆けて行ってしまった。

「は、早…」

「そりゃあんな近くで貴様の顔で迫られれば逃げるわな」

「な、なんだよ本気で心配してたのに…。そんなに怖かったか?」

「いや、怖さとは全く逆だろあれは」

「は…?」

ハンナの言い分にわけが分からないといった顔をしたら、鈍いなぁーと一言返された。

「に、先生あの子転んじゃって怪我してるよぅ!」

少し離れた場所でうずくまっていた小さな女の子。

転んで膝を擦りむいたみたいで、泣いているのに気づいたネリルがキル(仮)にその事を教えた。

「おや、見に行ってみますか」

冷静に応えつつ、ネリルと一緒にその子の方へ向かえばスッとしゃがんで声をかけた。

「にぃ~、だいじょぶ?」

ネリルが直ぐに声をかけるが、えんえんと泣いていてお母さんとうわ言のように呼び続けている。

「どうやら親ともはぐれたようですね」

キル(仮)達の様子にハンナ達も気付いて、遅れて全員も駆けつける。

それでも女の子はぐずぐず泣いているので、キル(仮)がフィリに声をかけた。

「膝から治した方がいいかもしれないので、治癒していただけませんか?
本来の体でしたら私でも小さな傷を癒やす事が出来たのですが、今はキルの体なので」

「はい。大丈夫ですよ」

女の子の膝に触れない距離で手をかざし、ポゥ…と緑色に光れば傷が段々治癒され、綺麗に治した。

「……………?」

痛みがひいて少しだけ気持ちに余裕が出来たのか、うつむいて泣いていた顔を上げてキル(仮)とフィリ、ネリルを見渡す。

「お母さんとはぐれたんですよね。どこで居なくなったか分かりますか?」

「ひっく…………、…こっちで歩いてたらはぐれたの…。人がいっぱい居て…っ」

「に、さっきのマジックを見てた観客かも」

ネリルが呟けばそうかもしれませんねと返す。

「この辺りではぐれたのなら、まだ近くで探してるかもしれません。
名前はなんと言いますか?」

「……カナ」

「カナちゃんですか。私達も探しますから、大丈夫ですよ」

そっと手を取って立ち上がらせれば、安心させるように頭を撫でる。

「きっと見つかりますから」

やんわりと笑みを浮かべれば、女の子もコクンと涙ぐんだまま無言で頷き、キル(仮)の手をぎゅっと握りしめる。

それから直ぐにフィリやネリルが周囲に声を張り上げ、母親が居ないか呼びかけた。

「カナちゃんのお母さん居ますかー?」

「居たら返事お願いしまーす!」

シュール(仮)も続けて呼びかけると、少し離れた場所から「カナ!」と呼びながら走ってくる女性が現れ、女の子も母親だと気付いてすぐに駆け寄った。

「ごめんね? 手が離れて見失っちゃって。怪我はない?」

すぐ娘の安否を確認すれば首を横に振り、お兄ちゃん達が治してくれたから大丈夫と話した。

フィリやキル(仮)達に向き合い、ありがとう御座いますと何度か頭を下げてお礼の言葉を並べる。

それから帰ろうとすれば、女の子がパタパタとキル(仮)に駆け寄れば、クイクイっと袖を引っ張ってきた。

ん?と言いながら膝をついてしゃがむと、そっとキル(仮)の頬にキスをして照れながらもはにかみ、笑顔でもう一度お礼を言った。

「ありがとう。お兄ちゃん」

それから直ぐに母親の元へ駆けて行き、手を振りながら帰って行った。

「おや。キスされちゃいましたね」

ははっとシュールに変わったキルに小さく笑いかける。

「それくらい嬉しかったんだろうな。俺の姿だから変な気分だけどさ」

見つかって良かったよとシュール(仮)も小さく笑いかけた。

と、クロルの耳に付けてる緑色のピアスが仄かに光りだし、手をピアスにあてると、リリーからメンテナンスが終わったみたいと全員に伝えた。

「ほんじゃ、女学院へ迎えに行くか」

ぞろぞろとダイヤモンド女学院まで向かい、正門前までたどり着けばそこでリリーと待っていたハルがドドドドと猛ダッシュでキル(仮)の元へ駆け付けてきた。

「牛みたいにこっち来るぞ」

「怖いですね」

ハンナと小さなやり取りすれば、バッとキル(仮)の右手を両手で覆うように握りしめれば、キル様!と心底不安そうな面相で見上げる。

「シュールさんと入れ替わってるというのは本当ですの!?」

「はい。ですので私はキルではないですよハル嬢」

あ。そうですわねと今度はシュール(仮)の方に向き直り、ぎゅっと手を握りしめる。

「なんでいちいち手を握んだ」

「だって心配なんですもの」

「謎の使命感…」

シュールの姿で発言すれば、やはり入れ替わってますのねと目をうるうるさせた。

「んな顔すんなってっ…! つーか、なんでその事お前が知ってんだよ」

「先ほどメンテナンス中にジョーカーさんが来まして、その方が教えてくださったのですわ」

《あんの野郎……………》

ギリっと眉間にシワを寄せて苛立った顔をして目を反らす。

シュールの姿なのであらあらとハルも不思議な顔へと切り替わった。

「とは言えど、中身はキル様に変わりありません。

例え姿が変わったとしても、わたくしはキル様一筋ですので、一生そのお姿だとしても慕う心は変わりませんわ」

「すみませーん。私の体なのでこちらが困りまーす」

頬を赤らめるハルに笑顔でキル(仮)が本音を訴えかけた。


「いや、俺だってずっとこの姿なのはやだよ! それに…、チップの事だってあるし…」

ハルの手をほどき、自分の事をシュールに丸投げしたくないという気持ちもあってぼそりと呟けば、地面に視線を落とす。

「……………」

一瞬だけ黙っていたシュール(仮)が誰かの視線を感じとり、そちらに目を向ければリリーがジッとこちらを見つめていた。

しかも無表情で。

(……………え、なにあの顔。ちょっと怖いだけど…)

少し不審に思いながら顔をひきつらせると、キル…とリリーが名前を呼びかけた。

「………………」

口を開いて何かを言いかけたが、グッと思いとどまり押し黙ってしまった。

「……………?」

何を言おうとしたのか分からず首を傾げると、ハンナの通信機器からメールが届いた。

「を。ちょい早めに会議が終わったみたいだな」

「という事は、キルさん達を戻せるかもしれないんだな?」

エラの質問にかもしれんと頷き、即刻本部へと戻りトレスの研究所へ足を運んだ。

ハルも一緒に。

「なんでお前も居んだよ」

「心配だからですわ!!」

「ごめんね~二人とも! あれまだ試作品だから猫でも機械が起動しちゃったみたいだね!」


えへへと出会い頭に満面の笑みを浮かべ、びろびろと体格に合っていない大きめな白衣の袖を揺らす。


「ヘラヘラ笑ってんじゃねぇよクマ野郎。こちとら慣れない体になって大変だったんだぞ…(色々と)」


すぐにヤクザ化したシュール(仮)がトレスの胸ぐらを掴むと、やん怖いと笑いかける。




「悪かったって。俺も機械にロック掛けてなかったのがいけなかったと思うしさ」


「あの機械は何の為に作った機械なんだ?」


エラが不思議に思っていた事をトレスに聞けば、あーそれねと白いデスクの上に座って応えた。



「ウィルスを通常の魔物に戻す機械」


それを聞いて全員え…と驚いてざわついた。

慌ててフィリがトレスに歩み寄り、ちょっと待って下さいと更に詳細を聞き出してきた。


「今のキルさんとシュールさんだと人格というか、精神意識が逆になってるだけなので意味がないのでは?」


「そ。だからまだ今の段階じゃ試作品なの。
この状態では入れ替わる機械として起動しないから、
更なる改良をしてウィルスの精神意識を通常の魔物の意識に上書きするようにすんの」


もちろん、これが完成した時には君たち人間が使用しても反応しないようにするけどねと付け加えた。


「ってーと、通常の魔物の精神にそのままウィルスの意識を上書きして、二つの意識を一つにすんのか」


「そ。上層部からは消滅させる事を指示されたけど、ウィルスを完全に消滅させる事はこの機械を使っても難しいんだ。

ほら。特殊属性でしか消せないじゃん。突然変異を起こした魔物には。

んで考えた結果が通常の魔物に意識を飛ばして、ウィルス本体が脱け殻となれば意識を重点にして活動する核も自然消滅する。

意識を一つにした魔物も後に処分すればいいからね。ちょっと手間はかかるけど、特殊属性を扱えない俺らからすればこの機械は大いに役立つと思うよ」


「あー……。そういやそうだな。しかも器官から直接放出した属性でないと、核も消せないんだよなあれって」


「そうそう。だから今日すぐに緊急会議を開いてその説明を俺がやってたんだけど、実証と説明をこと細かく伝えるのってほんと面倒くさいよね~。

だって頭の硬いお偉方のオジサン達にも一から理解できるように説明しなきゃいけないんだよ?

後半からは色々と割愛したけど、なんとか言いくるめたけどさ」

「その言いぐさはすげーよ」

シュール(仮)がトレスの発言に冷静なツッコミをすれば、キャハハハとケラケラ笑いだした。

「すっげ。シュールさんがため口でその顔すんのはじめて見た! 面白!!」

「理由は分かったから早く機械を起動して戻してくれ」

「あ~。そうだね、ちょい待ってよ」

エネルギーを充電しないとまた使えないから、そっちが来るまでに溜めてたんだよねぇ~と太いホース型の管を取り外した。

「んじゃ、二人とも左右どっちでもいいからステージに立って」

指示通りに立てば起動し、最初に起こった眩しいフラッシュが起こり室内が見えなくなる程眩しくなる。

暫くして光がおさまれば、直ぐに元に戻ったのかキルが髪を触ったり腕を回す。

「はぁ…、やっと元に戻れた…」

シュールも眼鏡に手をかけてカチャリと位置を直し、ふむ…と少しだけ乱れていた前髪を整える。

「やはり自分の体が一番ですね」

「それな」

「やー良かったね~。直って」

「ほんと他人事だよなお前…」

ヘヘヘーと笑うトレスに目を細めて返せば、そういえば…とリリーに向き直る。

「さっき学院の前で何か言おうとしてたけど、何を言いたかったんだ?」

「………………」

ジッとキルを見上げれば、ようやく口にだした。

だが先ほどの無表情とは違い、急にうるうると涙をためて泣きそうな表情を見せた。

「キル兄~……………」

「……………は?」

「ふぇ~ん!! 今度はあたしと姫ちゃんが入れ替わっちゃったよぅ~!!」

「ごふぅっ!!」

今度はネリルの精神とリリーが先ほどのフラッシュで入れ替わったらしく、リリーの体になったネリルが泣きながらガバッと前から抱きついてきた。

「わかった! わかったから当たってるって!!」

「あ、当たってるって何が?」

「いや、ちょっ離れろその姿でまじ抱きつかれると俺の精神も色んな意味でヤバいから!!??」

「「………………」」

全員がキルとリリー(仮)のやり取りを見て、ネリルの方に視線を向けた。

「……………入れ替わってるね」

滅茶苦茶大人しいネリルが一言呟けば、ハンナがガシッとトレスの胸ぐらを掴んで言い寄った。

「おいどういう事だクマ野郎ゴラァ…?」

「やん怖い。んーとね。まだ完全に完成してなかったから、フラッシュの誤作動ってか、機械の認識が誤ってて今度はそっちの二人が入れ替わったみたいだね☆」

てへっと笑いかければ、笑い事じゃねーだろクソ坊主と揺さぶる。

「直ぐに直したいのは山々だけど、また暫く充電しないといけないし、フラッシュ認識も直さなきゃいけないから三時間くらい待って欲しいかな~なんて」

「はっ!? 三時間もこの状態なのかよ!?」

ちょっと待てよと訴えるが、泣きながら腕にしがみつくリリーに心底困り果てる。

「にぃ~。ごめんね姫ちゃんあたしの体で~!!」

泣きわめきながら気が動転していて、いつものようにテンパった時と同様、キルの腕をぎゅっと掴んでぶんぶん振っている。

ネリルの身長よりも遥かに高く、位置的にもリリーの体でこのスタイルで密着されると、やはり胸が腕に押し付けるように当たってしまってる。

「だから引っ付くな! また元に戻れるんだから落ち着けっての!」

「ちょっとリリーさん!? キル様にあまりベタベタとくっつかないで貰えませんか!!」

「お前だっていつもベタベタとくっついてんだろ!?」

クロルはぼんやりと眺め、フィリも苦笑を浮かべては大丈夫ですよとリリー(仮)を落ち着かせる。

エラはあぁ~…と頭を抱えていて、ハンナに至ってはトレスに直ぐ直せと監視を始めた。

大人しくなったネリルの姿となったリリーの隣ではハハハと事を眺めて笑うシュールだが、ふと、ネリル(仮)からこんな言葉を口にされた。

「キルは…、ちゃんと自分に責任を持っているね…」

ぼそりとキルを眺めながら言った言葉に、シュールも一度ネリルの姿を黙視し、キルに視線を移せばクスりと笑った。

「えぇ。それが彼の良い所でしょうね」

「…私も強くなる……。彼と並べるように…」

そっと口にすれば、ニコッと笑いかけてシュールからも言い返した。


「それが貴女の良い所ですね」


「………………。
………………………ありがとう」


そんな状態がまた暫くの間続いたが、トレスの発言通り元に戻り、

呼び出した内容はと言えば結晶石の森で希少な素材を採取して欲しいとのことで、

はじめは断ったが報酬内容を聞いて結局、その森へ採取しに行く事を引き受けたキル達だった。


ーendー
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